<なぜモノの値段は上がるのか? 「需要と供給」で読み解く物価高のカラクリ>
市場経済の基盤をなす法則は、消費者の行動を示すDEMANDと生産者の行動を示すSUPPLYの原理である。ある財の価格に対する消費者の購買意欲を示したDEMAND曲線は、代替効果や所得効果により右下がりとなる。対して、生産者の販売意欲を示すSUPPLY曲線は、生産拡大に伴う限界費用の上昇により右上がりとなる。これらは所得の増減、関連財の価格変動、技術革新や投入価格の変動などによっても大きく変化する。市場ではこの二つの力が交錯し、経済活動の確固たる土台を構築するのである。 これら二つの曲線が交わる点が市場均衡であり、均衡価格と均衡数量が決定される。仮に実際の価格がこの水準から乖離した場合、市場には強力な自己調整機能が働く。価格が高すぎる場合は売れ残りという余剰が生じ、生産者は価格を引き下げる。逆に価格が低すぎる場合は深刻な品不足が生じ、消費者の競争により価格は上昇圧力にさらされる。最終的に両者の数量が一致し、不足も余剰も存在しない地点へと価格は収束する。昨今の世界的なインフレーションも、この市場メカニズムを通じた新たな均衡点への移行プロセスと客観的に解釈できるのである。
経済分析における最大の誤謬は、曲線の移動と曲線上の移動の混同である。価格自体の変動による数量の変化は曲線上の移動に過ぎないが、価格以外の外部環境が変化した場合は曲線そのものがシフトする。近年のエネルギー価格高騰や半導体不足といった現代の問題も、地政学的対立やサプライチェーン寸断によるSUPPLY曲線の左方シフトとして明確に説明できる。複数の変数を切り離し、他の事情が等しいという前提で比較静学的手法を用いて分析する手法を取ることで、複雑に絡み合う経済動向の真の理由を客観的に導き出すことが可能となった。
市場とは単なる価格決定システムではない。社会の希少な資源の最適配分を決定する高度な機能を持つ。中央の命令に依存せず、価格というシグナルを通じ、何を、いかに、誰のために生産するかという三つの問いへの解答を自動的に導出する。消費者のドルによる投票が生産物を決定し、企業間の競争が効率的な生産手法を選択させ、所有する資源の価値が富の分配を決定する。無数の変数が交錯する現代社会において、市場のシグナルを正確に読み解く知識を持つことで、直面する難解な経済的課題に対する論理的かつ説得力のある提言を行う能力を獲得するのだ。
#経済学 #経済学入門
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