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抜粋転載続き
胸部HRCTでは両側肺底部に蜂巣肺を認め
発症前のHRCT(Fig.2A)と比較し
(Fig2Bでは→)右中下葉、左下葉に
非区域性に拡がるすりガラス影の新たな出現
左下葉S10に
既存の蜂巣肺に重なり
consolidationの出現
臨床経過
血液ガス所見、胸部HRCT所見からIPF急性増悪と考えた
しかし発熱を呈しており
胸部HRCTでは
限局性のconsolidationを認めたことから
急性増悪の誘因として呼吸器感染症の関与も考えられ
入院同日よりメチルプレドニゾロン1000mg/日、ステロイド大量療法開始
レボフロキサシン(levofloxacin、LVFX)500mg/日を併用
第3病日に喀痰抗酸菌塗抹集菌法3+
結核菌 PCR陽性であることが判明し
肺結核症と診断した
ステロイド大量療法により呼吸不全が改善したため
その後のステロイド療法は行わず
LVFXから
イソニアジド
リファンピシン
エタンブトール
ピラジナミド
による抗結核療法を開始
第36病日の喀痰塗抹検査にて陰性化が確認
胸部CTでは左下葉のconsolidationの改善(Fig3
ChestCTscan after one month from admission
The consolidation in the left S10 had improved
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以上より肺結核に対する治療は奏功したと判断した
しかしその後呼吸状態が再び悪化し胸部X線で両側網状影および左中肺野のすりガラス影悪化を認め
再度IPFの増悪を起こしたと考えられ
ステロイド大量療法を開始
その後プレドニゾロン60mg/日にて治療を行ったが呼吸状態は改善せず
第52病日呼吸不全により死亡した
考察
本症例はIPFの急性増悪と肺結核が同時に発症した症例と考えられる
IPFの急性増悪は感染症、胸部の侵襲的検査や手術、また放射線照射や薬剤投与などを契機として発症することが知られている
IPF急性増悪の診断に際してはこれらの誘因についても検討することが重要である
IPF急性増悪と肺結核を同時発症した症例はこれまでに報告がないが
本症例では肺結核が急性増悪の契機となった可能性も考えられる
本症例は死亡後、喀痰結核菌培養検査陽性となり肺結核症と診断された
結核病巣の部位については
安定している時期の胸部HRCTと比較し
両側肺野に新たなすりガラス影が出現しているほか
左S10に
すりガラス影とは別に
consolidationが出現していること
その他の部位に結核を疑う陰影がみられないことから
左S10に出現したconsolidationが結核病巣であろうと推定された
厳密には同部位の病理組織診断が必要であるが本症例では呼吸不全があり
経気管支肺生検の実施が困難であった
一般的に二次結核は
S1、S2、S1+2 に全体の85%
S6に約10%
発生すると言われる
浸潤影や散布影を呈し
S6を除く下葉結核はまれである2
一方でIPFに合併した肺結核の特徴に関する報告は少なく
ChungらのIPF患者143人における肺結核症の解析では
結核を生じた患者は9人(6.29%)
そのうち7人が下葉に病巣を形成していた
胸部陰影は結節影や、浸潤影を呈するものが多いと報告されており3
IPFの肺結核では下葉結核が多いのかもしれない
IPFの肺結核合併率については
海外ではIPF患者の4.4%が結核を合併していたとの報告4
日本ではIPF患者の6.7%が結核を有していたとの報告5がある
また本邦での年次別・年齢階級別結核罹患率は
2011年の人口10万人あたり
50代では12.8
60代では17.5
70代以上では55.7であり6
一般人口と比較すると
IPF患者では結核合併率が高いと考えられる

また前述の海外からの報告4では
免疫抑制剤を使用している症例では
対症療法を行っていた症例と比較し
結核合併率が二倍であったと報告されている

一方で免疫抑制剤を使用している症例でも結核合併率は変わらないと報告されているものもあり3
結核の合併は
IPFの病態そのものである構造改築によるクリアランスの低下などの
局所免疫能の低下が要因となっているのかもしれない

本症例はスクリーニングで行った喀痰検査から肺結核の診断に至ったが
入院当初には胸部HRCT所見から肺結核の合併を想定できなかった
これは自覚症状であった発熱および呼吸困難が急性発症であり
IPFの急性増悪の症状と考えられたこと
また結核病巣がIPFの蜂巣肺と重なっており
さらにIPFの急性増悪と同時発症であったため
画像検査のみから結核病巣の検出が難しかったことなどが原因として挙げられる
前述したようにIPF急性増悪と同時発症した肺結核の報告はなくまれであると考えられるが
IPFについては肺結核の合併率が高いとの報告を踏まえると
呼吸器感染症を契機に発症したと考えられる
IPF急性増悪の診断時には抗酸菌検査を含めた感染症検査を実施しておくことは重要であると考えられた
結語
IPF急性増悪と肺結核との同時発症と考えられた症例を経験した
一般的にS6以外の下葉結核はまれではあるが
IPF患者では肺結核合併率
ならびに下葉の結核の割合も高いことが示唆されている
呼吸器感染症を契機にIPF 急性増悪が誘発されたと考えられた場合
結核の可能性も考慮し抗酸菌塗抹・培養を含めた喀痰のスクリーニング検査を実施しておくことは有用である

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↓東北大震災を未曾有(みぞう)、未曾有、って免罪符のように未曾有を枕詞に付けて呼ぶな。
(未曾有だから予測できませんでしたっ☆テヘペロ♪)
1000年前に同レベルの地震と津波が東北を襲ったと推測される記録がある。十分予測できただろう、とのこと
つうか福島第一原発のズサン工事はそれ以前の問題
http://blogs.yahoo.co.jp/tmizuo3333/29152365.html2011年3月31日
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20331720110330