テレビの政策側が原作レイプが行い、原作者が自殺するという最悪な出来事がありました。とうとう出てしまったかという悲しい事件です。記事によりますと『昨年10月期放送の日本テレビ系連続ドラマ「セクシー田中さん」の原作者で漫画家、芦原妃名子(本名・松本律子)さんが29日、栃木県内で死亡しているのが見つかったことが捜査関係者への取材で分かった。50歳だった。亡くなった状況などから自殺とみられ、警察当局が死因や経緯を調べている。』とのことです。それにより、すぐさま日本テレビはこんなコメントを出しています。『日本テレビは映像化の提案に際し、原作代理人である小学館を通じて原作者である芦原さんのご意見をいただきながら脚本制作作業の話し合いを重ね、最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております。』とあたかも、日本テレビと原作者の間にトラブルはありません。日本テレビは全く悪くはありません。なんだったら、日本テレビは関係ありません!と言っているかの如くの冷たい内容で、腹立たしいです。日本テレビは保身丸出しです。それで、大騒動になっているのですが…実はその前からXでこの時の経緯を原作者の芦原妃名子さんがポストしていました。その内容を僕は見ていたので、さすがにこの結末は悲惨すぎて、言葉に詰まりました。芦原妃名子さんは『原作に忠実にドラマを作って欲しい』という条件を付けていたのですが、その約束は簡単に日本テレビの製作者サイドに反古にされ、違う物語になってしまいました。再三抗議をしたようですが、受け入れてもらえず、見るに見かねて、原作者の芦原妃名子さんが、9.10話の脚本を自ら手掛けることになる。これ自体、異常事態です。週間連載を抱えながらの脚本づくりはかなり、負担がかかっていたように思います。さらに、メンタル的にも追い詰められてのこの事態という流れでしょう。何ともやりきれない事件です。こういった、原作レイプは映像化、アニメ化で良くある話ですが、本当に視聴者や作者をバカにしていると考えます。テレビや映画関係者の偉そうな、上から目線が招いた結果ですから、そういう輩はこういう制作には関わって欲しくないというのが僕の意見です。酷いのは、この日本テレビのコメントに義憤を駆られた人たちによって大炎上をしたのですが、それを見ていて、こっちに火の粉が降りかからないようにか、大手映画会社4社の社長が揃って記者会見し、『我々は原作と原作者を尊重している』と述べていることです。僕から言わせれば、『お前らも、過去に同じようなことを散々してきてるじゃねぇか!』と思いましたね。テレビだけがそういうことをしていると言わんばかりの手際の良さです。叩けばホコリが出るのは映画界も一緒ですから、それに巻き込まれないように予防線を張っているという、保身の何ものでもない所業に僕は腹が立ちました。テレビも映画も同類です。同じような原作レイプは起きていることなのです。

 

 当然ですが、すべての映像化やアニメ化が原作レイプに合っているものではありません。名作や傑作ももちろんあります。しかし、原作レイプがなくならないのは、要因がいくつかあるのです。そして、その要因を持っている輩が製作者サイドにいると、原作レイプは発動してしまっていくのです。これは、テレビ界、映画界、かかわらずです。そのもっとも大きな要因は売上なのです。映像化、アニメ化するには相当なお金がかかります。広報活動もしますから、余計です。そうなると、どうしても大ヒットさせなければいけません。そこで、安易にヒットしているマンガがターゲットになるのです。ヒット作を映像化すれば、大ヒットするという信仰があるようです。スポンサーも財布のひもが緩むことでしょう。そうなると、キャストの問題です。数字を持っているキャストを主演に据えれば、ヒットは間違いなしという順番で組み立てられます。原作は後回しにされてしまいます。製作者側は原作者を下に見ていることがあります。というのも、アニメ化、映像化があれば、原作マンガの単行本の増刷は決まるので、原作者は俺たちのおかげでもっと売れて、美味しい思いをするんだぜ!感謝しろや!という考えに支配されます。そうなると、原作を滅茶苦茶にしても許されるという製作者サイドの勝手な思い込みが発動されることになります。中にはタイトルでけ同じで、全く別の物語になっている作品すらあります。こういう傲慢さが原作レイプを作るのです。原作者はまさに命がけで、マンガの原作を制作しています。そういう作品をぐちゃぐちゃにされたら・・・そういうことで、映像化、アニメ化を拒否するマンガ家もいますが、少数派です。たいていは、名前がもっと売れるならと思い、OKを出してしまいます。そして泣き寝入りする事態になっています。そういう歴史の繰り返しです。こういう原作レイプを逆手にとったマンガ家もいます。『進撃の巨人』の映像化です。作者は『進撃の巨人』のマンガを酷評していた映画評論家を脚本家に指名しました。よせばいいのに、この映画評論家は脚本を担当して、実写版の映画化をします。これが酷すぎて笑います。アニメでは素晴らしいものになったのですが、実写版は黒歴史です。これは僕の妄想ですが、『進撃の巨人』の作者は実写版をやれるものならやってみろ!という思いだったと思います。バカな映画評論家を脚本家に指名するところなど、皮肉がありすぎて、凄い!と思ってしまいました。こういう皮肉があっても、原作レイプは止まらないのです。そこには、売上優先という企業優先で、原作をリスペクトしていない、原作者を下に見ている輩どもが、大きな顔をして、うようよいるからなのです。虎の威を借りる狐共たちですね。こういう輩どもが製作者サイドにいる限り、原作レイプはなくならないと僕は思っています。

 

 実は映像化、アニメ化して大ヒットした作品には共通のモノがあります。それは何かというと、原作を好きすぎる。なので凄く詳しい。原作をリスペクトしているという熱い誠意がある人たちで作られている場合です。これは、原作の世界観を踏襲しているので、違和感がありません。しかも、原作者だけではなく、原作を支持している人達も、初めて知って観に来ている人達へもリスペクトがあるということなのです。作品の中にカスタマーファーストの概念が存在するのです。そういう作品はヒットします。やっつけで作っている、ドラマや映画にはその要素が決定的に不足しているので、駄作か、消費物になっているだけなのです。当然、そういうことに巻き込まれる、原作者はたまったものではありません。現代では、ドラマ化、映画化、したとしても単行本が売れるかどうかはわからない時代です。そうなると、ますます原作者は不利な立場に追い込まれてしまいます。だったら、断った方が良い。目先の金に目が眩むよりは・・・ということになるのですが、まあ、作者がギリギリに生活をしていたら、なかなか上手くはいかないでしょう。一概には言えないことです。ですから難しいのです。僕が残念に思うことは、保身の会見をした大手映画会社4社の社長たちが観客に対しての配慮を全く言わなかったことです。本当に見下していますよね。やってやってる感がエグイです。こいつらも散々、原作レイプをしてきている輩どもの一味ですから、批判の矢は届くべきことかなと思います。

 

 しかし、今回の事件での日本テレビのコメントは失望の何ものでもありませんね。保身の塊ですし、批判されてしかるべきです。実は、脚本家が集中砲火を浴びているのですが、これは僕の意見ですが、脚本家は日本テレビの製作者サイドのオーダーをこなしていたのだと勝手に思っています。俺様がもっと良い作品にしてやる!という仕事ではないと思います。というのも、9,10話の大事な部分の脚本を作者にゆだねているからです。思い入れや、気持ちが入っていれば、断る案件でしょう。しかし、バトンタッチをするということは、それほど思い入れもなく、オーダーをこなしていたと考えるのが自然です。この脚本家は売れっ子のようですが、だったら、オーダー通りの仕事をしてもおかしくはありません。残念なことは、作品に対して、リスペクトや情熱がないということです。淡々とこなしていたという印象です。で、この脚本家も降ろされたことにより不満を述べています。日本テレビの製作者サイドのオーダー通りの仕事をしているのになぜ?というのが根っこにあるのでしょう。ですから、批判される最大のターゲットは日本テレビの製作者サイドということになります。僕は日本テレビを観ないので、よくわかりませんが、驕りたかぶって、いるのでしょうね。しかも、保身には余念がない。テレビの衰退はこういうことがきっかけに加速しますから、全体的にテレビを観なくなる層が増えることは安易に予想できますね。まあ、テレビもスポンサーによってがんじがらめにされていますが、それでも尊厳は肥大化しているので、物凄く滑稽な感じに僕には見えます。スポンサーにはコメ突きバッタ。視聴者には堂々と胸を張る。こういうのがテレビマンの現状のように思ってしまいます。そういう輩が、原作をリスペクトできるわけがありません。単なる輩ですから、こういう奴らはいなくなって欲しいものですが…

 

 しかし、こういう原作レイプで原作者が自らの命を絶つという痛ましい事件は本当に残念でなりません。出版社は大いに反省すべきことです。原作者を守るのは出版社の義務だと思っていたのですが、現状は違うみたいで、唖然とします。こういう被害者が今後も出ないようにするのが望ましいですが、出版社は危機感を感じないのか?と疑いたくなります。原作者は命がけで作品を生み出しています。どうしてそういう情熱を軽視できるのか、不思議でなりません。読者よりも近い立場の人がそういう不感症ですと、本当にいたたまれない気持ちになります。どこの業界でも、人物と言われる人がいなくなったのだと、あらためて思いますね。芦原妃名子さんにはご冥福をお祈りいたします。