American Ride on Tripper
ダメだ、こう天気悪くちゃテンションまで下がってしまう…
降りしきる冷たい雨が寒くするのは体なのか心なのか…
なんてドワイルド男はそんなんで滅入ってなんかられない(笑)
たとえばアメリカにはこんなヤツがいる。
旧いハーレーダビッドソンをほとんど自作に近いカタチで組み上げて作ったチョッパーに跨がり、走る以外、毎日、ほとんど何もしないという男が。
まず、彼は職業を持っていない。
かつては普通の仕事に就いていたコトもあるらしいが、現状は失業保険だとか社会保障やらから入ってくる僅かなお金と、ひと月に通算して1週間ほどもやるアルバイトなどの収入により、自分ひとりの生計は、完全に賄えているという。
浮浪者ではないんだ。
カリフォルニアの外れの、小さな町の、そのまた外れにある、家賃の見るからに安そうな古びた一軒家を借りて。
過去に結婚もしたが、離婚し彼は1人でソコに住んでいる。
苦心の作であるチョッパーが1台ガレージにあり、そこにはエンジンをバラして自分でメンテナンス出来る必要最小限のツールが揃う。
家の中には寝るためのベッド、食べるための冷蔵庫があるのみ。
そして、身につけているブーツが一足、ジーンズが一着、Tシャツが一枚…
コレが全てであり、そしてコレだけで40過ぎ独身の白人男性である彼の世界はパーフェクトなワケだ。
朝は決まって10時頃、目を覚ます。
のそのそっと起きてきて、おもむろにコーヒーを飲む。
着替えなどというコトはなく、わずかなありあわせのモノで食事を済ませ、やおらガレージへいき、チョッパーの各部を点検し、ゆっくりと跨がり、腰を高く上げ、全体重をひと息にかける。
キック一発でエンジンは唸りを上げる。
その様は、まるで年季を積んだカウボーイが馬に乗る時のようだ。
「ドコッドコッドコッ」
大地にへばりついた生き物のような排気音をたて、彼はチョッパーと共にどこへいくともなく走りはじめ、午後も遅くに帰ってくる。
そして夜も11時には眠ってしまう。
こんな生活がずっと続いているんだ。
どうだろう?
ここで重要なのは彼は決して現実逃避したんではないというコト。
核心だけ言うとたぶん彼はストーンされたハイな状態に、いたって日常的に、しかも1日24時間、常にあるワケだ。
いわゆる知性を信じ、カタチを持った物質をよりどころに、つまらない客観の世界にとどまっている人たちからみれば一種の奇人・変人でしかない。
しかし、彼の心はほぼ完全に開かれていて、意識はそっくりとりかえられており、区切られた時間も空間もないドワイルドな無限の中に存在しているんだ。
生き方って、人それぞれだと思う…
彼の精神が果たしてタフなのか、それともただの無神経なのか?
それでも世の中にゃそんなドワイルドなヤツもたしかにいる。
dowild.s


