うちの爺は昔から子供に説教するのが大好きなくせに、子供のために金を使おうとか教育をしようとか思わない性質で、子供は労働力のもとみたいな発展途上国並みの意識を未だに持っている人だ。

兄が大学進学するときも父の病状を理由に自衛隊に行くことを強引に薦めたり、

俺に関しては中卒で自衛隊学校を受けさせられた。


まあ、こんな爺に頭が上がらない親も親だが、その当時は俺の中でも爺が絶対だったので、あまり反抗もせずに従った。


でも、今は俺もアニキもひ孫にあたる兄の子供に「スポ少だの習い事だのに親に金と時間を使わせることはけしからん」と言いながら、自分たちに関しては恩義背がましく言って金と時間を使わせることを推奨する爺に対してあまり本気に受け取らないようになってきている。


大体、子供が体調が悪くてゲーゲーして家族みんなで心配してるようなときも「普段の態度が悪いからだ」などと脇で説教を始められる神経が、わが祖父ながらよく分からない。


そんな祖父が大好きなのが、朝のみのもんたの番組と、細木和子のインチキ占いだ。

どっちも詐欺師が説教するのをありがたく拝聴する番組。


その細木の出ている番組を見て、祖父が

「細木和子さんが親の因果が子に報いるとか言っていたが、本当だなあ、

○○のうちの子供が全員まともでないのは、あそこのうちの爺がさんざん悪いことをやってきたせいだ」


とかほざいたので、ひさびさに頭にきた。

その○○さんちの子供の一人はスポ少で俺が教えている生徒で、リハビリの一環として数年前から始めている。

最初は周囲になじめなかったりして、大丈夫かな、と思っていたのだが、最近では不自由なところがありながら一生懸命にやって、他の生徒もみんなで応援するようになり、その子が入ってから他の生徒にもいい影響を与えてもらって大変いい傾向だ、と思っていた。

言葉は話せないけどやさしい子で、下級生が表の公園で怪我をしたときは必死で呼びに来てくれた。

ついこの間、昇級審査を受けたときには、素晴らしい成長ぶりにお母さんが落涙して、俺も釣られて涙が出そうになったものだ。


そんな親や周囲の暖かい思いで育てられている子供さんに対して、「爺の因果でまともでない」などと言う、うちの祖父の考え方のほうがマトモでない。

その子のうちの祖父が大きな土建業であまりよくないことをしてきたといううわさも聞くが、そういった風評を孫に押し付けると言うのがものすごくムカつく。


俺の考えでは子供は「その『うち』のもの」ではなく、社会全体で支えて育てていくものだからだ。


大体、親の因果が子に報いとか言うやつ自身が、後ろめたいものをいっぱい背負ってるくせに、手前のことは棚に上げて他人様に説教しようと言うのがおこがましい。

http://www.ultracyzo.com/newssource/0406/01.html


http://suki-ri.seesaa.net/article/9503745.html


今度俺の前でそんなことを言おうものなら、「俺が出世できないのはじいちゃんの因果」とか「俺が嫁をもらえないのはじいちゃんの因果」とでも言わせてもらおうか。

まあ、直接言わないでムカムカきてるからここに書いてるんだけどさ。年寄りをいたわるのも苦労するよ。