金属や樹脂の中で表面に接着剤が付きにくい、あるいは様々な接合技術を用いてもくっつけることが出来ないものがあります。
例えば、樹脂でいうともともとものをはじく性質を持っているシリコーンやテフロンなどは接着が出来ません。金属で言えばアルミのようにすぐに酸化膜を形成してしまうものは半田付けが出来ません。
しかし、世の中にはシリコーンやテフロンの表面に別の樹脂を張り付けたいとかサインペンでNoを書き込みたいということが発生します。そのような課題に関して今までは表面に傷をつけて接着面積を増やして少しでも接着しやすいようにするというような工法が用いられてきましたが、完璧にくっつけるのは難しいのが現実です。あるいは油性ペンで書いた文字が消えてしまうということが起きてしまっていました。
そこで現在ではプラズマによる表面の改質工法が用いられています。
上の写真はお客様からテフロンコーティングされたフィルムの表面に同じようなフィルムを張り付けたいというご注文をいただきプラズマ処理で張り付けたものです。
それでは、なぜプラズマ処理をするとくっつかないものがくっつくようになるのでしょうか。
それには2段階で考える必要があるみたいです。
1つ目は、前々回で書きましたが、プラズマからものすごい数の電子やイオンが発射されてそれが分子1個分に満たないような微細な凹凸をつけるようになって接着面積が増えるということが考えられます。
もう一つは、飛び出した電子やイオンが目的とする樹脂や金属と結びついて別の物質を形成する働きです。別の物質に変化することでくっつきにくかった素材がくっつきやすい素材に変化します。
このようにして、プラズマは今までは扱いにくかった物質を加工しやすいようにしていきます。
現在では工業的に接着という工程の中でプラズマ改質がどんどん用いられています。プラズマ加工機のコストが下がることでこれからどんどん増えていくと思います。