【おはなし4】の続きです…。
「バカだな〜生きてる人間に会えるわけないでしょ!」
コロは呆れた顔で私を見ていた。
コロはめんどくさいなって顔しながら教えてくれた。
「ここはさ、お互いに『会いたい想い』が重ならないと会えないんだよ。おばあちゃんやあたしたちがちーちゃんに会えたのは、あたしたちがちーちゃんに会いたいと想ったから。」
「想う気持ちが相手にないと、どんなに探しても会えることはないんだ。だから、相手に思い出してもらうために手紙を書くんだよ。」
「言っておくけど、マイケルジャクソンとか、美空ひばりとか、相手がちーちゃんの事知らない人には手紙を書いても会えないから、覚えておいてね!」
(マイケルにひばりって…そんなに私、古い人間じゃないわよ…)
そんなツッコミ入れたかったけど、なんかすごいシステム?でビックリしちゃって…
「あ、それともう一つ、ここは希望制で生まれ変わる事が出来るから、既に生まれ変わっていたら会えないからね。」
…希望制……
生まれ変わるかぁ…。死んだばっかりの私にはまだ全然ピンとこない響きだった。
手紙もビックリな事だったけど、もう一つ気になっていたのがこのテレビ…
「ザ・昭和!」な見た目のテレビは、ブラウン管テレビみたいにコロっとしていて、足がついている。チャンネルは回すとガッチャン、ガッチャンと音がする。
電源と思しきボタンは、「んしょ!」と気合を入れないと押せないくらい重くて硬い…。
(何が映るのかな…今は朝だから情報番組とかかな…)
んしょ!スイッチを押してみた。ゆっくりと映像が出てきた…。
「ぼよよよ〜んと空へ〜♪飛び上がってみよお〜♪ほら、あの雲まで手が届きそうー♪」
「ゆ、ゆうぞうお兄さんだ!これって、おかあさんといっしょ?」
「へぇ〜、ちーちゃんの知ってる人なんだ。あたしはテレビなんて観てなかったから知らな〜い。」
そりゃそうよ、コロが死んでからテレビに出た人だもの…。ていうか、なんでテレビがあるのかを知りたい…。
……ゆうぞうお兄さん…子どもたちが小さかった頃観ていた「おかあさんといっしょ。」の10代目の歌のお兄さんで…40歳代で急逝して、すごくショックで泣いた事思い出した…。
死んだ後も「歌のお兄さん」やってるんだ…ゆうぞうお兄さんは私の事知らないから会えないんだな…。
またコロが説明を始めました。
「ここはちーちゃんが思ってる「あの世」っていうところじゃないと思うよ。「あの世」とか「天国」「地獄」って人間が考えた「死んだ後の世界」のイメージでしょ?いい人なら天国行けて、悪い事した人は地獄に落ちるってさ。
あたしもよくわからないけどさ、人が人を傷つけないために、賢い人たちが決めたルールみたいなものなんじゃないのかな?
『悪い事すると恐ろしい地獄に連れていかれる』って知ってれば、悪い事しなくなるからじゃない?」
そうなのかな…本当の所どうなのかはわからないけど…ここに来た時はそんな制度(お前は天国!お前は地獄!みたいな審判)はなかったし…
(でも殺人犯とかも地獄と呼ばれる所に行かないのは納得いかないな…)
なんてモヤモヤ思ってたら、おばあちゃんが来てくれてた。…いつ来たの?ドア開いてたかな…?
「おや、テレビを覚えたんだね♪」
ガチッチャン!ガッチャン!
おばあちゃんがテレビのチャンネルを回す。
「これ、観たかったんだよ〜」
この人…歌丸さんだ!てか笑点やってる!
こんぺいさんや円楽さんたちも…(あとは知らない人たちだ…)
な、なんか聞きたい事山ほど出てきた!
なんでなんでなんでなんで!?
コロは私を見てニヤニヤ笑ってる。
「まぁさ、聞きたい事はいっぱいあるだろうけど、時間はいーっぱいあるから、焦らない焦らない。」
コロは私の心が見えるみたいに言葉をかけた。
「笑点も観たいけど、そんな事しに来たんじゃなかったよ。」とおばあちゃん。
おばあちゃんが割烹着のポケットからゴソゴソと何かを出して私に手渡した。
…その割烹着…良く着てたよな…子どもたちもみんな、おばあちゃんって言うとその割烹着の事言ってたな…
「はい、これママの種だよ。」(おばあちゃんは私の事「ママ」と呼んでいました。)
「種?」
おばあちゃんから手渡された手の中にあったのは、スーパーボールくらいの大きさの茶色の種…てゆうか球根じゃないか?チューリップの球根みたいな感じ…。
【おはなし6】に続きます…。