ショパンコンクール International Chopin Piano Competition は5年に1度ショパンの故国ポーランドで開かれるピアノのワールドカップみたいなものである。5年間隔であるからオリンピックやワールドカップより長い。最近は小山美稚恵や横山幸夫など日本人もけっこうファイナルに残っている。

このコンクール、1990年と1995年は1位がでなかった(最後はスタニスラフ・ブーニン)。コンクールではよくあることだが、なにぶん5年に一度しか開かれないためもしミレニアムに1位がでたらなんと15年ぶりとのことでいやが上でも期待があった。過去の受賞者をあげれば、アシュケナージ(2位)・ポリーニ・アルゲリッチ(3大テノールみたいだな)、ダン・タイ・ソン、フィリップ・ジュジアーノ(2位)、内田光子(2位)などである。

どの楽器のどの国際コンクールでも同じことだが、最近はアジア人の受賞者が本当に多い。相対的にアジア人(というか非ヨーロッパ人)のレベルが上がっているというわけだがヨーロッパのレベルが下がっているわけではない。コンクールに優勝するといういままでのプロフェッショナルミュージシャンのデビューモデルが,もうヨーロッパでは必要とされていない。才能はかなり早い段階で発掘され、名門に預けられ、コンクールみたいな野蛮な場所で傷つかないように大切に育てられ、そしてクレジット用にちょっとマイナーなコンクールに楽々優勝してみたりして、デビューする。

非ヨーロッパ圏ではどこの国でも同じことだが、ヨーロッパの国際コンクール受賞というのがものすごく幅をきかせるために、しかたなく遠征せざるを得ない。ただコンクールというのはトラウマになる可能性が極めて高いために、プロの演奏家になるためにこれを通過させるというのはかならずしもいいことではないかもしれない。音楽を楽しめるような演奏家を育てるためには、もうコンクールとはべつのシステムが必要だと思う。

とはいえ、アジア人の演奏家も最近は本当にすばらしい。ピアノはユンディ・リ(中国)、ダン・タイ・ソン(ベトナム)、ラン・ラン(中国)と逸材がそろっている。内田光子を日本人とすべきかどうかは迷うところだが、そもそも地球人なのかという疑惑もあるのでここでは多くは述べないことにする。



今年は誰が出てくるんだろう。