決算開示で相次ぐ企業のミス、頻発すれば市場に「疑心暗鬼」も
国内企業が決算内容を開示時刻前に自社ホームページで公表するミスが相次いでいる。株価も反応しており、公平な情報開示という点が問題視されている。
東芝(6502.T )の不正会計問題を機に、ガバナンスに対する企業の姿勢があらためて問われているが、同様の事例が頻発すれば、市場に「疑心暗鬼」が強まる可能性も大きい。
<富士通株が後場急落>
30日後場、富士通(6702.T )が急落した。終値は前日比24円(3.57%)安の648.7円。午後12時30分に発表した2015年4─6月期業績が営業赤字となったことを嫌気した。
ところが、午前中の株価の動きをみると、午前10時25分前後に瞬間的に5円以上下落する場面がある。
当初、第1・四半期の決算の開示時刻は午後3時だった。だが、今回の決算内容の一部が、午前10時24分から同11時03分までホームページ上で公開されていた。これを受け、開示時刻を12時半に早める措置を取った。
市場では「開示のタイミングは重要。だが、デイトレーダーと違い、中長期投資家にとって深刻な問題かというと、そうでもない」(国内運用会社)との指摘もある。
しかし、取引所での開示前に、決算情報の一部が投資家に流れていた事態は、許されるべき行為ではない。28日には新日鉄住金ソリューションズ(2327.T )も、開示時刻より30分早くホームページに決算資料をアップするミスが発生した。
<問われる日本企業のガバナンス>
ちばぎん証券の安藤富士男顧問は、富士通のトラブルについて「情報通信に精通している企業。他の国内企業は、大丈夫なのかという不安感も広がりやすい」と話す。
現在は東芝の不正会計問題で、日本企業のガバナンスがあらためて問われている状況だ。 「ガバナンスへの期待を損なう出来事が大手企業で続けば、外国人投資家から見て日本企業は、結局何も変わらないのかという話になる可能性もある」(いちよしアセットマネジメント・執行役員運用部長の秋野充成氏)という。
SBI証券シニアマーケットアナリストの藤本誠之氏は、富士通の決算内容について「赤字額が大きく驚いた」としつつ、開示のミスが重なったことで企業として「様々な問題を抱えているのでは、という意識も働きやすい」と指摘。情報開示のミスは、市場の疑念を高めやすいと述べる。
一方、こうしたミスは、日本企業の決算発表における問題点を図らずも浮き彫りにしている。日本企業の多くは、今でも午後3時に場が引けてから重要情報である決算を発表する。
しかし、迅速な情報開示という点から、かい離しているとの批判も多い。「日本企業の決算という重要材料をホームである日本の市場が、先に消化できないのは問題」(大手証券トレーダー)という。
市場が24時間化、グローバル化するなかで、企業の情報開示姿勢も、見直しが必要になってきているといえそうだ。
(出処 : 7月30日 ロイター)