ネットフリックスで評判の良かった作品を観てみました。その感想です。いわゆる、僕の独断と偏見に満ちた感想ですので、完全に主観です。しかも好みが反映しますので、客観的に見てどうなのか?とは思います。とはいえ、この2作品、面白いは面白いです。ただ、結論から言いますと僕には刺さらなかったというところですね。最後まで観てしまう、面白さはありましたが。とはいえ、こういう面白い作品が出続けているのは凄いなと感心します。ただその中でも、好みが反映してしまうので、今回の2作品は少々辛口かなと思ったりします。

 

 まずは『サンクチュアリ』ですが、この作品自体が地上波では絶対に放送されないというのが不思議です。まあ、かなりのタブー視されていることに踏み込んでいます。八百長問題とか、タニマチの存在、可愛がりという稽古風景。これが実にリアルに映像化されていました。僕の母が相撲が好きだったので、よく解説してくれたものですが、星の貸し借りなどの八百長問題は公然の秘密だったようです。40年ぐらい前は普通にみんなが知っており、それらを許容して相撲を楽しんでいました。いつから、それがタブー視されるのかが不思議ですが。あとは大相撲の闇は元貴闘力のYouTube動画を視聴すれば、かなり暴露されています。そういうこともあり、何がタブーなのか僕にはわかりませんが、いつのまにか相撲はスポーツだととらえる風潮が出始めてからこんなことになったのだと考えます。僕が思うに、相撲はスポーツではなく神事だと思っています。ですから、興行なので、そういうブラックな団体との癒着や八百長はつきものです。それが伝統と歴史で継続しているのですから、一新なんてできる訳がありません。しかし、困った問題が起こりました。2014年に日本相撲協会は公益財団法人になってしまったことです。公益財団法人とはなにかというと、公益事業を行うということで、公益的事業として認められるのは「学術、技芸、慈善その他の公益に関する事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものをいう」とされています。その為、税制の優遇措置もあります。この税制の優遇措置というところがポイントです。多分ですが、この優遇措置に目が眩んだのでしょう。とてもじゃないですけど、一部の人達が儲かるシステムになっている大相撲にこの公益性を押すのは無理があります。ですが、やってしまった。ですから、当然、なかったことにしますし、タブー視されるというあいまいなことが起きてしまいます。スポーツというくくりに無理くりなってしまったのもこの理由であると考えます。それを暴露しようものなら、口封じもじさない覚悟で彼等は必死です。なので、相撲界の事件は後を絶えませんし、そうなるのは仕方がないことかもしれません。何年か前の貴乃花の追放劇も抵抗勢力との権力争いに負けたという話だったということです。

 

 『サンクチュアリ』という作品はそういうガチガチで、特殊な世界の中で、どう勝ち上がっていくのかというストーリーになっています。ストーリーテラーとしてはもう『スラムダンク』のパターンと同じです。王道のスポーツ漫画と同じ構造ですから、まあ、僕的にはライドできなかったという感じです。ただし、物凄く、丁寧に、細かく再現しています。こういうテーマですから、両国国技館での撮影が許可されるわけがありません。ですからセットで作るというお金を非常に賭けています。相撲ファンや相撲に興味がない人でも楽しく観れる作品だとは思います。そういう意味でも、確かにこの作品は地上波では流せません。相撲協会とズブズブのNHKが許可するわけがありません。民放はNHKの手下ですから、逆らうことなど無理でしょう。でも、たくさんの取材の積み重ねや相撲という特殊な世界をリアルに表現したことは素晴らしいと思いますね。必ずシーズン2があるでしょうし、横綱まで行くのか?というストーリー的にそうなるでしょうから、僕は時間があったら、観るかなという感じではあります。制約があるなかで、暗黙のルールが存在し、それが理不尽なことであっても、そういうものを打破して勝ち続けるというストーリーは痛快感はあると思います。『サンクチュアリ』を観て、楽しかった人にはこれからのシーズン2も期待して良いと僕は思いました。

 

 『推しの子』なのですが、この作品も芸能界の闇を暴露している側面があります。そう考えると、この2作品はタブーへの挑戦という見方をしても良いかと考えますね。その視点は面白く思えました。『推しの子』は制作サイドもすごく手の込んだことをしていると感じました。1話が82分で、2話以降が24分ぐらいの構成です。これはもし、1話を通常の24分ぐらいのモノにしてしまうと、脱落者が続出するという展開になると考えたのだと思います。そこが上手い。僕も観るまでは『推しの子』というのがまさか、アイドルの子供が前世の記憶を持ちながら推していたアイドルの子供に生まれ変わるというファンタジーものだとは思ってもみませんでした。途中でそのことがわかったら、僕も脱落してしまったことでしょう。ですが、1話が長い分、その後の展開への布石や伏線が張られているので、興味深くて、シーズン1は全部視聴してしまいました。単なるラブコメ要素も有りながら、芸能界の闇の部分をガンガン入れていく、そして、お互いの視点からそれらを観ているというのが面白く思いました。芸能界の闇の部分はタブーなのでしょうが、僕は知ってました!という感じですね。それほどショッキングなことはありませんでしたが、ウソの世界で、ウソに酔うということが成立している独特な世界観は言われてみればそうだなと思わせることもあり、感心させられましたね。単なるアイドルものでも、ラブコメ物でもなく、どこかにエッジが効いている尖った部分も見え隠れしているのが面白く感じました。ただ、そこまでは熱狂はしませんでしたから、ライドしているのかどうかというと疑問はあります。とはいえ、シーズン2もあるでしょうから、『推しの子』は進んで観たい感じがします。ちょっと、この先の展開が僕には見えていないので。とはいえ、この作品も評判が良いのはわかる気がします。単なるというくくりでは得られない、奥深さもありますし、演出が心憎い感じがしますね。現実がどうかはわかりませんが、この作品も芸能界という特殊な世界に挑んでいる気がします。そういうエッジが効いている作品は僕は好きですね。

 

 近年、大ヒットしているコンテンツはエッジの効いたところが受けているような気がしています。やはり時代というか、なんなのか、ウソはダメだ!という風潮が色濃くなっています。そのウソを暴く!というのが主流になっていっている気がします。行政のウソ、政治のウソは勘弁してほしいと思いますが、芸能のウソやエンタメのウソは許容しても良いのではないかと僕は思っています。ただ、問題なのは、芸能のウソやエンタメのウソは炎上するくせに、政治のウソ、行政のウソはなかったことにされる…これは逆転しないといけないことだと僕は思います。政治こそ、ウソだらけ、それの指示での行政もウソを実行している。これはアカンと思いますね。不倫騒動は大々的にマスコミは報道するくせに、政治のウソや行政のウソはまるで報道しない。僕にはそういう印象があります。特にパヨクが絡むウソは本当に報道しませんよね。なんなんだ?とは思っています。パヨク側のウソを告発するようなコンテンツがあっても面白いのかなと思いますが、売れるかどうかは微妙ですね。ゴシップが好きな国民ですから。それで、裏で増税しても文句が出ないのだから本当に謎ではあります。民度が低いということで済まして良いものでしょうか?その辺はもっと責めても良いというのが僕の考えではあります。とはいえ、何かの闇を、タブーを暴いていくというエッジの効いた作品は今後も出てくることでしょう。まだ、それをエンタメ化するだけシャレが効いていて良いとは思います。でも、世の中や現実はもっと残酷です。そういう人達を救う手立ての物語の終わり方にして欲しいなというのが僕の想いでもあります。