今投稿では、我々が作った画像から音楽を創るPC用ソフト『PhotoMusic』について説明していこうと思います。
実は初版の『PhotoMusic 1.0』は2016年の10月に発売を開始しているんですが、もう少し機能を進めてから知って欲しかったので今まで積極的に告知をしていませんでした。
しかし、そろそろ機能の強化された『PhotoMusic 2.0』の発売が迫ってきましたので、皆さんに徐々にお知らせしていきたいと思っています。
<『PhotoMusic』の機能>
PC内の画像をこのソフトに読み込むと、その色を色楽譜として曲を自動生成します。
(興味湧く人いらっしゃるでしょうか?もっと詳しい話は最後に書いておきます。)
<音楽ソフトに対する想い>
最近、いくつかのインタビューなどでも答えていますが、私は2002年に引退した段階で、作曲をする人や、ピアノを習ってた、とかギター小僧、とかなら当然知っているはずの音楽知識が全然有りませんでした。
その後、他のアーチストの制作に関わっていくにつれ、その必要性を感じ、また、体調が悪く、家で療養せざるを得ない時間が長く有り、その間に音楽の勉強をしました。
しかし、それは中々にややこしく、感想を言えば、
『これは全然知らない人にはかなりハードルが高い!』
『しかし、うまく教えれれば、みんな音楽を作れたり演奏出来たりもっと楽しめる様になる!』
と思い、知ったことを皆にも教えることも考えながら、勉強をしていました。
それが、『画像から音楽を創る』というこのソフトのアイデアに、そのまま活かされました。
なので、音楽制作のプロの方々などにしたら初歩中の初歩の音楽構造ですが、これらが分かれば簡単な曲なら作れるぞ、というくらいの知識はこのソフトを使ってるだけで得れたらいいな、と思って開発しました。
<色についての想い>
私は美しい景色や場所が大好きで、世界の中でも日本には素晴らしい見所がたくさんあると誇らしく思っているのですが、ある時、ある神社を訪れた際、神社の中は凄く清々しい気持ちになる空間なのに、そこへの往復の道中に全く美しさがないことに気がつきました。
※ちなみに、その時の気持ちを歌にしたのがこちらです。
その前後の時期にドイツ、オランダに旅する機会が有り、この2国の街の整然とした美しさとも比べてしまい、悲しい気持ちになりました。
日本の街並みは明治維新後の西洋文化や化学染料の流入、戦後の新素材の普及などで、日本独自の調和のある色使いを失ってしまったという経緯を聞き、今からでも、少しずつでも、また美しさを取り戻して欲しい、という気持ちが強くなりました。(そしたらみんな幸せじゃないですか?)
自治体ごとの建物や看板の外見的な規制というのは色相、明度、彩度の範囲や形、大きさなどで決められているそうです。
私は、これだけでなく、後ろにある景色との形や色合いのと調和も、審査や考慮される対象になった方がより美しい街並みになるのに、と思うのです。
それには、その審査員、デザイナー、発注元、街の人々、その皆が美しさを見る目が肥えていかなくてはなりません。
このソフトがそれに何か貢献出来るでしょうか?
残念ながら、私は色やデザインについては音楽よりもっと知識も経験もなく、このソフトを使うと簡単に色や形のセンスが高まる、という代物には出来ていません。
ただ、画像の明度彩度で演奏のアレンジを調節する機能があり、画像の中の色が音符になる為、画像の中の、色の明るさや配置を、このソフトの使用により意識しだす方がいてもおかしくありません。
現在、スマホの普及により毎日、膨大な回数でカメラのシャッターが切られていると思います。
そのうちの多くが"絵になる"と思った瞬間を写真に収めようとしているんじゃないでしょうか。
その為の、撮影技術、編集技術の上達発達だけでなく、“どこを撮っても絵になる街並み"をファインダー越しに皆が求めていけばいいな、とは私の、写真にまつわる個人的な想いです。
また、更に景色の色を見て、写真の構図を定める際、バックで鳴らす音を意識しながら撮影する、というのは現在きっとカメラを構える人々の多数派ではなく、面白い感覚の提案ではないかな、と思っています。
是非、視覚、聴覚にまたがる創作活動を『PhotoMusic』を使って楽しんでみて欲しいと思います。
<共感覚>
『視覚、聴覚にまたがる』感覚、と言えば、『共感覚』というのを皆さんご存知でしょうか?
なんと、文字、音、匂い、などに色を感じる、とか形に味を感じる、というような知覚の混ざった感覚で、それは超能力とかではなく、赤ちゃんの時は皆5感が繋がっていて、普通は次第に分化するのが、それが繋がったままである状態、というような説が有ります。
私も、10年くらい前?に実際に共感覚者にあう機会が有り、自分でもそれ以前から、記憶と把握の為にドレミファソラシドと1から7の数字に色を付ける、という共感覚的な作業を行なっていた為、恣意的でなく色が決まってる人がいるのか、と面白い驚きでした。
皆さんも、『この数字はこの色だな』とか『この文字にはこの色がしっくりくるけどこの色はしっくりこない』とかって感覚あるんじゃないですか?
共感覚とは言わないまでも、そんな感覚は持っている人が少なくないんじゃないかと私は思います。
また、共感覚者は何人に1人、というのも確たる説はないようですが、私が以前Twitterで『共感覚の人いますか?』と問うたところ、当時1万人前後のフォロワーの中、14人の方が自分に見える文字と色、音と色の例を詳しく説明してくれました。
案外多くないですか?それらの人の色の並びには共通点も感じられ非常に興味深い調査になりました。
この『PhotoMusic』は、色に音楽を当てはめていくので、共感覚的な作業をすることになります。
ソフトを使用していくとどのような刺激を知覚に与えるのか、また、共感覚の人々はどのようにこのソフトと付き合うことになるのか、フィードバックを興味津々で待っています。
また、これは開発もかなり進んでから、人の声を受けて気がついたことですが、
聴覚障害を持った方が自分の撮った写真で音楽を創ることが出来る。
視覚障害を持った方が音で色、映像を感じることが出来る。
という側面が有ります。
もちろん、その為に作ったソフトではないので、あくまで興味深い副産物です。しかし、もし、障害を持った方々にも使っていただけて、なにか有意義な刺激を彼ら彼女らが感じれるとしたら、開発者としては望外の喜びで有り、こちらのフィードバックが有ればそれも非常に興味深いと思っています。
<使用例>
さて、では、『PhotoMusic 2.0』を使って私が制作したスライドショーの実例をお見せしたいと思います。
いかがでしょうか?
これらの写真はフランス在住の作家、翻訳家、料理・味覚の研究者でもある関口涼子さんが主にフランスで撮影したものです。料理写真のスライドショーだと、視覚、聴覚、だけでなく、嗅覚や食欲も刺激されませんか?
料理写真1枚でも、食欲は感じますが、このスライドショーは食材選びからデザートまで時間軸で並べてみたので、制作しながらコース料理を味わった様な感覚にもなりました。
では、もう1つ。
こちらは18世紀末にフランスで発明され、19世紀にヨーロッパで大流行になったスライドショー上映会「ファンタスマゴリア」をモチーフにして、写真家・著述家の港千尋さんが撮影した、その時のポスター、映写機を使用して、そのイメージで作成しました。
演奏のし方に色々工夫の余地があり、工夫により写真のイメージをコントロール出来る、ということが、ある程度伝えられたら良いな、と思います。
さらに、1枚1枚の写真につけた音楽も聴いてみて下さい。
これらの写真は『フランスの色景 -写真と色彩を巡る旅』という、前述の港千尋さんの著書に収録されています。この本では、色の感覚を数値化するソフトを使ってフランスの風景の色を分析しています。
このソフトの開発には『フランスの色景』の共著者でもある色彩研究者の三木学がディレクターとして参加し、プロデュースを南方郁夫、ユーザーインターフェースデザインにウェブデザイナーの木村利行、アイコンを美術家、デザイナーの谷本研が担当しており、また港千尋さん始め、多数の写真家さん達が協力してくれています。
そして来たる7/13〜7/16の期間、京都芸術センターにて、彼らが自らの写真を使って制作してくれるスライドショーの、展示会を催すことになりました。
13日には、私や、他の開発者や、スライドショーを制作してくれた写真家さん達も参加してのパネルディスカッションも行います。
入場無料なので、良かったら気楽に覗きに来て下さい。
詳細はこちら。
http://www.kac.or.jp/events/21522/
さて、長くなりましたが、この様に色々な想いと工夫でソフト開発に携わりました、という初めての報告でした。
興味が湧いた方はこちらで、『PhotoMusic 1.0』のフリー版がダウンロード出来ます。http://photomusic.jp/
『PhotoMusic 2.0』は、9月上旬に発売開始予定です。
既に近年、スライドショーに音楽を提供するソフトはIT各社が提供していますが、大半が第三者が創った音楽作品です。そして時間尺は写真1枚に合わせたものではありません。
この『PhotoMusic』の特徴は、画像が表示される時間と、1曲の長さが同じだということや、音楽の知識が無くても、自分が権利を持つ画像を読み込ませて、自分で音楽を作成すると、その人に著作権が帰属する音楽を作成出来る、ということ等です。その曲を売ることも出来るし、動画サービスや営利サイトにあげても問題ないワケです。
映画からCMまで、音無しの映像は近年では考えられないんじゃないでしょうか。
静止画にも音楽があると良いんじゃないですか?
皆さんがお持ちの、良い写真、良い画像も、是非このソフトを使ってその画像のイメージを反映した音楽をつけて披露していただけると嬉しいです。
私は作詞作曲する歌手なので、『アーチスト』と称されることがあります。
しかし、その日本語訳である『芸術家』と呼ぶ、もしくは自称するとなると、ちとコソバイ感じがします。
しかし、写真家さんは、『芸術家』と言って良い人達が多数いるでしょうね。
この『PhotoMusic』は芸術や創作をサポートする作品です。
そして、私の思いとしては、このソフト作りが自分自身の、一種の芸術活動、創作活動であり、音楽活動の一環で有り、アルバムを創る様に想いやメッセージを込めて楽しみながら創りました。
現在『Photomusic』は特許を取得したユニークなモノですが、この手のソフトというのは、類似のモノ、後続のモノが次々現れ、我々のソフトも一瞬で消え去るかもしれません。
しかし、我々の場合はこういう想いで世に出してみました、ということを今、記しておきたいと思います。
私は、2002年で1度歌手活動を引退して、2014年からまた主にレゲエ関係のステージで歌手活動を再開させました。そして、この投稿が、また違う場所でも自分の役割を探してみている、というお知らせになればいいと思っています。
死亡説も出ていたとのことですから、記憶にある皆さんにとっては久しぶりに接する作品がこのソフトだというのは面白いことだと思います。
そう言えば、2014年末にステージ復帰に際して音楽のアルバムも発表しましたので、ご存知ない方の為に一応リンクを貼ってみときます。
興味のある方はお聴きになってみて下さい。
その中からもう1曲。
長々お付き合いありがとうございました。
引き続きよろしくお願いします。
ではまた。
P.S.
以下は、『PhotoMusic』の機能に興味を持たれた方の為にもう少し詳しく。
『PhotoMusic』は、
ざっくりいうと、<画像から音楽を作るソフト>です。
または、<スライドショー作成支援ソフト>とも言えます。
PC内のjpgなどの画像を、ソフト上にdrag&dropしたら、その画像の色を楽譜にして音楽を作り、それを何枚も並べて動画として書き出すことが出来ます。
細かく言うと、
画像の縦幅を2オクターブ、もしくは4オクターブと見なし、
画像の横幅を4小節と見なし、
画像の色を7色に割り振り、
その7色それぞれに楽器を当てはめ、
左から右に画像を読みながら演奏する。
というプログラミングをしています。
しかし、それだけではムチャクチャな演奏の4小節になります。
なので、
画像の一番多い色をスケールの主音と定め、※ドレミファソラシドならド
基準値より明るければメジャーキー、
基準値より暗ければマイナーキー、 ※ナチュラルマイナー
4分音符の長さごとに、その縦列が
基準値より明るければメジャーコード、
基準値より暗ければマイナーコード、
という音楽的な補正をして、
演奏する。
という西洋音楽的な補正をする機能も備えています。
各色に当てはめる楽器は、任意で128種の楽器に変更出来ます。
演奏方法も、初期設定は4分音符だけですが、8分音符、16分音符、それらのアルペジオ、などにも演奏を変更できます。
また、15パターンのビートが用意されており、いづれかを選択すると、それらは5段階の明度の基準に応じて、明るくなればなるほどビートが激しくなる様に割り振られて演奏されます。
画像のエフェクトも現在11種類用意されていて、画像がモザイクになったり、色が読み込まれてカーテン状やストライプに変化していったりさせることが出来ます。
複数枚の写真の1枚1枚それぞれに、テンポ、画像エフェクト、アレンジの設定を施し、それらを繋げてスライドショー動画としてmp4などの形式で書き出すことが出来ます。
これらをSNSなどでシェアしても、自分が権利を持つ画像であなたが作成した音楽の権利はあなたに属することになります。
という感じです。
そもそも、音と色には『明るい』『暗い』など両方に通じる形容詞が有るし、音楽ソフトには、MIDIの玉を含め、あちこちに色を付ける機能が有ります。
しかし、色を音符にする、とか、ポップスの歌手(私です。一応そうでしょ?笑)が、音楽や色のアプリ、ソフト作品を発表する、というのは世界的にも聞かないので、新しい挑戦が出来たと思っています。
(ブライアン・イーノくらい?他も例があればスイマセン。。)
更に、興味が湧いている方々は、
● こちらhttp://photomusic.jp/ から『PhotoMusic 1.0』をご購入いただく。
● 上のサイトで無料版をダウンロードしてお試しになる。
● 9月上旬発売の『PhotoMusic 2.0』を待つ。
の3択の中からご考慮ください。
ご使用いただき楽しんでもらえることを心から願っています。
では。
Nuff Respect
DOZAN