日々メンタルが安定するということは凄く良いことなのですが、アップダウンするのが人間の性だと思っています。僕も日々、メンタルのアップダウンがあります。ダウンした時に何に癒されるのか、いろいろありますが、音楽に頼ることがままあります。音楽は癒してくれたり、気分を上げてくれたり、人間の生活には欠かせないもモノだと思っているのです。そういう中で、今のお気に入りはこの曲なのです。

 

 

 桑田佳祐が歌う、宇多田ヒカルの『First Love』です。宇多田ヒカルのシングルカットされていないのですが、名曲中の名曲で、いろいろな人たちがカバーしています。宇多田ヒカルのオリジナルも良いのですが、この桑田佳祐のカバーは絶賛です。もう完全に桑田節にしてしまったというか、凄く心に響く歌というのがもろ伝わります。僕は歌を歌う、人の声や歌い方は一種の楽器だと思っていて、その楽器がオリジナルですから、そのオリジナルが合流して成立する時に歌は完成すると思っています。名曲とは誰が歌っても、歌の力で人を感動させることができます。でも、歌の力に負けない歌唱力やオリジナル性が加わると、名曲中の名曲になると考えます。宇多田ヒカルの『First Love』は名曲ですが、歌の力と宇多田ヒカルの歌唱力があって成立していますが、それらを超える歌唱力で完全にカバーを成立させてしまう、桑田佳祐の歌唱力には脱帽です。歌の力がある曲は名曲ですが、いろいろな人が歌っても、成立してしまうのは名曲中の名曲です。そういう中で、オリジナルを超えてしまう桑田佳祐の凄さを僕は感じます。凄いところのひとつとして、現在ではだいぶ大御所の存在なのに、若いやオリジナルという垣根を簡単に超えて、カバー曲を歌っているところです。普通はプライドやいろいろな絡みがあって、なかなかそういうことができません。特に大御所はそういうところがありがちです。しかし、桑田佳祐は凄く柔軟なんですよね。良い歌だから歌うという凄くシンプルなのです。こういう姿勢は素晴らしいと思うのです。僕は長渕剛や小田和正といった大御所がカバーを歌っているという動画には出会えていないです。表向きはオリジナルを尊重してとか言っているのでしょうが、ファンは違うと思っています。こういうところに人の柔軟性が出るのかなと。本当に歌が好きで、何でも歌いたいという初期衝動をいまだに持っている桑田佳祐という人物は本当に凄いなと感心します。そして、もうひとつ凄いところがあるのです。それはあまりサザンオールスターズの名曲がカバーされていないということなのです。

 

 サザンオールスターズはもうだいぶ長いこと活動していますし、名曲が多いバンドです。ですが、不思議とカバーされるという機会が少ないと僕は思っています。ないことはありません。ですが、楽曲の多さに比べるとという感じです。これは僕の偏見ですが、サザンオールスターズの楽曲をカバーしても、オリジナルには到底及ばないという現実があるからだと推察しています。だからやらない、やりたがらないというのが実情だと思うのです。確かに、サザンオールスターズの名曲、『いとしのエリ―』や『ミス・ブラニューディ』はカバーされています。ただ、桑田佳祐のオリジナルに匹敵する歌にはなっていません。少なくても僕はそう感じます。レイチャールズが『いとしのエリ―』をカバーしていますが、誤訳なのか、歌詞は別物になっています。特に『いとしのエリ―』の歌詞の中の心の柔らかい部分を歌いあげている描写を全く別物の歌詞にしてしまっているのは残念です。レイチャールズというブランドや大物感で、その曲を評価するということは良いのですが、僕は違和感しかなかったですね。やっぱり、桑田佳祐が歌ってこそ、あの曲は生きると僕の個人的な感想なのです。そういう意味で言いますと、桑田佳祐の歌唱力、歌い方のオリジナル性が際立ちすぎて、それを超えるというのがなかなかできないというのが僕の感想なのです。ですから、桑田佳祐というシンガーは唯一無二の存在だと思うのです。実はそういう唯一無二の存在は例があります。それは誰かというと、忌野清志郎です。

 

 忌野清志郎のオリジナル力は際立っていますが、声がセクシーですし、色気があります。で、忌野清志郎の歌もそうですが、彼の在籍するRCサクセションの曲もあまりカバーされていません。ないことはないのです。名曲『雨上がりの夜空に』はいろいろな人がカバーしています。あの歌唱力が際立つ和田アキ子もこの歌をカバーしてます。ですが、合わない…少なくても僕にはそう思えます。やはり忌野清志郎が歌ってこその、『雨上がりの夜空に』なんです。これはサザンオールスターズの名曲がカバーされにくい現象と同じです。オリジナルが凄すぎて、カバーしても、カラオケレベルのモノになってしまっているのです。オリジナルを凌駕できないというのが最大のネックであると僕は思います。カバーする歌手の良さを消してしまう、圧倒的なオリジナルの強さ。これは忌野清志郎や桑田佳祐に言えることだと思うのです。

 

 そんな圧倒的なオリジナルという武器を携えた桑田佳祐がカバーをしたら、それは鬼に金棒状態でしょう。事実、宇多田ヒカルの『First Love』も見事な出来になってしまっています。僕、個人の感想では、この桑田バージョンの方がグッときますから。まあ、人それぞれ好みがあるでしょうが、この宇多田ヒカルの『First Love』はいろいろな人に歌われているので、もはや名曲中の名曲になっていると思います。この曲は後世にまで長く伝えられる一曲であると僕は思っています。現にネットフリックスでこの曲をモチーフにしたドラマがあり、このドラマは観ないと損するぐらいのクォリティーがあります。宇多田ヒカルの『First Love』という曲がこの世に出てこなければ、この曲をモチーフにしたドラマも制作されませんから、感慨深いものがありますね。それだけ、この曲の持っている力は凄いものがあるのです。それを10代に制作し、シングルカットされていないというのが何とも言えないドラマ性を僕は感じますね。

 

 世の中がどんなに進化したとしても、音楽というモノは決してなくならないと思いますし、歌い継がれていく名曲は後世まで残るものだと思います。そういう中で、歌い手の凄さも語り継がれていくものだと思うのです。現代は記録しやすい、残りやすいという時代です。名曲のオリジナルは必ずと言っていいほど残ると僕は思います。懐かしの昭和歌謡も現代ではアレンジされ、受け継がれているのが現状です。そうやって音楽は進歩しつつも、後世まで残っていくものだと思うのです。人にとって、音楽は日常であり、必要不可欠なものだと僕は思っています。人それぞれ好みはあると思いますし、好きなジャンルも様々だと思うのですが、そういったジャンルのすべてにいろいろな歴史がありますから、純粋に音楽を楽しむという時間があっても良いのかなと考えます。今は動画で音楽を楽しめますので、進化したものだという感慨深さもありますね。