グエムル-漢江の怪物- コレクターズ・エディション/ソン・ガンホ

¥6,388
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以前話題になっていたので劇場でも見ていたのだが、DVDで再度見たので感想っつーか今見て思い起こしたこと。

見る前の評判では「ゲテモノ怪獣映画」とか「ペ・ドゥナの赤ジャージ」とか特撮とかフェチ部分が散見されていたので、うっかり素直に感動してしまった自分がちょっと恥ずかしくて言い出せなかったのだが、多くの人が言うようにこの映画のメインの主題は「(暑苦しいまでの)家族愛」だと思う。

子供が生きている、と知った後、残された家族は「ヒョンソ(さらわれた子供)はおなかすいていないかな」の一言で子供の捜索に動き出す。生きているなら腹をすかしているだろう、
みっともなくも懸命な捜索の合間、疲れきって食事をとっている最中、おのおのが子供にものをたべさせてやる幻覚(?)を見る。ここらへんでその様子のおかしくも情緒あふれる演出に「うっ」とくる。
子供をかわいがる、って基本こういうことなんじゃないだろうか。
自分たち(大人)が喰えなくても、子供には腹いっぱい喰わしてやりたい。
あったかくして寝させて、心配のないようにしてやりたい。

子供をかわいがる家族(大人)、それがボンクラなオヤジでも、薄汚いじいさんでも、飲んだくれの叔父でも、期待はずれの叔母でも、子供には「自分が大事にされている」というのは伝わるのだ。

さらわれた子は、もう一人「怪物」に虜にされている子供の状態が良くないのを察して、脱出を決意し、こう言う。
「私が助けを呼んでくる、お医者さん、救急隊の人、看護婦さん、警察、軍隊・・・・」
このシーンで、この子の「大人に対する無垢な信頼」を感じてまた胸が詰まる思いがする。
大人は誰も子供のために懸命に動いてくれるということを信じている。
その無辜の信頼に、家族以外の大人がまったく動いてくれない、オヤジは彼女の生存を主張することで「精神に異常をきたした」とみなされ手術されそうになり、軍隊(警察?)は捜索どころかオヤジの開放を主張するデモ隊を蹴散らしている、このギャップにまた泣かされる。

子供の苦境と言うのは大人の胸を突き刺す。また、一個人の無力さと言うものも非情に痛々しい。
思い起こしたことは長くなるので別記事で。