身近なところで使われている素材としてアルミナを紹介します。
アルミナ(Al2O3)は、アルミニウムの酸化物で、酸化アルミニウムとも呼ばれます。白色の粉末状の化合物で、高い融点、耐熱性、化学的安定性、電気絶縁性などの特性を持ち、さまざまな産業で広く利用されています。
アルミナの特徴や用途は次のとおりです。
- 化学的に安定:ほとんどの酸やアルカリに侵されにくく、耐薬品性に優れています。
- 高硬度:モースの硬度計では、アルミナの単結晶であるサファイヤがダイヤモンドに次ぐ硬さとなっています。
- 電気絶縁性に優れている:体積抵抗率や絶縁破壊電圧など電気的物性値が高く、高温時においても絶縁性を保ちます。
- 耐熱性に優れ、熱伝導率も良い:熱伝導率が高く、耐熱性(約1500℃)に優れています。
アルミナは、次のような用途で使用されています。
- ルビーやサファイアの主成分:アルミナの結晶であるコランダムに不純物として酸化チタンなどが含まれると青くなり「サファイア」、酸化クロムが含まれると赤くなり「ルビー」と呼ばれる宝石になります。
- 吸着剤:アルミナを熱処理すると水分吸着性能が高い吸着剤ができ、脱湿や乾燥に効果的です。
- 研磨剤:アルミナの結晶であるコランダムは非常に硬く、ダイヤモンドにも次ぐ強度があるとされています。
- 成膜:アルミナはALD(原子層堆積)装置で成膜することができ、MOS-FETのゲート絶縁膜などを作る用途で知られています。
アルミナに不純物が入ると宝石になるということはあまり知られていないですね。写真のアルミナは2ミクロンの微粉末です。