エムスリイエンタテインメント
笑傲江湖 完全版2
マクザム
射鵰英雄伝 DVD-BOX 1
今日は彼岸の中日ということで、笑傲江湖 の話ついでに仏教雑談を。

この作品の中で令狐冲がよくやる「礼」(挨拶) 

左手を伸ばし右手のこぶしの上に合わせるやりかたですが、

「抱拳礼」と呼ばれるもので、二つの手の形で陰と陽を表し、二つをあわせることによって万物すべてを表現しています。


また、相反する二つのものをあわせることで、「友好」や「調和」の意味もあるとのこと。

俺は知らなかったんだけど、メジャーリーグで活躍するイチローさんもよくやられるとか。

ブルース・リーのファンなのか??


また、この作品のなかで、成り行き上邪派の頭目を務めることに主人公が、正派の師への恩を忘れていないということを示すために「三顧の礼」を行うのも印象深いです。

射鵰英雄伝の中では先祖や父母の霊に対して「五体投地」がよく行われます。

前半の舞台が蒙古ということもありますが、五体投地は日本でも真言宗の礼拝行のひとつにもあります。

五体投地のときの合掌の仕方はいつも仏壇に手を合わせるときの親指を伸ばして両手を合わせる「虚心合掌(こしんがっしょう)」ではなくて、右手の親指を左手の親指の上に重ね合わせる「金剛合掌(こんごうがっしょう)」になります。(作品の中でどうやっているかはよく見えなくて未確認) 右手を仏様、左手を衆生と見立て、両者のゆるぎない結びつきを表しています。


いずれにしても、先祖の霊や目上の人を敬い礼をする姿は美しく見えるもので、金庸先生の礼を重んじる「英雄」に対する考え方がよくわかる描かれ方になっていますが、

平素非礼の数々をつくし、権力の上にふんぞり返って弱者をさげすみ他民族を差別するような人間が「死者を敬う」ことを言っても、こういう武侠作品の中では拒絶されるのが常となっています。


英霊にお願いにくるのも、自分の先祖の霊にきちんとお参りしてからきなさいね、とネットや政治でウヨウヨご先祖様の威光にすがってまで過去の悲惨な歴史を肯定しようとする人たちに抱拳礼でメッセージを。

南無阿弥陀仏。