【カイロ高橋宗男】死刑が最終確定したフセイン元大統領の死刑執行日を米CBSテレビが28日に「一両日中」と報じたことでイラク国内で混乱が広がった。閣僚からは29日、「年内執行は時期尚早」との意見が噴出、死刑執行の越年を望む政府関係者は「年末年始の宗教行事終了後が適切」などと主張し、独裁者の「Xデー」に向けて諸説が乱れ飛んでいる。
「(フセイン元大統領は)新年を迎えることはない」。米政府高官は、ルバイエ・イラク国家安全保障担当顧問とのインタビュー内容をCBSが報道した後、「30日にも執行される」との見通しを報道陣に語った。その根拠として「在バグダッドの米政府筋がイラク政府筋から得た情報」と明かした。
これに対し、イラク政府閣僚から一斉に反発が上がった。
イブラヒム副法相はロイター通信などに対し、「死刑執行は最終確定から30日が経過した後に行うと法律にある」と述べ、従来の「30日以内の執行」とは違う解釈を展開した。ある閣僚は「年末年始は宗教行事が続き、死刑執行はふさわしくない」と語り、1月7日以降の執行を主張した。さらに別の閣僚は「執行にはタラバニ大統領の署名が必要だとの議論がある」と手続き的に年内執行は無理だとの見方を示した。
一方、元大統領から迫害され続けたクルド人は早期執行を期待しているとみられる。しかし、クルド人のタラバニ大統領の報道官は29日、「大統領の署名は必要ない」と主張。大統領はシーア派とスンニ派の両副大統領に「署名権限」を移譲したという。
フセイン元大統領は現在、「戦争捕虜」として米軍の刑務所に収容されているため、執行にはイラク政府への身柄引き渡しが必要だ。マリキ首相の側近はAP通信に「(元大統領は)執行の日まで米軍の刑務所にとどまる」と語った。これに対し元大統領のドレイミ弁護士は29日、「戦争捕虜を敵対政権に引き渡すことは国際法違反だ。執行は治安をさらに悪化させるだろう」と述べた。
一方、フセイン元大統領の親せきのワトバン・イブラヒム元内相らが28日、元大統領との面会を米軍に許可された。AP通信によると、元大統領は収容先の刑務所での面会の際、「受刑の準備はいつでもできている。敵の手にかかるのならば殉教者として本望だ」と高揚した口調で語り、家族あての手紙を託したという。
毎日新聞 2006年12月29日 18時58分
日本の某民放では
「フセインは死に及んでジタバタ暴れた」、とか
「死刑直後に喜んで踊り狂っているやつらが現れた」、とか
『スバラシイ死刑』の成果報告に必死だが、
年の最期に華々しく一番の敵役を死刑にして見せたところで、
その年の評価がいきなり「イラク人が合法的に独裁者をやっつけて、イラクの民主化(ぶっ)に手を貸したアメリカおよびコアリション組の勝利だ!感動した!!」に塗りかわるわけがない。
そんな茶番に騙されるのはテレビに釘付けの日本国民くらいだ。
12月30日17時0分配信 時事通信
【カイロ30日時事】フセイン元イラク大統領(69)の死刑執行に立ち会ったイラクのルバイエ国家治安顧問は30日、その時の模様を国営テレビに語った。それによると、元大統領は「すっかり観念」した様子で、一切抵抗しなかったという。
同顧問によれば、手錠を掛けられたまま処刑場に連れてこられた元大統領からは、最後の頼み事は何もなかった。ただ、イスラム教の聖典コーランを携えており、「このコーランをある男に渡してほしい。バンダルという男だ」と話したという。この人物が何者なのかは不明だ
独裁者の評価が「殉教者」に変わる可能性のほうが高い。
■ 12月の米兵死者、今年最悪 開戦以来3000人に迫る
【ワシントン30日共同】AP通信によると、イラク駐留米軍は30日までに、中西部アンバル州の戦闘などで海兵隊員ら計5人が死亡したことを明らかにした。これで12月の米兵の死者は108人となり、今年に入って最悪の月間死者数となった。
APによると、今年10月の死者は105人で、今月はこれを上回った。また独自集計の結果として、2003年3月のイラク開戦以来の米兵死者は少なくとも2995人になったとしており、3000人に迫っている。
内戦の様相を呈するイラク情勢の悪化を裏付けるとともに、フセイン元大統領の死刑執行で、さらなる治安悪化を招く恐れがある。ブッシュ米政権が進めるイラク政策見直しにも影響を与えそうだ。
(共同通信社)
この状況で「(イラク戦争に加担した国が)イラクの『民主化』に貢献する」なんてハッピーな展開をぬけぬけとほざけるのは妄想たくましいお美しい国の総理大臣だけだ。