要職に女性が少ない理由については、本ブログの昨年9/4の記事に記した。↓

 

 

大学進学率の男女差はそんなにないが、質的な違いは大きい。

東大・京大など難関大学になるほど女子比率が少なく、特に理系は少ないのだ。

 

本ブログでは、理系に女子が少ない理由も何度か考察していて、それとダブるかもしれないが、OECD加盟各国との比較記事が出たので、世界との比較で改めて考えて見たい。↓

 

 

<抜粋>

" OECDは、STEMを「自然科学」「情報」「工学」の3分野に分けて各国を比較。加盟国の平均はそれぞれ52%、20%、26%だった。日本は自然科学(27%)と工学(16%)の2分野で、比較可能な36カ国中最低だった。情報分野については「特化したデータはない」とした。
 女性の割合を専攻分野ごとにみると、自然科学分野ではスロバキアが65%で最も高かった。情報分野ではギリシャとイスラエルがともに30%、工学分野はアイスランドが39%でトップだった。
 OECDの担当者は「日本の女子生徒は科学に関する知識やスキルを持っているのに、科学分野を志望する人は少ない。女性の科学者に会ったり、親が進学を支援したりするなどして科学分野を進路に選べるようにする必要がある」と指摘した。
 OECDは、18年の国内総生産(GDP)に占める小学校から大学までの教育機関への公的支出の割合も公表した。日本は3.96%で、OECD平均の4.88%を下回り、比較可能な統計がある37カ国で8番目に低かった。
 最も高かったのはノルウェーの6.62%で、チリ(6.57%)やイスラエル(6.24%)などが続いた。イギリスや米国なども6%超で上位に位置づけた。"

<抜粋終わり>

 

理系に女子が少ないのは世界的傾向だが、日本はその傾向が特に顕著だ。

その理由を考察した比較的最近のサイトを紹介する。↓

 

 

<抜粋>

" 例えば、アメリカでは2019年時点で労働人口の約半数を女性が占めているが、エンジニア、医学者、情報セキュリティ分析、社会科学者などを含む「STEM職」に占める女性の割合は27%に過ぎない(米国勢調査局調べ)。1970年当時の8%から比べると増加しているものの、それでもまだ低水準だ。
 なかでも、STEM職の労働者の8割を占める「コンピュータサイエンス」や「エンジニアリング」に占める女性の割合は、それぞれ25%、15%と低い。これは大学でこれらの分野を専攻する女子学生が少ないこととリンクしている。

 

 

 日本の女学生のSTEM進学率も低い。文科省の「令和元年度学校基本調査」によると、2019年に大学(学部)に占める女子学生の割合は全体で過去最高の45.4%となったが、このうち理学部は27.9%、工学部は15.4%と、OECD諸国でも最低レベル。

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 チャンさんは特に日本の状況について「女性に自信がない」点を挙げている。「彼女たちは自分が思っている以上にできるのに、小さい時から『女子は〇〇すべき』という制約の中で生きています。マインドセットを変えなければなりません」(チャンさん)。

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 一方で、小さい時から男子は車のオモチャなどで遊びながら「機械」に触れていることがテクノロジーへの興味を増進するのではないか、との見方を示している。

 キオクシア株式会社・技術改革推進部の加藤芽里さんも「無意識のバイアス」を理由に挙げている。「科学技術は男子が得意」という社会のバイアスが、幼少の頃から女子が科学や技術に触れる機会を限定的にしている可能性があると指摘する。また、お手本となるような女性の「ロールモデル」が少ないことも理由に挙げている。
 加藤さんは、女子の興味の対象が将来就きたい職業にも端的に表れていることを指摘する。

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 実際に、STEM業界で活躍する女性たちの経験を聞いてみると、小さい頃から家庭内で男女の隔てなく育てられたり、両親や兄弟から少なからぬ影響を受けている印象だ。"

<抜粋終わり>

 

・ "小さい時から『女子は〇〇すべき』という制約の中で生きてる"

・ "「科学技術は男子が得意」という社会のバイアスが、幼少の頃から女子が科学や技術に触れる機会を限定的にしている"

・ "お手本となるような女性の「ロールモデル」が少ない"

 

などは、よく言われることだが、我が家では、親が意識する以前に、娘と息子で興味を示すものが違った。

同じ2歳頃にミニSLに乗せてやったが、降りてから停車している機関車の前にしゃがみこんで、食い入るように見ていたのは息子の方だ。

娘はシルバニアファミリーとかで、「おうちごっこ」みたいなことをよくしていた。

おもちゃは、子供の興味に合わせて買い与えていた。

 

それでも娘は、女子が最も少ないと言われる工学系の大学院を出てエンジニアをしている。

少なくとも我が家においては、学校に行き出してからの私の教育が大きく影響したに違いない。

 

国際比較という点では、少し古い(2014年)がこんなサイトがある。↓

 

 

<抜粋> (図はリンク元をご覧ください)

" 私は、理系職を志望する女子高生の割合が国によってどう違うかを調べました。参照したのは、OECDの国際学力調査PISA2006の結果です。この年の調査では、対象の15歳生徒(高校1年生)に対し、「将来、理系の職に就きたい」という項目にどれほど当てはまるかを尋ねています。図1は、主要国の女子生徒の回答分布です。

 日本は、欧米と比べて肯定の回答が少なくなっています。「とてもそう思う」+「そう思う」の割合は、アメリカでは43.6%ですが、日本は16.7%です。前者では女子高生の半分近くが理系職を志望していますが、日本では6人に1人。お隣の韓国も肯定率が低くなっていますが、共通の文化のようなものを感じます。

 PISA2006の調査対象は57か国ですが、「とてもそう思う」+「そう思う」の肯定回答の率を計算しました。性差も見るため、男女双方の率を出しました。図2は、横軸に男子、縦軸に女子の肯定率をとった座標上に、57の社会を位置づけたものです。高校生の理系職志望率の国際比較図をご覧ください。

 日本は左下の低い位置にあります。男子の理系職志望率は下から8位であり、女子は最下位です。

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 なお、理系職志望率は「男子>女子」の社会が多いのですが、その逆の社会も存在します。

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 別のデータをお見せしましょう。一口に理系といっても、いろいろな科目がありますが、それぞれに対する興味が男女でどう違うかです。最近公表された公的調査の結果をもとに、日米比較の図をつくってみました。

 日本は男女で図形が違って、女子のほうが物理や化学、地理への興味が低いですが、アメリカは、ほぼピッタリ重なっています。海を隔てた大国では、理系科目への興味に性差はないようです。理系への興味(適性)の男女差は、生まれながらにして決まっている? トンデモナイ。「社会的」なものなんですよ、やっぱり。人間は「社会的」につくられる。これは、私が専攻する教育社会学の基本的なテーゼです。
 はて、わが国ではどういう事態になっているのでしょう。家庭や学校において、女子が理系に進みたいと口にしたとき、「女の子なのに…」と歓迎しないようなそぶりを親や教師が見せていないでしょうか。理科でよい成績をとることを期待されていると感じる生徒の割合は、女子よりも男子で高いという調査結果もあります(村松泰子『学校教育におけるジェンダー・バイアスに関する研究』東京学芸大学、2002年)。子どもに対する役割期待が、性によって異なることを示唆するデータです。
 また、役割モデルの欠如もあるかと思います。みなさんもご存じのように、中高で理科や数学を担当する教員の多くは男性ですしね。「女子は理系に行くべからず」というジェンダー・メッセージとして生徒に伝わっていないか、という懸念も持たれます。そうなると、中高の理科教員の*%は女性にするという数値目標も必要かもしれません。ちなみに欧米諸国では、中学校の理科教員の半数以上が女性です(OECD『TALIS2013』)。"

<抜粋終わり>

 

「ジェンダー・バイアス」とか、やはり似たようなことが書かれています。

 

図3の説明

"日本は男女で図形が違って、女子のほうが物理や化学、地理への興味が低いですが、アメリカは、ほぼピッタリ重なっています。"

ですが、これは高校生の興味を示すものです。

高校生ぐらいになると、家庭や学校での教育に男女差がなければ、興味においても差がなくなるのでしょう。

 

しかし、統計的に見て、「幼児期の興味に先天的な男女差はある」と、私は思います。

それが、世界的に見ても女性に理系が少ない理由だと思います。

「男らしく」、「女らしく」というのは、その先天的な差を活かすような育て方、なのではないか。

(それが良いことか悪いことか、子供達の将来の幸福に繋がるかどうかは別にして)

日本は特にそういう意識で教育するから、際立って女性に理系が少なくなるのだと思います。