創作小説なので、苦手な方はブラウザバックでスルーしてください
素人なので、表現とか稚拙な点はご容赦ください






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あたしは椿

社会人2年目で、只今絶賛陰キャ腐女子再発中

大学の時は何とか周りの環境で、それなりにはしゃいで浮いた話もあったけど

同期元から少なかったのに、すぐ辞めたの多いし
残った女子は、違う世界線の子ばっかりだし
なんか朝からずっと雑用で呼ばれるし
新卒は、ここには居ない(泣)
自分の仕事なかなか終わらないし
残業はやたら注意されるだけで、根本的な解決は誰もしたがらない(雑用の効率化だけでもしてくれ!)
素敵な男性の先輩?うちの部署はほぼ既婚者だよ(多分)
何気にプリンできそうか、探りかまされるけど
そんなリスキーなことに、賭ける時間もお金もない

そりゃするよね、ヲタ活

BLに出てくる男は、皆カッコいい
理想詰め込めるから
現実から目を背けるには、もってこい

そこでしか得られないトキメキと栄養があることを
一度捨ててから再び噛み締めている

しかも
高校の時あんまり交流なかった同級生と
去年本屋でその手のコーナーで再開してから
話がメッチャ弾んで
今ではサークル組んで、コミケにも出店してる

彼女、なかなかの絵師様だから、それなりにファンも付いてる
私は絵はそこまで無いから
主にストーリー担当の、二人三脚

今や私の日常は
ネタを探すことで溢れている(BL)


そうともなれば、このつまらない日常も
薔薇色と化す事もあるのだよ…



朝のミーティングという
給料の発生しない就業20分前から
私の仕事は始まる
前は、これの前にラジオ体操あったと言うから、驚き

隣に影が差す
見上げると、3年先輩の真壁さん(♂)
ダウナー系と云うんだろうか、いつもダルそう

大きな欠伸を遅れて手で隠してる

「ーぉはぁざまぁす」
我ながら、フレッシュさの欠片もない挨拶をする

「〜うぇっす…」
眠そう、つか、ダルそう
首を左右に傾けて、小さくポキポキ音が聞こえる

「だるそっすね。昨夜遅かったんですか!?」
別に深く語るつもりは無いけど
課長が出てくるまで暇だったから、聞いてみた

「…あ〜、別に?朝はオレこんなもん」
奥二重の切れ長の目は、ドヨンとしてる
そして視線ははるか彼方

内心『あ、そ』と、思いながら
「そうっすかぁ~」と、ヘラヘラ返す

課長がやっと出てきて
昨日までの業績やら、会社の方針とか、今日の目標とか、時事ネタを
感情が見当たらない顔で、ツラツラと語ってミーティングはおしまい

今日もパソコンにデータ打ち込みながら
「ついでに」という枕詞のつく
「コピーしてきて」「書類もってって」「電話かけて」
の声掛けに、その都度席を立つ

一度は抵抗を試みたものの
朝のミーティングで公開処刑されてから

自分が急いでない限りは、やるようにした
あの日トイレで泣きながら、私は心を捨てたw

今ではポケットのお菓子を貪る時間だと理解してる

世界線の違う同期も、途中トイレで会議したりしてるしね
そのせいか、地味系は何かと呼ばれるのがネック

いくつかの書類を他部署に届けると、大概うちのも手渡されるので
それを係長の所まで持っていく

係長は悪い人じゃないんだけど、女は好きじゃないみたい
時々、私を含めた新人女子のディスりを聞いたことがあるし
先輩女子も「悪い人じゃないんだけどね~、あの人」
と最初と最後にくっつけて話をしている

女性に気は使うけど、評価はしない感じ
昭和を感じる
40才くらいだったかな
知らんけど

係長の机に書類を置くのに、大小上から揃えて置かないと
聞いてない、見てない、で叱られるので
間に小さいものが挟まってないか、確認する

「あ」
封筒に「真壁様宛」の文字を見つける

ダウナー真壁さんは
係長のすぐ隣の席なので
封書を取ってそのまま左手を伸ばし
突き出す

「真壁さん宛の書類です」

真壁さんは、しげしげと私を見つめ「何?」と答える

だーかーらー

「真壁さん宛の書類、入ってました。どうぞ」

キョトンとした顔で、封書と私の顔を何度も見返す
まだ寝ぼけてるんかい

あ…
と、呟いてから、やっと受け取ってくれた

そのまま自分の席に戻る
通りがかりに、別の先輩に腕を掴まれた

チャラ男と私の心が呼んでいる須賀崎(♂)
因みに、既婚で子持ち
誰にでもダル絡みしてくる奴

「待って待って〜!ツバッキー、首に何してんのぉ?よく見せてよ〜!」

あー!ウッセェ!勝手に触んな!!
このご時世に何する!
真壁さんが、口を開けてこっち見てる
見てないで助けろ

早く話を切り上げたくて、私は首元のペンダントを自由な方の手で摘んで見せた

この前、祖母の遺品整理で母から貰った
アメジストの指輪をペンダントに加工した物だ

コミケに指輪してったら
絵師の友達が「彫金師の友達が加工もやってるよ、紹介しようか?」と教えてくれて
枝っぽい銀の枠に、小さなオパールも付けてペンダントにしてくれた
つい数日前に受け取った物

突然の騒ぎに
周りもビックリしてこちらを見ている
その顔ヤメてー!
噂好きのおばさま達に
あらぬ疑いをかけられでもしたらと、気が気じゃなくなる

「祖母の形見で、私の誕生石です。それだけです!」

焦って早口で言ったけど
恥ずかしくて顔が赤くなるのが分かった。またそれで余計恥ずかしくなる

「えー?何?何だって?も一回!」
ニヤニヤ満面の笑顔でこういう事を言う。腹立つ

「ちょ、放してください」
本当は腕ぶん回して引き離したかったけど、流石にそう言うわけにも行かず
腕をくの字に曲げて、何とか放そうと、右に左に腕を捻る
やはりチャラ男と言えど、男の力には敵わない

チャラ男は、私を掴んだまま振り返り

「ツバッキー、アクセ貰ったんだってよー!カベー!」

真壁さんに同意を求めようとしている
(「カベ」とは、チャラ男から真壁さんへの愛称」)

流石に、真壁さんも止めに入ってくれた

「ばか!お前やめろ!怖がってんだろ!」

イスから立ち上がろうとしたのを見て
チャラ男は、すぐに私から手を離した

「ごめ~ん、ツバッキー。痛くしてないよね?大丈夫?」
ヘラヘラ笑いながら、合掌して上目遣いをしてくる

いてぇわ。地味に。

「いってぇです。超痛えです。
多分折れたです。
なので病院行きます。
病院行くので、今日はもう早退します。
早退届、よろしくお願いします。ぶふっ」

言ってて途中から自分でもおかしくなってきて、最後は吹き出した

チャラ男は、一瞬ポカンとしたけど

イスごと真壁さんの所に飛んでいって

「カベー、怒られたー!w」
釣られて笑っている

チャラ男だけど、こういう笑いには付き合ってくれるので、助かる

しかし、デカいスーツ姿の男が
背もたれにもたれかかったまま、同僚(♂)を見上げるのは


良い構図だ

とても


ネーム(下書き)に入れとくか


帰ったら作業が捗るぞ♪

自分の席に戻りながら、邪な計画を立てる

日常のストレスが、こうやって変換されるのは
素晴らしい事だ
いろいろ尊い



(続く)