東京新聞 6.4E の記事からです。
"発想変え 男性育休9割
政令市で断トツ 管理職 意識付け効果
千葉市 取らない部下に「なぜ?」調査
政府が男性公務員の育児休業取得率向上を掲げる中、千葉市は2019年度、政令市で断トツの92.3%を達成した。数字を押し上げたのは職員に「休まない理由」を聞き取るという発想の転換。子育て世代の市長によるトップダウンや管理職への研修で仕事と仮定の両立への意識付けを進めた。
(中略)
千葉市の男性職員の育休取得率は16年度で12.6%だったが、翌17年度から職員が育休を取得しない場合に上司が理由を聞き取る調査を開始。取得は同年度28.7%、18年度は65.7%と上昇した。19年度の数値は政令市で次に高かった福岡市(20.2%)と比べても圧倒的で、千葉市の担当者は「取らない理屈を考えなければいけないので、取得への心理的後押しになったのではないか」と話す。
二児の父で、自ら子どもを保育園に送迎していた熊谷俊人前市長(43)=現千葉県知事も幹部会議で繰り返し育休取得を促し、全管理職が毎年度、子育てを積極的に支援する「イクボス」宣言をし職場に働き掛けた。"
(後略)
2019年度取得率一位の千葉市が92.3%
2位の福岡市が20.2%
3位の北九州市が19.3%
4位 さいたま市 18.2%
5位 新潟市 16.2%
千葉市、断トツです。
いかにトップからの積極的な働き方、心理的・社会的ハードルをさげることが大切かが窺えます。
それだけでなく、休まない理由を聞き取るという「発想の転換」
この視点は、育休にとどまらず職場や社会における様々な点で参考になると考えます。
たとえば子供たちに勉強を促す際に
「勉強しなさい!」と頭ごなしにしかってしまうことはないでしょうか。
発想の転換をして「何故、勉強しないの!?」と尋ねると
「勉強がいやだから」
「めんどくさい」
「勉強なんて役にたたない」
「別にいい大学や会社に入りたくないし」
という返事が返ってきそうです。
う、言い返せない、、、
発想の転換失敗でしょうか。いえいえ、そうとも限りません。
「何故、勉強しないの!?」と質問するということは、質問する側は『勉強はするべきだ』という前提を持っているはずです。ではその前提はどういう理由によるものなのでしょうか。
いい大学や会社に入れるから
点数の悪い子より、優位な立場にたてるから
勉強を促した親や教育者、指導者が、実績を誇れるから。
まあ、そういう側面はあるでしょうが、これを伝えて子供が、「はい勉強します」と素直になってくれるとは思えません。もし仮にこれで勉強に打ち込んでくれても、同時に困った考え方が植え付けられてしまいそうです。
・知る事そのものが楽しい。
知識が増えれば、周りのしくみや、状況がよりわかることにつながります。
興味も沸くし、一見無関係なものに関連があることがわかれば、知識欲はさらに高まります。
・他人に騙されない
無知な場合には、誤った情報を他人から与えられ、相手にいいようにあやつられてしまうかもしれません。知識を増やすことは、自分の身を守るためにも大切です。
・勉強は、義務ではなく権利
歴史を通じて、一般大衆が言葉を読み書きでき、知識を学ぶことが今ほど当たり前だった時代は存在しません。『教育・勉学』というものは、為政者にいいように情報をコントロールされ、出世の機会もなく、差別も今より更にひどく当たり前だった時代を通じ、先人達がやっとの思いで勝ち取って来た権利とも言えます。
こういう勉強のメリットを十分に認識してもらった上で、「何故、勉強しないの!?」と質問してみましょう。
「頭が悪いから」
「暗記が苦手だから」
「役に立つとは思えないから」
「勉強が嫌いだから」
私は頭の良さは他人と競う必要はないと考えています。どう考えても勝てない相手というのは存在します。しかしながら、知識をつけることで、昨日の自分に勝つことは不可能ではありません。地道に努力を続けていれば、気付けば勝てないと思っていた相手をはるかに超えていたという場合もでてくるでしょう。
勉強が嫌いな場合には、勉強が役立つこと、勉強の楽しさを知れる機会を一緒に探っていくことが必要となります。
暗記が苦手、苦手科目があるという場合には、まずは苦手意識を解消するために、ハードルの低いところから始め、徐々にハードルを上げていくのが良いでしょう。
すごく薄い本や参考書をまずは一度読み終える。それを何度か繰り返して読んでみる。私自身暗記がすごく苦手なのですが、「興味をもつこと」「反復すること」は非常に有効な戦略となります。苦手意識を軽減させ、ちょっとした成功体験を増やし、自己肯定感につなげながら徐々にハードルをあげていくのがよいでしょう。
さて、『育休』に話しを戻しますが、千葉市と違って育休の取得が進まない理由の一つに職場の理解が得られないという状況も存在するようです。
2021年5月23日 東京新聞5.23Eの記事からです。
"4人に1人が「パタハラ」被害経験 上司の妨害などで4割が取得諦め 厳しい男性の育児参加
過去5年間に勤務先で育児に関する制度を利用しようとした男性の26.2%が、育児休業などを理由にした嫌がらせ「パタニティーハラスメント(パタハラ)」被害の経験があると回答していたことが23日、厚生労働省の調査で分かった。上司による妨害行為が多くみられ、経験者の42.7%が育休の利用を諦めた経験があった。
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