道路は渋滞し、
管制塔のビルが見える辺りまでくると
車の列はピクリとも
しなくなった。
それどころか
皆、車から降りて
不安げな表情で
空港の方を
見つめている
カーラジオをつけ
いくつかの局に
チューニングを合わせ
理解できる範囲の情報を
つなぎ合わせると
空港はテロリストに
占拠され閉鎖中らしい
”帰りたいんですけど”
ボソッと呟き
別な帰国方法に
思いを巡らせることにした。
おそらく
この騒ぎが起きているのは
首都周辺だけだから
田舎町にでも行き
様子を窺いながら
陸路で隣国に脱出し
そこから帰国する…
そうだ!!
この方法がイチバン
手っ取り早く
帰れるだろう
思いたつと同時に
車をUターンさせ
ガラ空きの反対車線を
走り始めた。
5分ほどすると
向こうから
黒のトラックが
こちらへ向かってくる
荷台には幌がついている
”いくら渋滞だからって
逆走はないだろっ!!”
独りでキレても
しょうがないので
車をストップすると
トラックも停車した。
3,4秒の沈黙の後
トラックの幌から
濃いグレーの作業着姿が
4,5人降りてくると
1人がこちらを指さし
全員一斉に何かを
コチラに向けた。
”それって小銃だよね!!”
全身の汗腺から
一斉に冷や汗が吹き出し
背筋がゾクゾクする
”迷ってるヒマなーし”
意を決して
アクセルベタ踏みして
道路脇の雑木林に
車を突っ込ませ
すかさず急ブレーキをかけた
車は草を引きずり
枝をバキバキと折りながら
15mほど雑木林へ進入した。
作業服部隊は
小銃の一斉射撃を
浴びせてくる
ナビシートのAK-47の
ストラップをたぐり寄せながら
車を飛び降り
ボンネット裏へ身を隠す
ガサガサと雑木林に
進入してくる足音
このままじゃ
遅かれ早かれだ…
小銃の安全装置をはずし、
頭の上へ掲げるように
構えると
ボンネットから
銃口だけを出して
汗ばんだ指で
トリガーを引いた
連続的な射撃音と
発射の衝撃を受けながら
そのまま扇形に
銃身を回転させる
闇雲に撃ったため
弾丸はあっという間に
撃ち尽くした
気味の悪い静寂
作業服部隊の足音が
止まっている。
この隙に少しでも遠くに
逃げなくては…
身を屈めて
雑木林の奥へ向かって
走り出すと
2,3歩進んだところで
泥濘に右足が埋まる
”!?!?!?”
引き抜こうと
踏ん張ると
左足も埋まっていく
足首まで泥にぬかり
やっと一歩
次の一歩は
膝までぬかり
さらには
足の付け根まで
埋まり
とうとう腰まで
泥の中に浸かってしまい
両手で木の根を掴みながら
泥の中を犬かきのようなバタ足で
進もうとするが
焦れば焦るほど
思うように進まない
後方から何かが飛んできた
”手榴弾かっ…!!!”
泥の中へ身を伏せる
しかし
爆発は起きず
甲高いアラーム音が
響き渡る
”時限式?????”
アラーム音の
間隔が短くなり
ついには
大音響の爆発とともに
意識が遠のいていった…
**********************
目が覚めると
いつもの寝室の
いつものベッドで
あの時限式手榴弾の
アラーム音が時計から
響き渡っている
”夢…でしたね…”
思い起こせば
前の晩は
”たまには旅行行きたいなぁ”
とネットでパック旅行の検索をし
CSでJFK暗殺特集や
アクション映画を2,3本みて
途中で寝てしまい
つけっぱなしのTVでは
戦争映画をやっていたらしい
4/1、エイプリルフールの
夜の夢…しかし、
この日だけでは物語は終わらず
PART4までつづき
ニコラス・ケイジと
ブルース・ウィリスと
スタローンと
ジャッキーチェンを
混ぜたような
大活躍をすることに
なるのですが、
”お前がそんな
かっこいいわけないだろっ”
と、怒りのツッコミを
いただきそうなので、
PART2以降は公開自粛とし
永久封印させて
いただきます(笑)

