日本に伝来した仏教ですが、各時代ごとにエピソードがあり、その時のスーパースターが活躍して、仏教をお盛り上げるということが起きています。伝来してきた仏教の流れを分からないで、いきなり鎌倉仏教の話をしても、ただの暗記作業になってしまいます。そうなると、面白い話が入ってこなくなり、興味が薄れてしまうのが現状でしょう。歴史や流れを知ることで、今まで見えなかったものが見えてくるのも、また違う角度で見れることも僕にとっては重要だと考えています。ですから、今回、僕の理解していた、僕の考えをお話しします。当然、間違えや誤解はあるかもしれません。それを全部許してくれるのが日本の仏教だと僕は思っています。(笑) さて、今回はマンガ家山田玲司が分析したものを僕が少し付け加えることで、構成されています。ひとつひとつのエピソードは1冊の本になるぐらい、濃厚なものなので、今回は触りだけお話しします。

 

 Episode 1  仏教伝来と蘇我氏物部氏の争いと聖徳太子へ

 

 一応、538年に仏教伝来と習わされます。でもこれは公式な形のものです。百済王が欽明天皇に仏典と仏像を献上したということです。でもそれ以前に、口伝で、仏教は日本に入ってきています。当時、渡来人が多くシナから日本に逃げてきていて、それに伴い、仏教も入ってきています。ただ、きちんとした資料には載っていないことからこうなっています。でもいきなり仏像と経典を献上されて、なにこれ?ってなるところが、とても感激し、賞賛したという記述があることから、それ以前から仏教は知れ渡っていたと考えるのが自然です。なお、その後、仏教推進派の蘇我氏と神道保守派の物部氏で争いになります。蘇我氏は大陸との交易で大儲けしている一族で、当時大陸で流行っていた仏教と疫病を持ち込んで、大騒ぎになります。蘇我氏の意向を代弁して、聖徳太子も仏教を広める推進派として活躍します。

 

 

 Episode 2  聖武天皇の大仏建立と奈良時代の仏教

 

 貴族のものであった、仏教が平民にも伝わるところです。この内容の詳細は手塚治虫著 「火の鳥 鳳凰編」を読んで頂ければ、詳しいことはわかります。

 

 

 Episode 3  最澄 VS 空海のバトル勃発

 

 最澄という天台宗の祖であり比叡山延暦寺を創始した、物凄く勉強ができる秀才、最澄と真言宗の祖であり、高野山を開山した天才、空海。この2人のバトルが面白いですし、深いです。2人が遣唐使として唐で仏教を学び、帰国しているのが804年なので、その位の年代です。平安時代初期ですね。最澄はスーパーエリートの僧でしたが、中国で密教を完璧にできなかったことで、年下で、中国で密教を完璧にマスターした空海に頭を下げて教えを乞うというエピソードがあります。最澄もなかなかの人物ですよね。普通のエリートはそうはいきません。でも、いろいろあって、ごたごたが重なり、バトルが表面化していきます。そこもまた面白いです。一方の空海は天才でした。土木事業にも明るく、各地で空海伝説があります。しかも今でいうテーマパークを作ります。お遍路さんです。四国全てをテーマパーク化して、あの世へ行けるよというポップな感じで作り上げてしまうのです。しかし、あまりにも空海が完璧すぎたので、後継者が育たづ、真言宗は衰退していくことになります。逆に天台宗は後継者にも恵まれ、勢力を拡大し、長いこと比叡山はいろいろな意味で恐れらられる存在になりました。鎌倉仏教の勃興も比叡山なくしてはなりあえなかったのです。

 

 Episode 4 末法思想の流行と浄土教の普及

 

 平安時代末期ぐらいから末法思想が流行りだします。末法思想とはお釈迦様が亡くなった後の1000年後には仏教という形式は残るが、思想はすたれ、腐敗し、堕落し、仏教の心理を教えられるものがいなくなる。そして、市民の平穏な生活はなくなり、不穏なことばかり起きるようになるという思想です。実際にこの時期は戦乱、飢饉、疫病、天災、が頻繁に起こっており、平民はとても苦しんでいたというようです。その救いになって、流行したのが浄土教です。これは人民救済の教えでした。この浄土教から浄土宗の流れになります。

 

 Episode 5 法然、親鸞 登場

 

 この話は次回に行います。ちなみに南無阿弥陀仏の意味ですが、南無はお任せします。委ねます、という意味です。阿弥陀仏は大日如来、太陽神です。阿弥陀仏様にすべてをささげます。好きなようにしてください。という意味です。ここから他力本願の思想になるのですが、詳しくは次回にいたします。

 

 Episode 6 道元の曹洞宗 栄西の臨済宗 ともに禅宗の始まり 

 

 密教の流れからくる禅宗ですが、特に臨済宗は上手く経営に成功しています。臨済宗は宗派が後年、かなり分かれますが、鎌倉5山、室町5山と当時の幕府に可愛がられています。臨済宗の宗派ごとのお寺で抗争が勃発し、鎌倉5山と室町5山は今でいう、利権争いが行われていました。臨済宗のお寺は今でいう総合商社のような体をなしており、中国との貿易で荒稼ぎしていました。幕府の財政基盤を支えたのがこのお寺です。経営としては利権にありついているので、盤石のものとなっています。当時のお寺は今のお寺とは違い、学問の最先端であり、土木事業や貿易も推進し、また彫刻や和歌などの文化面でも貢献している、総合商社のような役割をしていました。特に禅寺は積極的であったようです。この辺のお話は僕のブログ「日本の歴史」でお話しする予定です。

 

 

 Episode 7 日蓮 登場 

 

 これは厄介なお話ですが、今後機会があればお話ししたいと思います。ちなみに時期は鎌倉時代末期です。元寇の時代です。

 

 Episode 8 応仁の乱以降、寺社の抗争が勃発

 

 応仁の乱で、室町5山の勢力が弱まると、各地のお寺が抗争を開始します。天文法華の乱など、かなりの大抗争、仁義なき戦いが長期間続きます。現存するお寺を訪れると、門などは要塞のような印象を受けるのはこの時代の名残です。抗争の原因は教義の違いというよりも単なる小競り合いの喧嘩が原因のことが多いのが面白いです。ちなみにそこに利権が絡むので、大抗争になります。

 

 Episode 9 顕如 登場。浄土真宗を復活させ、一向一揆を推進する。

 

 顕如は仏教者というよりは編集者という感じの革命児です。廃れていた浄土真宗を復興し、書物をバンバン出しては信者を増やし、武装勢力になっていきます。しかも街を構築し、無限に反映するシステムを作った人です。顕如は浄土真宗の難しいところを凄くわかりやすく解説し、人々に教え、信者を増やして、武装集団にしてしまいました。宗教者というよりは戦国武将並みの扱いになりますね。

 

 Episode 10 秀吉の仏教政策、家康の仏教政策

 

 散々暴れまわっていた仏教勢力を鎮静化させ、現代のお寺のような形にしたのが秀吉であり、完成させたのが家康です。この治め方が秀逸です。江戸時代以降は仏教勢力が大暴れすることはありません。完全に武装解除していますし、おとなしくなりました。この辺のお話しも話せば長くなるので、機会があれば、是非お話ししたいですね。

 

 

 以上のようになフェーズで整理して、流れを見ていくと、仏教はわかりやすくなると思います。やはり思うのは創始者は偉いのですが、その教えを広め、継承する優秀な後継者がいないと、現代まで受け継がれることがないのだと考えます。そういう点では弟子筋の頑張りや優秀さが必要ですよね。各時代時代にスーパースターの登場により、日本仏教は脈々と受け継がれることになります。ようやくこの流れを説明してからの、僕の好きな親鸞に行くのですが、それは次回に。