凸凹珍道中

朝早くに目が覚める僕。


すぐそこは外が眺められるテラスの様な造りになっているドミ。


つうかデカいベランダにそのままベッドを置いたような場所。


だから窓はなく夜はうるさい虫も飛んでくるけど風も流れ込んでくる。


横や後ろのベッドには異なる人種の旅人が寝ていた。


僕は普段よりも厳重に荷物を施錠した。


こういう同じ旅人に限って信用できねぇ・・・。。


コソ泥野郎の一人や二人はきっと潜んでいるはずだ。


僕は下の部屋に通じる階段を下りて行き無料で提供されている朝食をむさぼった。


パンとコーヒー。


でもこれだけじゃ空腹は満たせねぇし、ど厚かましく何枚も食べるのも気が引ける。


結局2枚だけ食べてシャワーに入った。


ドミでは全てが共同だ。


シャワーも洗濯機も洗面所も便所も。


だからシャワーに入る時もサブバックをバスルームに持ち込む羽目になった。


盗まれる危険性が高い。


僕はシャワールームを出るとすでに順番待ちのイラついた感じの外人が何名かいた。


やたらもっこりした股間の外人共。


ちっ、シャワーくらいゆっくり入らせろや・・・。


屈強なコツらに勝てる訳もなく僕は日本語で笑いながらこう言った。


調子に乗んなよ、ボケ。


彼らは俺が何て言っているのか知りもせずに喜んでやがる(笑)


そのあと僕はやっぱり空腹には勝てず、外に出て改めて外食を食べに行く。


マレーシア料理と殆ど変らない料理が運ばれてくる。


ナシゴレンとスープ。


やっぱり米が一番旨い。


量は少ないけど我慢。


日本にいた時の様に常に満腹感で満たされたいけどそんな事してたらいくら物価が安い東南アジアって言っても破産しちまう。


だからグッとこらえた。


今日は日差しもなく、どんよりと曇っていた。


今にも泣きだしそうな空模様。


僕は町をうろつく気にはなれなかった。


そこそこの都会で面白味に欠けるってのも事実だがあいにくの天気と蓄積された疲労感で一杯だったから。


僕は再びベッドまで戻ってぼんやりしていた。


あぁ、、退屈やな。。


無駄にガイドブックを眺めたり日記を書いたりメールをチェックしたり、せっかくの海外だってのに慣れてしまえば結局日本と同じ。


マジでくだらねぇ・・・。


僕は煙草に火をつけてテラスのテーブルに腰かけた。


テラス付近にもベッドが並んでいてそこには同じ日本人がいた。


・・・・。


でも話しかける気にならねぇ。


腰の辺りまで垂れ下がった不潔感MAXの小汚いドレッドヘアと伸ばしっぱなしの長い髭の親父。


目ん玉も開いてるのか寝ているのか分んねぇくらい切れ長で変態っぽい野郎だ。


全然似合ってねぇし、気持ち悪いおっさんだ。


年齢は50後半程か?


ポッコリと出ただらしねぇ腹。


するといきなりヤツが話しかけてきた。


何処から来たのかとか、旅を初めて何日目とか全くどうでもいい会話。


やたら偉そうで旅慣れた様子の口調。


いちいちおせっかいな事ばかり言ってくるし気に入らねぇ。


やっぱ、第一印象通りの野郎だった。


ますますフラストレーションが蓄積されていく。。


ボケェ・・・・。


奴も僕とフィーリングが合わないと察知したらしく、不潔なドレッドをウンコみたいに巻きダサい服を着て出て行きやがった。


一週間くらい帰らねぇらしい。


ふん、何が仕事だよ。


どうせインドネシアまで女でも買いあさりに行くんだろが!!


あいつ、きっと俺みたいな日本人を捕まえては自慢話をしてウザがられているに違いねぇ。


今後二度と関わらねぇようにしよう。


しかし人間の中には色んな奴が潜んでやがるなぁ。


そうこうしているうちに空模様はさらに悪化していく。


ポツ・・・、ポツ・・・


あっ、雨が降る。


突然の大雨。


こりゃ一日降りそうな勢いやなぁ・・。


僕はコーヒーを飲みながら同じ旅人とテーブルを囲んで談笑した。


静かなシンガポールの昼下がり。


今日はこんな感じがシックリと来る。


ようし、夜になって雨があがったらマーライオンでも見に行く事にするか?


つづく