こんにちわマナです
2月になりました。春は近づいたとはいえまだまだこれからが冬本番。
京都が大雪になるのは1月の終わりから2月の初めが一番多くて
凍てつく寒さがやってくるのはこれから。
気を引き締めていかないと風邪を引いたりするのは大体がこの時期
特にアラサー女は体力落ちてるし働き過ぎで疲れてるしお一人酒過ぎて肝臓弱ってるし(笑)
みなさまも体調管理お気をつけ召されて
冬来たりなば春遠からじ
楽しい春に夢はせながら体力を温存しませう
ということで今日は何てことはない前説はここまで
今回は本編を少し離れてSPバージョンのリライト
乃木坂がAKBを超える前の両グループの関係性を秋元さんから贈られたルブタンのピンヒールを通して白石麻衣の目線から描いてます
本編には出てくることがなかったコワーイパイセンたちも登場(誰々ww)
今や一番売れてる(笑)村重杏奈ちゃんも㊁話に登場
(ちょうど今朝逆ナン初熱愛発覚もあってまさに旬の村重ちゃんです)
主人公はまいやんだけど私の大好きな生駒ちゃんも裏ヒロインとして
物語をうるうるさせるための唯一無二のスパイスとして出てもらっています
マナが描く乃木坂ワールドさてさてどんなものやら。。
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小説指原莉乃三十一章「君の名は希望〜まいやんのピンヒール」
乃木坂が乃木坂である為に
2019年12月31日NHKホール
先ほどまでの喧騒が嘘のような大部屋の控え室。
ざわざわとしたメンバー達のざわめきが次第に遠ざかっていく。
見渡せばテーブルの上に置かれた色とりどりの服やバッグがまるで野に咲く花々の様に見えた
ここでこの景色を見るのは最後なんだ
そう思うとさすがに決心が揺らいだ。
何事もなく流されるように去る、そういう選択肢は私にはないのか
外から見れば他愛のないことかもしれない。
もしかしたら誰も気づかないレベルの案件かもしれない
でも私たちのなかでは大きな意味を持つひとつの出来事になる、
少なからずざわつくだろうみんなの心は。特にあの人たちにとっては。
「じゃあね、先行って待ってるから」
秋元真夏はそう言うと自分の頬を私の頬に摺り寄せそっと私の肩に手を置いた。
コツコツとした控えめなパンプスの靴音を響かせながら真夏の背中をしばし見つめる。
その背中に私は幾度助けられたことだろう。
そう思うだけで胸が熱くなった。
「考えることなんてないよ。それはみんなの想いであんた一人の想いじゃないし。だから躊躇うことなんてないんだよ。」
そしてひとり遅れて出ていこうとした秋元真夏はドアに手をかけたまま立ち止まり、こちらに背を向けそう言った。
残された私は一人、その言葉を噛みしめながらテーブルの上に置いたルブタンのピンヒールを見つめていた
「ほんとに履いて良いんですか」
「NHKサイドに一応了解はとってある。もし現場でなんか言われたら
俺の名前を出せば良い。秋元康が言ってるとな」
そんなラインでのやりとりは昨日の夜のこと。
我儘なのは解っていた、無理は承知だった。
でも決して自分だけのエゴじゃない。それは私が私達である為に
演っておかなかければいけないこと。
最後の私の務めとして。後輩に贈るメッセージとして。
コレが私の最後の紅白。その秋元真夏をはじめその事実を知っているのは数えるほど。私が乃木坂に居られるのはもうあと数ヶ月。
だから私が居なくなっても何一つ変わらない乃木坂である為にするべきことが私にはあった。
(傷一つでもつけたら買取りだからね)
そんなマネージャーの言葉に(じゃあ大切にしなくちゃあ)と言ったものの、もうとうに返すつもりなんてない。
初めてのピンヒールと最後のピンヒール、二つが揃って私の乃木坂は完結するんだから。
思い出していた。
あの日あの頃の私達を。
自分たちがまだ何者かも分からず迷い彷徨っていたあの頃を。
4年前の2015年の年末、
私達は初めての紅白歌合戦のリハーサルに臨んでいた。
歌番組で幾度となく訪れていたNHKホールも全く違う景色に見えた。
周りを見ればメンバーの火照る笑顔が輝かしくて誇らしくて嬉しくて。気を緩めればうるうると泣き崩れてしまいそうな自分がそこにいた。
出演曲は「君の名は希望」
デビューから5作連続でセンターを担った生駒里奈
当事心身ともに疲れ果てて微妙な立場にいた彼女を気遣い
乃木坂の希望であるとイメージして書いたと秋元康は後日明かした。
いわゆるこの曲は彼が贈る生駒ちゃんへの宛書き。
君の名は"希望"と今知った
その歌詞の中で秋元康はこのフレーズを三回使った。
そう、彼女はずっと希望だったんだ。
彼女が居たからみんなはここに居る
それを今知った
そこにいることの辛さ葛藤苦しみ
それを今知った
大きなものを背をわせてしまった
自分の中の彼女への懺悔と内なるその贖罪
それを今知った。
もう最後にしよう、最後にしてあげよう。
生駒里奈は永遠に私達の希望となり明日の空となり私達を照らすことだろろうと。
「ルブタンのピンヒール?」
「そうだ。定番のブラックにソールが赤。
足を跳ね上げる度にショッキングレッドが宙を舞う。
どうだまさに希望の象徴だろ?
どうせ生駒は答えないだろうから、
白石、おまえはどう思う?」
「里奈一人だけに、ですか?」
「そうだ。だから意味がある」
その前日の夜、iphoneのスピーカーから聞こえてくるそんな秋元先生の声を私達は稽古終わりのレッスン場で三人だけで聞いていた。
里奈は体育座りのまま膝小僧の間に顔を埋め込んで上げようとはしない。
「また変なこと考えてる」
口を尖らしてポソッとつぶやく里奈の声が妙に可笑しくて真夏と顔を見合わせてくすっと笑う。
それはセンターを降りる彼女への贈り物的なものではない事を私だけでなく二人も分かっていたと思う。
(いろんなものを背負ってくれていた生駒里奈を忘れてはいけない)
常々秋元先生が口にしているその意味を今一度周りに知らしめる為
里奈の為というよりもこれから新しいステージを迎えることになる乃木坂の為。
「じゃあさぁ、三人で履こ。ね、それならいいでしょ?」
真夏がくるくると寝返りを打ちながら擦り寄り、股の間の里奈の顔をいたずらっぽく覗き込む。
まだ尖がってるその唇に真夏が触れると里奈の鼻が小さくヒューと鳴った。
決まった後、メンバー全員にもそういうことだから協力お願いってラインで告げた。生田も七瀬丸も松村も三人だけずるいってずっと愚痴ってたけど最後にはみんな笑顔のウインクのスタンプをくれた
(だけどあの人たちには気をつけようね。そういうの大好物だから)
そんな苦労人らしいさゆりんのメッセージにまた里奈の顔が曇った。
そしてそのリハーサルの初日、事件は起こった。
「乃木坂か道玄坂かなんか知らないけどさ。私たちあってのあんたたちなんだよ。ねぇそこらへん分かってんの?ねぇ、どうなのよ!!」
近頃はなりを潜めてはいるが、かつてはAKBの狂犬と呼ばれたMが吠える。
二百人以上のアイドルたちで埋め尽くされた空間に訪れる一瞬の静寂。
落ちゆく者の焦りと昇りゆく者の輝きが交差する。
𓂃𓈒𓂂𓏲☆.・𓂃𓈒𓂂𓏲☆.・