俺は大学を出てから6年、証券マンとして自信を付け徐々に良い成績も重ねてきた
リカは毎日のように夕食を作って、甲斐甲斐しく俺の帰りを待ってくれた
その頃からリカの香織と会う回数も増えていった
もっとも二人は高校卒業後も連絡は取り合っていたのでお互いの消息が途絶えることはなかったようだ
俺は、その二人のお食事会にときおり顔を出しては会話を楽しんだ
「香織は、大川先輩と行く行くは結婚するんだってさ」
「まだ彼が専門医の資格取ってからだけどね、でも彼が子供を先に作ろうかって言うのよ」
「そうなんだ、羨(うらや)ましいな」
リカは、そう言って俺に微笑んだ
俺は黙ってうなずいた
その時リカの携帯がなった
リカは、携帯わわカバンから取り出し画面を一度見てからボタンを押して携帯をカバンの奥にしまった
「出なくていいのか?」
「うん、バイト先からだから」
「ふーん」
「さて、そろそろ帰ろうか」
「そうね、大川さんも今日はお家でご飯食べる日だわ」
リカと香織は先に店を出て、店の前で支払いを済ませ出てくる俺を待った
俺たちと香織は店の前で別れ、香織は京王線、俺たちは小田急方面の階段を降りていった