前回からの続き。

さて、松葉杖にもたれて鏡の前のドーザン。

顔の火照りに気がついた。

冬のサンフランシスコは寒い。服装で言ったら日本人にはダウンジャケットだ。
ただ、なんの体質の違いか、自分は真冬の服装なのに半袖短パンの白人男性とたまに街ですれ違うのはまずは不思議な気持ちで、次に体感温度の差の大きさに毎回プハっと笑ってしまう。

『サンフランシスコで冬でも短パンで歩いてる男はみんなゲイよー。
足が見せたいのよ!笑』

と、現地の黒髪で背の低い白人女性人が言っていた。“ゲイの聖地”として知られるサンフランシスコ特有の事情かもしれないが、日本でも同じ光景をたまに見るので、やはり彼らはちょっと我々より体温が高いのだろう..。

その、日本人にとって寒い街の、蛇口から出る冷たい水で顔を洗うが、いつもの冷たさより心地いいのだ。

鏡を見ると、左頬に一カ所、右耳に一カ所、虫刺されの様にポツっと腫れている。

『ハッ!』としてドーザン、トレーナーをめくると、腹にも2,3カ所“虫刺され”が…。
冬のサンフランシスコに蚊が??そう、ドーザンはそれが虫刺されなんかじゃないことにすぐ気がついた。

『しまった!!!!!』

今までの経験で分かった。

赤身魚にアレルギー反応があると分かっているドーザンは、それを避けるのが長年の習慣になっているが、たまに間違って食べしまい(魚じゃない加工食品に見えて魚だとか、食べれる魚だと思ったらダメなやつだったとか)、カユい、苦しい思いを何回もしてきたのだ。

『さっきの"キムチスープ"か!!??魚なんて入ってなかったのに!!!』

と、原因探しをしても時既に遅し。もう実際に症状は出ているのである。

いつものパターンは、

まず、どこかがカユくなる。で、
「うわ、蚊かダニに刺されたか⁇」
実際、腕とかに虫刺され的なふくらみがある。
しかし、次の瞬間。
「あれ、なんか腹が苦しぃ…うぅ… なんか、喉も、苦しぃ…!」
「あ‼︎…しまった!さっき食ったのナンや⁉︎ うぅ…く…くるしい…」
服をめくって腹を見たら、あっちこっちに虫刺さされみたいな湿疹が!
そしてそれは全身に広がり、収まるまで2,3時間から4,5時間…。

子供の時は何度か病院に連れて行ってもらったらしい。(お母さんありがとうT_T)
点滴などを打たれたそうだが覚えていない。

大人になってからは数時間で収まるのが分かっているので、苦しみが去るまでじっと
耐える様にするようになった。
特に出先でそうなってしまっては、どこの病院に行けば良いか分からない。

今の様にネットでググるとポンと情報が出てくる分けでなし。

その冬、日本では阪神大震災、オウム真理教テロ事件などが立て続けて起こり、国内外を揺るがす大騒動で大変なことになっていたのだが、異国のドーザンにも度重なる苦難が襲っていたのだ。

PC、携帯はもちろんない。レジデンスクラブというホテルとアパートの中間の様なその施設の部屋には電話すらあったかどうか。日本との連絡は手紙か当時家庭用に実用化され始めたところだったFAXであった。日本から初めてFAXを受け取った時は感動したものだ。

『スゴい!!!スゴい技術や!どうやって紙送ってるんや!?これもっと発達させたら人も送れるの!!??』

と真剣に思った。

今考えるとバカな話だが、初めて見た技術にそんな風に面食らったのだ。
(まぁ俺がバカなだけかも知らんけど、室町時代にテレビ持って行ったらみんな絶対、中にちっちゃい人入ってると思うと思うよやっぱり!)

時刻はもう、とっくに夜の10時を過ぎている。
それは病院に告げられた絶食時間だ。

このアレルギー症状を病院に見せに行ったとしても、絶飲時間も過ぎていれば、薬をもらっても水すら飲めない!(と、少なくともドーザンは思った。)

『病院に行って何か処方したせいでせっかく予約のとれた次の日の手術が流れてしまっちゃ困る!日本にも帰れない!』

第一、もう真夜中である、既にアレルギー症状で具合も悪い、日本の様に救急施設があるのかどうかも含め行く病院のアテも無い、色々調べたり説明するだけの英語力の自身も無い、松葉杖である、色々外は相当寒い。。。

諸々の悪条件が重なり、いつものようになんとか我慢しようと決めた。
3,4時間、寝てる間に治ってくれりゃいいけど…

祈りながらドーザンは電気を消して布団をかぶった。

ところが。。。


あ~~~~~~今回も長くなっちゃったからここまで。

続きはまた今度!

チャオチャオ!