払われない所得税、かみ合わない倫理、止められない国家
誰がグローバル企業を統制できるのか?
多国籍企業は、国境を越えて活動します。そして、多国籍企業が多数の国々にその諸機能を分散させて事業を展開するようになり、国家と企業の単純な関係性が崩れつつあります。その結果として様々な問題が生じています。
例えば、スターバックス、アマゾン、アップル、グーグル、マイクロソフト、フェイスブック、ツイッターといった名だたる多国籍企業があります。こうした企業が、複雑怪奇な方法を駆使して法人税を大幅に節約していることを、皆さんはご存じですか?
なぜかアップルの日本法人が合同会社の形態をとっており、なぜか我々は日本法人のアマゾンジャパン株式会社からではなく、米国法人のAmazon.com Int'l Sales, Inc.から本や電化製品を直接購入しています。こうした企業は脱法行為を働いているわけではありません。しかしだからこそ、グローバル経営を考える上で極めて深刻な課題なのです。
アマゾン、グーグル…多国籍企業の国際的な節税
国家にとって最も深刻な課題は、国際的なネットワークを駆使した節税スキームに対してどのように対応するかという課題です。
これは日本の税制調査会でもすでに議論に上がっており、昨年度から一昨年度にかけての議論の経緯は、内閣府のウェブページ(注1)で確認することができます。中でも2013年10月24日の資料(注2)は、オンラインで手に入る無料の資料であり、概要を掴むのに最適でしょう。
例えば、英国のスターバックスが活用していた最終販売国での課税所得圧縮のための手法は、議会やメディアでの追求がされたこともあり、広く一般に知られることとなりました(注3)。これはスイスのコーヒー豆輸入を担う子会社と、オランダのコーヒー焙煎を担う子会社と知的財産を保有する子会社と、そして米国本社を組み合わせた国際的な節税手法です(注4)。
これが発覚した理由は、英国のスターバックスのトップが、誤って管理会計上の数字を参照して、「当社は利益を上げている」と一般に発表してしまったためです。しかし、財務会計上の数字では全く儲かっておらず、従って法人所得税を納めていなかったことが明るみに出て、この問題は大きくメディアで喧伝されてしまったのです。
こうした国境を活用した節税手法は、なかなか消費者の目に触れることがありませんが、確実に浸透しつつあります。身近な例で言えば、アマゾン(Amazon.co.jp)は、日本にはかなりの金額の法人税を支払っていません。
例えばアマゾンが個人に直接する販売する商品であれば「この商品は、Amazon.co.jp が販売、発送します。」と書かれています。しかし、販売しているのは実は日本法人ではなく、シアトルに本社があるAmazon.com Int'l Sales, Inc.であるため、法人税を納める必要がないのです。もちろんこれを問題とした国税庁が一時2009年に追徴課税を行いましたが、2010年、日米当局の合意により国税庁の請求は退けられています。
これ以外にも、アップル、グーグル、フェイスブック、マイクロソフト、ツイッター、リンクトイン、ペイパルなどの多国籍のインターネット企業が、ダブル・アイリッシュ・ウィズ・ダッチ・サンドイッチという節税の手法を採用していました(注5)。無形資産の計上方法に依然として議論が存在するため、特に知的財産権を用いて事業をするハイテク関連企業であれば、この方法を用いることで大幅に計上する所得を減らすことができます。
続き
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/268513/072300001/?P=1
(出処 : 7月29日 日経ビジネスオンライン)
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