散歩をしようと決意。
少しずつ距離を増やしてリハビリの気持ちで散歩をしないとこりゃ、ヤバイことになりそうだと悟った。
別にそれでもいいやと頭のどこかで声が聞こえるがその声は揉み消した。
桜並木は近いのだ。
徒歩3分だもの。
早朝の公園は誰もいない。
犬の散歩の一団もまだ来ていない。
限りない静寂。
月はまだ若い木々の真上に残っている。
桜並木の下を通って自販機で温かい缶コーヒーを買った。
手に持つと心がほどけてゆく気がする。
あちらから犬の散歩をしている人が来る。
ちょっとした対人恐怖がよぎる。
黒しばだった。
可愛い。猫派ではあるが犬も好きだ。
連れているのは筋トレスポーツマンタイプのオニイサンだ。
そのオニイサンはすれ違いざまに「おはようございます」と言った。
えっ、うそ!
あわてて私も挨拶を返した。
無言こそオニイサンの望みだと考えていたのに驚いた。
嬉しかった。
誰にも会いたくなくての早朝散歩だったけれど挨拶ひとつで嬉しくなるほど私は単純でもある。