少子化が問題視される中、「働かないで家でごろごろしている主婦が、子供を今産まないんです。」と政府重用のジャーナリストが非難発言をして久しいが、
その「専業主婦が子供を産まない」発言を取り上げた この記事に書いた友人A夫婦の間にはまだ子供がない。
Aの奥さんはしばらく不妊治療をやめたため体調も戻りつつあるようで、パート勤めを始めた。
Aは最近になって子供を持つことを、自然のなりゆきに任せることにしてあせらないことにした、と語った。
しかし、Aより8歳年上の奥さんの心中は複雑なようで、「もっと若い人を奥さんに貰ったほうがよかったのではないか」と思うときがあるのだそうだ。
「Aくんは子供好きだから、誰かAくんの子供を産んでくれるいい人がいたら、いつでも離婚するってAくんにも言ったことあるんだ。」と。「私はもう6年もたつのにダメだから」
その子供を持ちたくても持てない、そして夫に子供を持たせてやりたいという切ない思いに心を打たれた。
そのAの奥さんがあるおり、俺とAの同級生のK子のことを非難していた。
K子は昨年1月に結婚して、12月に子供を産んだ。
「出来る人は結婚してすぐ子供ができるのよね」「長く付き合って今まで結婚してなかったのだって遊びたいとかそんなでしょ、贅沢だよね」
しかし、そんなふうに思われているK子の結婚と出産にもいろいろあった。
K子には高校から長く付き合っている恋人がいた。ちょうどその恋人と結婚を考えていた4年前、父がガンで手術をした。母親がいなかったK子は、父の看病に、家計を支える仕事に手一杯で、恋人との時間も取れず、彼氏に「別れて欲しい」と言ったときもあったんだと。
しかし、K子の恋人はなかなかいい男で、自分が結婚する相手はK子しかいないと、彼女のことを待ち続けた。
二人が突然結婚を急いだのは、K子の父親が「余命一年」と宣告されたからだ。
「意識がハッキリしているうちに花嫁姿を見せてあげたい」
車椅子に乗った父が見守る中、親族だけのささやかな結婚式が挙げられた。
そして、K子のおなかに子供がやどったと判った後、K子の父は病院で息を引き取った。
「お父さん、赤ちゃんできたよ、って言ったら、わかったのか『ん、ん』っておなかをさすったんだよ」
「名前考えて欲しかったんだけど、もう、麻酔で朦朧としてて、鉛筆を持つ力もなくてね」
「孫の顔を一目見せてあげたかった」
昨年おなかの大きくなったK子にそんな話をされた。
最近「給食費を払わないモラルの低い親」というのが話題になっている。
一昨年前この記事に書いた「ニートの息子に国民年金の督促が来た」と怒っていたオバちゃんも、「外車に乗ってるような贅沢してるのに、給食費だけ払わないなんてとんでもない親が増えて、困った世の中だ」と言っていた。
給食費滞納「義務教育だから払う必要ない」は正しいか
全国で給食費滞納総額が22億円以上にも及んでいることが明らかとなっていることが明らかになった..........
≪続きを読む≫
アメーバニュースでも先週コメントが殺到したHOTな記事だったが、コメントのほとんどが「モラルの低い親」に憤り、「給食費を払っていない子供に給食を出す必要がない」といったものまであった。コメントを寄せていたみなさんはずいぶんと「贅沢をしながら給食費を払わない親」に心当たりがあるようだったが、あいにく俺はそんな親知らない。未払い上位の地域に住んでいるものの、払っていなさそうなのは本当に経済状態が破綻している家庭くらいだ。
そんな家庭のひとつで思い当たるのが、国民年金とささやかな農業収入で孫3人を養っている老夫婦の家庭だ。3年前この記事に書いた。子供たちの父親が東京へ職探しに出て行った後も一向に事態は好転せず、結局、父親とも連絡が取れなくなり、現在行方が知れない。
申請すれば免除される制度があるそうだが、孫3人を食わせるために年老いた体で懸命にシルバーセンターで仕事を探し、役場に行くヒマもないこの老夫婦は、その制度の存在すら知らないかもしれない。老夫婦のところにいくたび、「なんでこんなことになったのか」「情けなくてしょうがない」と苦しい心境を打ち明けられる。
この家庭の父親が自衛官をしていた頃は、俺も覚えているが、母親も共働きをしていてそれなりに裕福そうだった。その頃の暮らしぶりを覚えている人は「何故そのとき贅沢をせずに万が一のときに備えておかなかったのか」と現在の「給食費も払えなさそうな」経済状況を責めるかもしれないが、求職や社会状況に何のよい兆しも見えないまま、この家庭が何もかもを失うのには、充分な時間が経ちすぎたのだ。誰しもが平等で裕福に思える日本で、貧困な家庭に育つというのがどれほど子供の心を痛めつけるか。頼りになり甘えられる親がいて、食い物に困らない、昔は当たり前のようにうけていた幸福が奪われ続けている。「給食費を払わない家の子供には給食を食わせないでいい」一見正当な大人の言葉が、子供の心を切り刻むだろう。
今は周囲の親戚や近所の人が、子供のお古の学用品や服を優先的に提供したりして、影で支えていてなんとかなっているようなものだが、もし、この老夫婦と同じような状況の家庭が、周囲に見知った人のいない孤独の中で最悪の選択をしたりしたら、「給食費を払わない保護者は悪」と断罪した立派な国民の人々は、逆に地方公務員を「何故救えなかった」とか言って責めるに違いないであろうことは想像するに難くない。
「給食費未払い」の元のデータからは「親のモラルの貧困化」という結論は一切導き出せないのに、政府の思惑を慮るのに敏なマスコミが、昨年10月のデータをいっせいに「モラルの低下」という扇動的な見出しをつけて、教育基本法改正後に出してくる。それに釣られて立派な国民が、「自分たち以外のとんでもない誰か」への説教意欲を満たすかのごとくにいっせいに群がり叩く。
上からさまざまな声が降ってくる。「女性が自分の贅沢の為に子供を産まない」「女性が相手に贅沢を言って晩婚化がすすむ」「専業主婦が子供を産まない」「働く女性は子供をちゃんと見ていない」「左翼の行き過ぎた個人主義を推し進める教師のせいで親のモラルが低下した」「親がちゃんとしつけないせいでニートが増える」
そういう声の中から、人々は「自分と関係のない悪いこと」に対する声に乗っかって一緒に非難し、自分はそんな「悪い」国民ではないのだと安心する。
給食費未納22億に憤る人々は、現在外務大臣で、小泉政権のときも要職にあった「ネチョウヨのアイドル」麻生太郎氏がころっと方向転換して非難する「ブッシュの間違ったイラク戦争」にかかった160億+思いやり予算のイラク戦費にたいしては何も言うことがないんだろう。「みんなが支持した」小泉首相の偉大な決断で、文句を言うと「みんな」を非難することになるからな。
#赤木さんの一連のコメントに絡めて、「親の金で暮らせる弱者男子」よりもっと悲惨な「親の介護で結婚もせずに一生が終わりそうな病中初老男」、「子供の稼ぎを当てにするドキュン親にたかられる一見強者の年収500万円オーバー内情火の車中年女」の話も書きたかったが、長くなるのでいったん投了。この項続く。
TBもらった記事が「親のモラルの低下」見出しにがっつりはまって説教していたので逆説教TB。コメント欄も見て欲しいが、こういう見解があるのを知った上でまた「親のモラル低下論」に乗ったのだとしたらいっそう罪深いな。多数派の意見にすぐ乗っちゃう、空気を読むのに敏な尻が軽い言論人っているよね。スパー。
その「専業主婦が子供を産まない」発言を取り上げた この記事に書いた友人A夫婦の間にはまだ子供がない。
Aの奥さんはしばらく不妊治療をやめたため体調も戻りつつあるようで、パート勤めを始めた。
Aは最近になって子供を持つことを、自然のなりゆきに任せることにしてあせらないことにした、と語った。
しかし、Aより8歳年上の奥さんの心中は複雑なようで、「もっと若い人を奥さんに貰ったほうがよかったのではないか」と思うときがあるのだそうだ。
「Aくんは子供好きだから、誰かAくんの子供を産んでくれるいい人がいたら、いつでも離婚するってAくんにも言ったことあるんだ。」と。「私はもう6年もたつのにダメだから」
その子供を持ちたくても持てない、そして夫に子供を持たせてやりたいという切ない思いに心を打たれた。
そのAの奥さんがあるおり、俺とAの同級生のK子のことを非難していた。
K子は昨年1月に結婚して、12月に子供を産んだ。
「出来る人は結婚してすぐ子供ができるのよね」「長く付き合って今まで結婚してなかったのだって遊びたいとかそんなでしょ、贅沢だよね」
しかし、そんなふうに思われているK子の結婚と出産にもいろいろあった。
K子には高校から長く付き合っている恋人がいた。ちょうどその恋人と結婚を考えていた4年前、父がガンで手術をした。母親がいなかったK子は、父の看病に、家計を支える仕事に手一杯で、恋人との時間も取れず、彼氏に「別れて欲しい」と言ったときもあったんだと。
しかし、K子の恋人はなかなかいい男で、自分が結婚する相手はK子しかいないと、彼女のことを待ち続けた。
二人が突然結婚を急いだのは、K子の父親が「余命一年」と宣告されたからだ。
「意識がハッキリしているうちに花嫁姿を見せてあげたい」
車椅子に乗った父が見守る中、親族だけのささやかな結婚式が挙げられた。
そして、K子のおなかに子供がやどったと判った後、K子の父は病院で息を引き取った。
「お父さん、赤ちゃんできたよ、って言ったら、わかったのか『ん、ん』っておなかをさすったんだよ」
「名前考えて欲しかったんだけど、もう、麻酔で朦朧としてて、鉛筆を持つ力もなくてね」
「孫の顔を一目見せてあげたかった」
昨年おなかの大きくなったK子にそんな話をされた。
最近「給食費を払わないモラルの低い親」というのが話題になっている。
一昨年前この記事に書いた「ニートの息子に国民年金の督促が来た」と怒っていたオバちゃんも、「外車に乗ってるような贅沢してるのに、給食費だけ払わないなんてとんでもない親が増えて、困った世の中だ」と言っていた。
給食費滞納「義務教育だから払う必要ない」は正しいか
全国で給食費滞納総額が22億円以上にも及んでいることが明らかとなっていることが明らかになった..........
≪続きを読む≫
アメーバニュースでも先週コメントが殺到したHOTな記事だったが、コメントのほとんどが「モラルの低い親」に憤り、「給食費を払っていない子供に給食を出す必要がない」といったものまであった。コメントを寄せていたみなさんはずいぶんと「贅沢をしながら給食費を払わない親」に心当たりがあるようだったが、あいにく俺はそんな親知らない。未払い上位の地域に住んでいるものの、払っていなさそうなのは本当に経済状態が破綻している家庭くらいだ。
そんな家庭のひとつで思い当たるのが、国民年金とささやかな農業収入で孫3人を養っている老夫婦の家庭だ。3年前この記事に書いた。子供たちの父親が東京へ職探しに出て行った後も一向に事態は好転せず、結局、父親とも連絡が取れなくなり、現在行方が知れない。
申請すれば免除される制度があるそうだが、孫3人を食わせるために年老いた体で懸命にシルバーセンターで仕事を探し、役場に行くヒマもないこの老夫婦は、その制度の存在すら知らないかもしれない。老夫婦のところにいくたび、「なんでこんなことになったのか」「情けなくてしょうがない」と苦しい心境を打ち明けられる。
この家庭の父親が自衛官をしていた頃は、俺も覚えているが、母親も共働きをしていてそれなりに裕福そうだった。その頃の暮らしぶりを覚えている人は「何故そのとき贅沢をせずに万が一のときに備えておかなかったのか」と現在の「給食費も払えなさそうな」経済状況を責めるかもしれないが、求職や社会状況に何のよい兆しも見えないまま、この家庭が何もかもを失うのには、充分な時間が経ちすぎたのだ。誰しもが平等で裕福に思える日本で、貧困な家庭に育つというのがどれほど子供の心を痛めつけるか。頼りになり甘えられる親がいて、食い物に困らない、昔は当たり前のようにうけていた幸福が奪われ続けている。「給食費を払わない家の子供には給食を食わせないでいい」一見正当な大人の言葉が、子供の心を切り刻むだろう。
今は周囲の親戚や近所の人が、子供のお古の学用品や服を優先的に提供したりして、影で支えていてなんとかなっているようなものだが、もし、この老夫婦と同じような状況の家庭が、周囲に見知った人のいない孤独の中で最悪の選択をしたりしたら、「給食費を払わない保護者は悪」と断罪した立派な国民の人々は、逆に地方公務員を「何故救えなかった」とか言って責めるに違いないであろうことは想像するに難くない。
「給食費未払い」の元のデータからは「親のモラルの貧困化」という結論は一切導き出せないのに、政府の思惑を慮るのに敏なマスコミが、昨年10月のデータをいっせいに「モラルの低下」という扇動的な見出しをつけて、教育基本法改正後に出してくる。それに釣られて立派な国民が、「自分たち以外のとんでもない誰か」への説教意欲を満たすかのごとくにいっせいに群がり叩く。
上からさまざまな声が降ってくる。「女性が自分の贅沢の為に子供を産まない」「女性が相手に贅沢を言って晩婚化がすすむ」「専業主婦が子供を産まない」「働く女性は子供をちゃんと見ていない」「左翼の行き過ぎた個人主義を推し進める教師のせいで親のモラルが低下した」「親がちゃんとしつけないせいでニートが増える」
そういう声の中から、人々は「自分と関係のない悪いこと」に対する声に乗っかって一緒に非難し、自分はそんな「悪い」国民ではないのだと安心する。
給食費未納22億に憤る人々は、現在外務大臣で、小泉政権のときも要職にあった「ネチョウヨのアイドル」麻生太郎氏がころっと方向転換して非難する「ブッシュの間違ったイラク戦争」にかかった160億+思いやり予算のイラク戦費にたいしては何も言うことがないんだろう。「みんなが支持した」小泉首相の偉大な決断で、文句を言うと「みんな」を非難することになるからな。
#赤木さんの一連のコメントに絡めて、「親の金で暮らせる弱者男子」よりもっと悲惨な「親の介護で結婚もせずに一生が終わりそうな病中初老男」、「子供の稼ぎを当てにするドキュン親にたかられる一見強者の年収500万円オーバー内情火の車中年女」の話も書きたかったが、長くなるのでいったん投了。この項続く。
TBもらった記事が「親のモラルの低下」見出しにがっつりはまって説教していたので逆説教TB。コメント欄も見て欲しいが、こういう見解があるのを知った上でまた「親のモラル低下論」に乗ったのだとしたらいっそう罪深いな。多数派の意見にすぐ乗っちゃう、空気を読むのに敏な尻が軽い言論人っているよね。スパー。