遊牧民族スキタイは
世界でもっとも勇猛で誇り高く そして
残忍である。


ヒストリエ 2 (2)/岩明 均

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「ヒストリエ」でギリシャ人として育てられた主人公が実は自分がギリシャ人でなくスキタイ人であることを知らされたシーンで、主人公はスキタイ人に対する上の寸評を思い出し衝撃を受けつつも、自分の中で他のギリシャ人の子弟との違い・残虐性を薄々感じていたことに「ああ、やっぱりそうだったか」と得心する。

その後の展開の陰殺さにも関わらず、この瞬間の描写が奇妙に誇らしげだ。
あまりいい感情ではないとは分かっているものの、俺の中にもこういう微妙な気持ちが存在し、この主人公の感情に共鳴する。
たとえば、中国の映画で大戦時の日本軍の残虐行為が語られたりすると、申し訳ないと思うと同時に、アジアや他の地域を驚かした「日本人の残虐性」というものに心躍る。
敗戦で屈服し、平和でございます大人しい民族ですなんて強いものにひれ伏してしまった骨抜き民族であるというよりは、「日ごろ大人しくしていても暴走すると何をやらかすかわからない民族」である「過去の事例」を自覚して抑えていると思ったほうが俺にとっては誇らしい。心に刀だ。

ヒストリー・オブ・バイオレンス/ジョン・ワグナー

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しかし、人間は残虐な生き物だから戦争はなくならないとか、権力を持っているものにひれ伏さないものが愚かだとかいうやつに限って、

中国人・韓国人の残虐性とか
日本軍は追い詰められて仕方なかった とか


弱々しいヘタレなことを言う。

バカを言え。日本人の残忍さが他の民族にひけをとるわけがなかろう。

自民族に対して「麗しい浄化されたひ弱な被害者意識」を持つことのどこが誇りになるんだよ、と思う。