噛まずに飲め!! -2ページ目

噛まずに飲め!!

急ぎのときもメシはしっかり喰う・・・

速く喰うなら噛まずに飲め!!

 空港へ近づくに連れ

 道路は渋滞し、

 管制塔のビルが見える辺りまでくると

 車の列はピクリとも

 しなくなった。

 それどころか

 皆、車から降りて

 不安げな表情で

 空港の方を

 見つめている

 カーラジオをつけ

 いくつかの局に

 チューニングを合わせ

 理解できる範囲の情報を

 つなぎ合わせると

 空港はテロリストに

 占拠され閉鎖中らしい

 ”帰りたいんですけど”

 ボソッと呟き

 別な帰国方法に

 思いを巡らせることにした。


 おそらく

 この騒ぎが起きているのは

 首都周辺だけだから

 田舎町にでも行き

 様子を窺いながら

 陸路で隣国に脱出し

 そこから帰国する…

 そうだ!!

 この方法がイチバン

 手っ取り早く

 帰れるだろう


 思いたつと同時に

 車をUターンさせ

 ガラ空きの反対車線を

 走り始めた。


 5分ほどすると

 向こうから

 黒のトラックが

 こちらへ向かってくる

 荷台には幌がついている

 ”いくら渋滞だからって

  逆走はないだろっ!!”

 独りでキレても

 しょうがないので

 車をストップすると

 トラックも停車した。

 3,4秒の沈黙の後

 トラックの幌から

 濃いグレーの作業着姿が

 4,5人降りてくると

 1人がこちらを指さし

 全員一斉に何かを

 コチラに向けた。

 ”それって小銃だよね!!”

 全身の汗腺から

 一斉に冷や汗が吹き出し

 背筋がゾクゾクする

 ”迷ってるヒマなーし”

 意を決して

 アクセルベタ踏みして

 道路脇の雑木林に

 車を突っ込ませ

 すかさず急ブレーキをかけた


 車は草を引きずり

 枝をバキバキと折りながら

 15mほど雑木林へ進入した。

 作業服部隊は

 小銃の一斉射撃を

 浴びせてくる

 
 ナビシートのAK-47の

 ストラップをたぐり寄せながら

 車を飛び降り

 ボンネット裏へ身を隠す

 ガサガサと雑木林に

 進入してくる足音

 このままじゃ

 遅かれ早かれだ…

 小銃の安全装置をはずし、

 頭の上へ掲げるように

 構えると 

 ボンネットから

 銃口だけを出して

 汗ばんだ指で

 トリガーを引いた

 連続的な射撃音と

 発射の衝撃を受けながら

 そのまま扇形に

 銃身を回転させる

 闇雲に撃ったため

 弾丸はあっという間に

 撃ち尽くした

 気味の悪い静寂

 作業服部隊の足音が

 止まっている。


 この隙に少しでも遠くに

 逃げなくては…

 身を屈めて

 雑木林の奥へ向かって

 走り出すと

 2,3歩進んだところで

 泥濘に右足が埋まる

 ”!?!?!?”

 引き抜こうと

 踏ん張ると

 左足も埋まっていく

 足首まで泥にぬかり

 やっと一歩

 次の一歩は

 膝までぬかり

 さらには

 足の付け根まで

 埋まり

 とうとう腰まで

 泥の中に浸かってしまい

 両手で木の根を掴みながら

 泥の中を犬かきのようなバタ足で

 進もうとするが

 焦れば焦るほど

 思うように進まない

 

 後方から何かが飛んできた

 ”手榴弾かっ…!!!”

 泥の中へ身を伏せる

 しかし

 爆発は起きず

 甲高いアラーム音が

 響き渡る

 ”時限式?????”

 アラーム音の

 間隔が短くなり

 ついには

 大音響の爆発とともに

 意識が遠のいていった…


 **********************


 目が覚めると

 いつもの寝室の

 いつものベッドで

 あの時限式手榴弾の

 アラーム音が時計から

 響き渡っている

 ”夢…でしたね…”

 思い起こせば

 前の晩は

 ”たまには旅行行きたいなぁ”

 とネットでパック旅行の検索をし

 CSでJFK暗殺特集や

 アクション映画を2,3本みて

 途中で寝てしまい

 つけっぱなしのTVでは

 戦争映画をやっていたらしい

 
 4/1、エイプリルフールの

 夜の夢…しかし、

 この日だけでは物語は終わらず

 PART4までつづき

 ニコラス・ケイジと

 ブルース・ウィリスと

 スタローンと

 ジャッキーチェンを

 混ぜたような

 大活躍をすることに

 なるのですが、

 ”お前がそんな

  かっこいいわけないだろっ”

 と、怒りのツッコミを

 いただきそうなので、

 PART2以降は公開自粛とし

 永久封印させて

 いただきます(笑)

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  <昨日から続く>

 ホテル内からは

 2発目の手榴弾が

 破裂する音が鳴り響き

 小銃の銃声は

 ますます勢いを

 増していた。

 運転席に

 這いずり上がると

 ハンドルに額をつけ

 身を屈めたまま

 車を急発進させる

 後方から

 こちらへ向かって

 怒号と銃声が飛ぶ

 ”見た奴は

  逃がさないってか~???”

 裏返った声で

 独り言を呟きつつ

 シフトダウンして

 アクセルを床が抜ける勢いで

 踏みつける

 ホテルの壁が焦げるニオイに

 タイヤの焦げるニオイが混じり

 加速Gがイッキに身体を

 押しつける

 兎に角ここは逃げの一手だ


 タ・タ・タン…タ・タ・タン…

 正確に3発ずつ、

 銃弾の発射音

 ”当たるなよ~っ…”

 こんな事になるなら

 もうちょっとマジメに

 晴れた日は

 神社にお参りして

 毎月命日に

 ご先祖様の墓参りして

 毎週日曜には

 教会通うんだった

 いまさら遅いかぁ…

 無事帰れたら

 お賽銭を札束にして

 彼岸団子を特盛りにして

 土曜日も教会行くから

 どなた様か

 お助けぇぇぇっ


 これが天に届いたかどうか

 逃げた奴には発砲しても

 追いかけてまでは

 来ないらしい

 しばらく走ると

 ドアミラーには

 何も映っていないことに

 気づいた。


 まずはひと安心

 …次の瞬間……


 急ブレーキっ

 何かが転がって

 道を塞いでいる

 ”あーこれはなんだか

  駄目なパターンの

  ヤツだぁ”

 と凹みつつ車を降り

 塞いでるモノに近づくと

 案の定、

 さっき検問してた

 警察官だった

 確認するまでもなく

 魂は天に召されている

 気が進まないが

 背に腹は代えられないので

 両足を抱えて

 ズルズルと道路脇にある

 パトカーの傍へ移動させる

 見とはなしに

 パトカーの中を覗くと

 後部席に

 AK-47が積んである???

 自動小銃が積んであるとは

 たいそうな

 重装備パトカーだ

 ”出番のありませんように”

 と祈りつつ

 AK-47を後部座席から

 拝借する

 こんな物騒な場所に

 長居は無用とばかり

 すぐに空港へいき

 帰国することにした。

 <つづく>

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 <昨日から続く>

 スーツケースを転がし

 エントランスへ向かうと

 はこの国の気候には

 おおよそ似合わない

 濃いグレーのスーツを着た

 ビジネスマン風?が7,8人

 大きなアタッシュケースを

 携えてどやどやと

 ロビーへ入ってきた。

 観光客風と保険セールスマンたちに

 異様な緊張が走る

 ”現地の政府筋かな”

 とも思ったが、

 ふと目をやった

 彼らの左脇が不自然に

 膨らんでいる

 ”こいつら拳銃携帯かよ!!

  警官?軍人?”

  と自問自答していると

 1人がベルトのあたりに

 手を伸ばし上着の裾から

 何かを取り出した

 ”ピーンッ”

 という独特の金属音

 ”伏せろっっっテ…”

 と叫びながら

 横っ飛びに

 黒檀製のテーブルを

 盾にするように転がして

 後ろへ隠れ

 ”…ロリトだ”

 と言葉を続けた

 独特の金属音は

 手榴弾の安全把解除音だった。

 フロント奥にある

 エレベータゲート近くで

 爆発音がし、

 そこら中の

 壁と天井と家具と

 雑多なモノの欠片が

 バラバラと飛び交い

 塵と埃と煙とで

 視界が真っ暗になった。

 同時に小銃の銃声が

 数挺分鳴り響き、

 何もかもが

 めちゃくちゃに

 破壊されていく音と

 悲鳴と絶叫と呻き声が

 辺りを覆い尽くした


 ”逃げ道は…???”

 火事が起きているのか

 ロビー内は異常に熱い

 左手方向から風が吹く

 ”風っ???”

 一連の騒ぎで

 ガラスというガラスが

 すべて割れたため

 エントランスのドアと

 周辺の窓がガラ空きだ

 ”アメリカ人なら 

  Oh My God!!

  とかいうんだろうな”

 と、緊張感のないことが

 頭をよぎりながら

 銃声がホテルの

 奥へ向かっていることを

 確認すると

 左手の窓に移動…

 できないっ!!!

 身体が硬直し、

 膝が笑って足に力が入らない

 ”ビビッてたら

  死んじゃうだろっ

  動けよポンコツ”

 と自分の身体に

 悪態をついて拳で大腿を

 バンバン叩いて刺激する。

 ようやく身体の方も

 事態を理解してくれたのか

 少し震えが治まり、

 脳の命令通り動き始める


 スーツ軍団に悟られないよう

 そっと窓へ近づく

 誰も気づいてないようだ…

 身を屈ませたまま

 前方へ一回転しながら

 窓枠から飛び出し

 再び地面に伏せる

 そっと周りを窺うと

 ありがたいことに

 マジメな駐車場係君は

 真っ白なオープンカーを

 駐車場出口まで

 移動させたところで

 運転席にフリーズしている

 へたくそなホフク前進で

 運転席の下に辿り着き

 埃まみれのパンツの

 ポケットから1000円札を出し

 ”For tip!!

  Get off the car quickly!!”

と1000円札を

 駐車場係君の左手に

 無理矢理握らせ

 その手をグイッと引っ張り

 細身の駐車場係君を

 強引に車から引きずり出した。

 <つづく>
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 <昨日から続く>


 さっきまでの上機嫌が

 中機嫌に下降したせいか

 冷静になって

 ロビーを見ると

 なにやら

 妙な雰囲気に

 気がついた。

 
 このホテルを

 予約したのは

 日本人客が

 少ないからだったのだが、

 ロビーには

 アロハやらポロシャツやらの

 日本人がやたらと多い

 しかも、九割方が男…


 普通はこんなとこ、

 新婚旅行だの

 10周年だのという夫婦か

 恋人同士、訳ありカップル

 家族連れなんかが

 多いはずだ。


 なかにはご丁寧に

 スーツの輩も混じっている。

 こんなリゾート地で

 アタッシュケースを持って

 保険のセールスでもあるまい…


 ロビーの観察をしていると

 ”MANAGER”の

 バッジをつけた男が

 慌てた様子で

 フロントに出てくると

 矢鱈と愛想笑いをしながら

 言い訳を始めた。


 彼によると、

 この国の高官と日本の大臣が

 今日このホテルで

 非公式に会談を行うため

 警備の都合上、

 会議場になる

 スウィートルームのある

 最上階とワンフロア下は

 全面貸し切りに

 しなければならず

 急な話だったため

 リザーブの調整が

 うまくできなかった

 ということらしい。


 そんなVIPの会議の話なんか、

 イチ観光客に話していいのかよ

 とあきれつつ

 ”悪いのは

  私じゃないんです。

  頑張ったけど

  ウマクいかなかったんです”

 といいたげな愛想笑いの

 ”MANAGER”氏に

 ”それで今日はどこで

  寝たらいいんだい”

 と尋ねると、

 15分ほど離れたところに

 ワンクラス下のホテルがあり

 そこのスウィートを

 確保してあるから使ってほしい。

 もちろん追加料金はもらわないし、

 今晩のディナーチケットも

 サービスするというので

 ご機嫌スイッチを

 ”中”から”上”に

 切り替えることにして

 こちらも

 できるだけの愛想笑いで

 ”MANAGER”氏と握手した。


 事情を聞いてみれば

 不自然な場所での検問も、

 観光客風日本人男も、

 保険セールスマンも

 全部、納得がいく。

 あれだけの人数で

 ロビーを固めてるって事は、

 当の大臣氏は

 既にチェックインして

 会談前にひとっ風呂とばかりに

 ジャグジーでも

 楽しんでいるところだろう

 それとも、

 バスタイムは終了して

 秘密の会談の前に

 ビーチを散歩でもするために

 大名行列よろしく

 家来を待たせて

 いるのだろうか…


 いずれにしても、

 せっかく

 都合の良い条件が

 決まったのだから

 フロントでの悶着を

 ヤキモキと横目で

 窺っている連中とは

 さっさと

 オサラバすることに決め、

 車を正面に

 回してくれるよう頼んだ。

 <つづく>

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 久しぶりに

 まとまった休暇が

 とれたので、

 東南アジア某国

 (名前を出すと差し障るのでw)

 へ訪れた。

 この国を訪れるのは

 何年ぶりだろうか…

 暑いは暑いが

 海風が吹く晴天に心が躍り、

 リムジンバスをキャンセル。  

 空港から

 真っ白なオープンカーを

 レンタルして

 ホテルへと向かう


 道すがら

 ダラダラとした上り坂で

 アクセルをめいっぱい踏み込み

 坂道の頂点を越すと

 いっきに急勾配の下りとなり

 つきあたりは

 赤、青、来、紫、桃…

 何色もの花が乱れ咲く

 庭園が広がっている。

 庭園の向こうは真白な砂浜と

 抜けるように碧い海に

 波がさざめき、

 坂を下ると

 そのまま吸い込まれそうな

 錯覚に陥る。


 庭園の手前を右折し、

 5分ほど走ると

 ホテルの手前では

 検問をしていた。

 
 ”こんな所で検問?”

 少し不思議に思ったが

 この国では、たまに警察官が

 こうして
 
 小遣い稼ぎをする

 風景が見られる

 ”相変わらずか…”と

 独りでつぶやき

 ヒップバックのロックをはずし 

 パスポートと国際免許を見せると

 あっさり挨拶程度でパス。

 日本人に

 小遣いをせびるわけには

 いかないのだろう。


 ホテルに着き

 オープンカーの狭いトランクから

 スーツケースを引きずり出し

 フロントへ向かう


 ところが

 チェックインでひと悶着

 予約が入っていない?!

 そんなはずはないと

 旅行代理店発行のクーポンを見せ

 予約日程を

 人差し指でトントンやって

 不機嫌ににらみつけると

 ”少々お待ちください…”

 消え入りそうな声でそそくさと

 裏のオフィスに消えていく


 おおかた

 ダブルブッキングしたのを

 言葉の通じない

 外国人ならごまかせると踏んで

 シラを切ったのだろうが

 さて、

 どうやって

 フォローするつもりか…

 <つづく>

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