先日、中国人妻Tさんの話を書いたが、うちの近所の田舎では、日本女性のヨメの来てがなかった農家や低所得層中年が、細々と溜めた金を結婚相談所(まあ、有体に言うとブローカーみたいなもん)に払って外国人妻(中国・韓国・フィリピン人等)を迎えることが多い。


その中でも、最近増えてきたケースが、30代後半から40代前半の中国人女性と結婚したところ、後になってその女性に子供がいた、とわかるケース。置いてきたまま、ということもあるが、大概2,3年一緒に暮らすとかわいそうになってか呼び寄せる場合が多い。


うちで預かってた子猫「ブチとシマ(後のサクラとモモ)」の貰い手である俺の知り合い、Kさん・55歳も、4年前中国人女性と結婚し、一年経って当時16歳の娘がいるとわかって、3年前にこちらに呼び寄せた。

海外からの結婚相手に否定的な意見を持つ、うちの兄などは「子供がいるのを隠して結婚するなど詐欺も同様」などと非難しているが、Kさんのケースを聞くとどうも様子が違うようで、ブローカーが「子供がいる女性を『子供のためになる』などと言葉巧みに日本人男性に嫁がせ、嫁ぎ先には子供がいることを黙っている」というのが実態のようだ。

中国人妻は最初言葉が話せない場合が多く、騙すも何も話しようがないし、ようやくなんとか日本語で意思を伝えられるようになって「子供が心配」などというと夫がビックリ、妻のほうは「しっかり働いて認められば、子供を日本に呼んで勉強させられる」などと言われて励んでいたのだから夫が知らなくてビックリ、という感じ。



Kさんに貰ってもらった「ブチとシマ」のうち、オスのブチは去勢してから引き渡したのだが、メスのシマのほうはもう少し大きくなってからがよかろうと避妊手術をしないうちに手渡した。その「シマ、のちのモモ」が先月出産したらしく(避妊手術しなかったんかい!あー!!)、Kさんの娘U19歳から「誰かモラワナイー?」と電話がきた。


3年前日本にきたときにはやせぎすでオドオドした感じだったUちゃんは、いまや「オトチャン(Kさん)の娘」としてすっかり馴染んで堂々とした風格になり(つまり太った)、日本語も達者になった。

車の免許も取って、春にKさんと一緒に飲んだとき、帰りに「娘を呼んで、迎えにこさせる」ということをやってみせて、「いいなー!むすめー!」「実の娘だって酔っ払いオヤジ迎えになんかなかなかこねえよ!」とみんなにうらやましがられていた。


UちゃんをかわいがっているKさんに感謝しているのか、奥さんとも仲睦まじく、Uちゃんが「ワタシときどき邪魔思うから気ィ使ってふたりにしてやるねー」「でも、オトチャン気がつかないで、『U、こっちきてオトチャンとオカチャンの話聞け』言うねー」と笑っていた。


モモが産んだ子猫は3匹、モモ似のサバトラシマと、ぶちと真っ黒。そのうちサバトラは貰い手が決まった。

「オトチャンは黒いの一番好き、かわいいかわいいっていつも抱っこ、貰われてったら寂しがるかも」という、UちゃんのKさんに対する視線はとても優しい。


Kさんは、結婚する前まで世をすねた感じで、飲みにもあまり混ざらない人だった。どっかとげとげしい感じがしたし、女性からもどっちかというと侮られがちで、結婚するときも「日本人と結婚できないから中国人を貰う」といって自分を卑下していた。

しかし、娘を呼び寄せてから、Kさんから「家族を持った自信」みたいなものが感じられるようになった。奥さんは働き者で、娘も昨年から働いているから、働き手が3人もいて、生活と気持ちに余裕がでてきたのがハタから見ていてもわかる。


「海外から言葉も通じない女性を呼び寄せて結婚する」ということに、俺も思うところがないわけではないが、Kさんの場合は「中国人女性と結婚したら孝行娘がついてきた」という、非常に幸せなケースだと思う。

「家族を金で買う」みたいないやな感じ方もされようが、どの道結婚とか子供を持つとかは金抜きには考えられないし、日本人同士でも「結婚相手の値踏み」はやっているだろう。


最初に金を払っても、優しくてよく働く妻と、将来が楽しみな娘、愛してくれるかけがえのない家族を得る事ができたのだから、Kさんはとてもいい先行投資をしたと思う。もちろん、こんな幸せなケースは稀なのかもしれないけれど、非モテの「日本女性に相手にされない」ような、低収入の男も考えてもいい選択肢のような気がするのだ。


#ネウヨとかだと「日本人の男を食い物にする子持ち中国人許すまじ!」とかなるのかなあ。ちなみに、以前聞いたところKさんの収入は17万程度(一部上場企業で夜勤もありなのにマジか・・・)で、今は3人で働いているから月40万は収入があるらしい。うーん、どうよAさん?ってうまくいくことばっかりじゃないだろうけどよ。