最近めっちゃドラマを観ています。僕のこれまでの人生では異例の事態ですね。ドラマを観るには観ますが、年一ぐらいのペースです。ですから、最近、立て続けに3本、連続して観ているのは珍しい時期と言えると思います。というのも、長い間、バカなテレビドラマが横行していて、消費されているという現実がありましたし、見る価値を見出せなかったこともあります。ドラマは一気見するのが好きなタイプですし、その時その時、展開やプロット、パターンを考えてしまう僕には悪い癖があるので、毎年行われるような長寿のドラマは飽きてしまうのです。展開が読めるし、新しいモノを見出せなくなるからです。今回のこの現象の発端はネットフリックスをザッピングしていたことから始まります。時系列で行くと、『アンチヒーロー』からです。『アンチヒーロー』は来週が最終回ですから、その楽しみはあるのですが・・・ 近年、報道ではクソみたいな偏向報道ばかりするTBSですが、ドラマは年一ぐらいで凄く面白いドラマを制作します。昨年は『VIVANT』は面白かったです。お金もかかっていることでしょうし、キャストも豪華メンバー。さらに脚本がしっかりしている。僕の想像以上のモノがストーリーとして展開されていたので、夢中になってみてしまいました。僕は頭を使うドラマが凄く好きです。そういう僕のニーズと融合して、素晴らしい作品が近年、増加傾向にあると思いますね。日本のドラマも捨てたものではない。特にネットフリックスで配信されているドラマは世界に向けての発信ですから、中途半端なテレビ局の都合で作られたものなどは恥ずかしくて発信できないという事情があります。製作者の矜持が無いというところまでは堕落していないと信じたいので、ネットフリックスで発信されるドラマに関しては一定の信頼を僕は持っています。ですから、ドラマを観ると言っても、リアルタイムでテレビで視聴することはありません。CMも入りませんし、ネットフリックスで視聴した方が何かと便利です。しかも好きな時に観れるのが良い。そういう感じで、ネットフリックスでの配信には一定の信頼と、自分の都合の良さが相まって、楽しんで視聴することができているのです。

 

 今回、最初に引っかかったのは『アンチヒーロー』です。リーガル物は堺雅人主演の『リーガル・ハイ』が好きです。コミカルの中に、本当に核心を突くところがあって堪らない。堺雅人は凄い役者だと思っています。堺雅人が演じるドラマは一定の安心感があるので、『VIVANT』の時も、堺雅人が出ていて、これは面白いドラマになると思っていたものです。リーガル物は物凄く暗くなるのが定番ですが、それをどうドラマとして調理していくのか?僕の興味はそこからでした。ですから、1話だけ観て、面白くなかったら、観るのはよいか・・・という感じのノリで、観始めました。そしたら、面白いのです!。凄く思ったことは脚本がしっかりとしている。ですから、ちゃんと伏線があり、それを回収するという流れが出来ています。これはこったドラマだな・・・というのが第一印象です。ドラマの進行は興味を引くモノでした。頭を使うドラマだったからです。しかも興味深かったのは堀田真由さんです。この女優さん、芝居が素晴らしい。バラエティー番組で見せる顔と全然違うので、当初は堀田真由さんと認識できませんでした。堀田真由さんを僕が知ったのは『翔んで埼玉2 琵琶湖より愛をこめて』で出演していた時です。滋賀県解放戦線の一人でしたが、妙に存在感があって、目を引きました。その後を追っていたわけではなかったのですが、今回の『アンチヒーロー』で堀田真由さんとわかった時に、やっぱり芝居が上手いな!と感心しました。このことで引っ張られ、ズルズルと見だすことになります。実に脚本もよくできていて、話が進むたびに、いろいろな伏線が回収されていくという流れ。しかも、最初に負けて、あとで逆転するというジャンプメソッド。わかりやすい悪役。これは面白いものを全て取り入れている感じがします。しかも、頭を使わないとついていけない部分があって、このドラマは観ている人にとっては盛り上がること間違いなしのドラマになっています。これらは脚本がしっかりしていること、キャストが豪華であることが本質として支えています。けして消費ドラマではなく、きっちりと作り込んだドラマという点で僕には評価が高いです。

 

 で、『アンチヒーロー』はまだ続きがあるのですが、その間どうしよう・・・ってなりました。そこでネットフリックスでザッピングしていた時に気になったのが『御手洗家炎上する』というドラマでした。このドラマはネットフリックスオリジナル作品です。何度もしつこく出てくるので、これも1話だけという感じで観たら、最後まで観てしまいました。このドラマも凄く頭を使うドラマで面白かったですね。特に主演の永野芽郁の芝居が素晴らしかった。僕のイメージはほんわかで天然系な感じだと思っていたのですが、実に凛としている。芝居が上手いな~と感心しました。それに引きづられるように最後まで観てしまいましたが、流れの構成上、犯人がわかっても、そこまでの意外感はなかったです。頭を使うドラマですから、自然と予測はできます。どんでん返しをするのなら、ここかなと僕が思っていた通りだったからです。まあ、それは仕方がない。とはいえ、頭を使うということは僕は好きでしたから、このドラマも作り込みがしっかりしており、伏線回収もきちんとしていましたから、満足するドラマではありました。及川光博の優柔不断な人の演技が違和感なくて、素晴らしい。及川光博も素晴らしい芝居をしてくださいます。ネットというモノが切り離せない現代において、それに振り回される様をちゃんと描いているところに、最近のドラマという感がして好感を持ちました。

 

 『御手洗家炎上する』を観終わって、ひところ話題にはなっていた、『不適切にも程がある』に行きました。このドラマもネットフリックスで視聴できます。このドラマもTBSドラマですから、偏向報道のTBSがドラマでは頑張っている!という感じです。まだ4話までしか観ていないのですが、このドラマは違った意味で頭を使います。実に細かい演出がここかしこに散りばめられているからです。そういう演出を如何に気づくかということが試されていると勝手に思っています。気づいた方が断然面白いからです。しかも、現在のハラスメント事情をコメディーにしています。斬新です。さすが宮藤官九郎という感じですね。面白おかしく、しかもキャストが豪華です。これは楽しく観れるドラマですね。コメディードラマとしては最高です。多分ですが、今週中には観終わってしまうことでしょう。38年前の1986年の世相を再現しているのが凄く面白い。若干、時期のずれはあるものの、その時代のイメージとしては面白いですし、当時のヒット曲を今のコンプライアンスの波に乗せると、放送禁止の曲になるというのが痛快な笑いになります。こういう面白さに気付いているところが僕には堪らないですね。そういう中で、当時と今と時代は変わっていても、変わらない大事なことがあるということを浮き彫りにするのがテーマであると現時点では思っていて、笑いながらも心の刺さるような流れになっていくのだと考えています。僕は年齢的に38年前の風潮は充分理解していますから、逆にそれを笑いにするところが痛快ですね。やっぱりどこかおかしいという違和感をきちんと明確にしているところが、観ていて楽しいドラマです。ただ、次も次もという感じにはならないので、ゆっくりできている時に観ようという感じですね。このドラマも素晴らしいです。

 

 こんな感じで現在、ドラマをよく観てますが、多分、『アンチヒーロー』の最終回を視聴したら、観る機会は無くなるだろうと予測しています。現代はリアルタイムで観るということをしなくて良いので、当分時間が空くと思います。『アンチヒーロー』も7話ぐらいで大島優子が裏切るのでは?そういう展開になることを予想していました。で、9話の最後に裏切りが発覚しました。とはいえ、主人公を追い詰めての最後一発逆転みたいな感じでしょうから、この大島優子の裏切りもわかりやすかったので、その逆もありそうな感じがしています。その逆の方が視聴者は感激するでしょうから・・・このように、このドラマの脚本は凄くしっかりしているので、観ていて気持ちが良いです。違和感を必ず回収してくるところは脚本がしっかりしている証拠です。野村萬斎の芝居が物凄く上手い。能楽師ですが、あれだけの悪役を完璧に芝居するのは素晴らしいと思っています。芝居掛かっていないところが素晴らしいですね。なかなか、日本では悪役を上手く演じる役者が少ないなかで、こういう役者は貴重です。悪役を演じないのは役のイメージがつくことを怖れているからという視聴者の偏差値が問われる国民性なので仕方がないのですが…とはいえ、身体を張って演技することに芝居の真骨頂があるわけで、悪役を見事に演じることに魅力を感じる役者が増えて欲しいと思うのです。悪役が引き立つほど、構成上、ドラマは面白くなりますから。そこがぼんやりしていると、共感を得られないのは芝居の基本だからです。来週の日曜日以降で最終回を観るのは楽しみですが、今の反省は一気見したかったというのが正直な思いです。これは個人的な意見ですが…しかし、日本のドラマも最近は力を入れている感が凄いです。こういう良いサイクルがいろいろなところに波及していけば、楽しいもの、面白いものがより多くつくられることになりますから、視聴者としては堪らないことになります。こういう良いサイクルが続いていくと、いろいろな見方も変わっていくので、従来通りというわけにはいかず、より本質を見抜く力が大事になっていくと僕は思っています。