「今すぐ出ていけ!!
僕はこういうことをする人間は大嫌いだ!」
夫が義母に初めて大きな声を出した。
厚化粧の義母の塗りたくられた口紅が
ヌメヌメと動く。
「あら。いつからそんな乱暴な口を聞くように
なったの。
このバカ嫁と一緒になる前まで
そんな言い方、する子じゃなかったのに。
小学校の頃の授業参観なんて
“お母さんが来てくれた”って
みんなに自慢して嬉しそうにする優しい子。
弟たちからも
お兄ちゃん、お兄ちゃんって懐かれて
どこにいっても
“いい息子さんですね”って言われてきた
○○くん(夫)が、
こんな言葉、使うのぉ。
普段から嫁が生意気だと、
マネしてそうなっちゃうのかしら」
自分に吐かれた言葉に
なにも感じていないのか。
粘り付くような目でみている。
ごめんなさいすら言えない親。
「……あー!!やってらんねー!!」
夫はそう叫び、自分の大切にしていた
カー雑誌を、ゴミ箱に投げ捨て
玄関から出ていった。