日本舞踊のお金のシキタリその2、発表会、御祝儀etc… | 西川矢右衛門(佐紀庵翁)「ことさらにことあげしてすみません」

こんにちは!西川矢右衛門です!


日本舞踊のお金の事、前回はお月謝や御中元、御歳暮、束脩などの事について書かせてもらいました!


前回の記事はこちら!

https://ameblo.jp/doujima-yakushi/entry-12628939529.html




今回は習い事を始めるとどうしてもついて来る「発表会」などについてです!



さて


結論から先に言ってしまうと、本格的な発表会に出演しようと思ったら


お金はかかります!ハッキリ言って



でも、発表会っていっても実は色々な規模のものがあって


比較的小さな規模のものでよくあるのが、料亭などの大広間を貸し切ってやる


「浴衣会」


みたいなのまぁ浴衣だと夏限定になってしまうので、


「自前の着物で参加出来る発表会」


という風に言った方がいいかなぁそんな感じのものを最初に考えてみますと、だいたい


お料理込みで参加費3万円前後


くらいの腹積りにしておかれたら良いのではないかなぁ〜と思います。


みんなで順番に踊って、その後宴会でゲームをやったり隠し芸をしたり鯉矢先生の所の浴衣会はそんな感じでした。


僕も毎年隠し芸を考えて娘と2人でマイケル・ジャクソンのスリラーを踊ったり、日本エレキテル連合さんの「だめよ〜だめだめ」が流行った時は、娘に白塗り化粧させて僕が顔にシワを描いて2人でコントをやったりと、準備から結構気合を入れてやってたものです。


こういう「浴衣会」、社中が大きいと、みんなでお揃いの浴衣を染めたりします。


鯉矢先生の所は「浴衣会」は2年に1回(もっと大きな規模の「鯉矢会」っていうのと「浴衣会」を毎年交互にやってた)でしたので、自然お揃いの浴衣を染めるのも2年に1回。


これが反物で1万5千円〜2万円くらいだったかなぁ〜

あんまり覚えてない

それで仕立て代がやっぱり2〜3万円程度かなぁ


ですから浴衣会に参加したらだいたい


参加費3万円+浴衣反物2万円+仕立て代3万円と考えるとおよそ8万円くらい?

それに女の人は髪の毛のセットで美容院に行ったり、移動にタクシーを使ったりしたら


まぁ8〜9万円前後ってところですかね


まぁお揃いの浴衣を染めるっていうのは、大きな社中さんでないと出来ませんので反物屋さんが確か40枚以上とかでないと染めてくれないとかそんなんあったと思いますので、人数のあまり多くない社中だと市販の浴衣でもOKっていう場合もあると思います。


ちなみに僕は知り合いの人が着物が縫えましたので、お礼に1万円とか包んで仕立ててもらってました。

また男ですので美容院とかも行かなくて済んだので6万円程度だったと思います。


やっぱり結構お金かかるよね

って思った方もいらっしゃるかと思いますが、この浴衣、作っておくと後々意外に便利です!


ってのは、もちろん夏場のお稽古にも普段から使えますし、後でお話しますが、もっと大きな「舞踊会」規模の舞台に出る時には


「部屋着」


として使えます。


「部屋着」ってのは楽屋でウロウロしてる時に着てる浴衣の事で、舞台用の化粧をする時なんかはこの部屋着でするのが常識になっていますので、これが無いと結局後から買わないといけない事になります。


お師匠さんのもと、みんながお揃いの浴衣で楽屋をウロウロしてたりする姿って、なんか「社中!」っていうか「仲間!」っていうか、そんな感じになって気分の良いものでしたよ。


今はもう僕の所は、そんなお揃いの浴衣を染めるとか粋な事をしていないので結局みなさん御自分でどこかで買ってらっしゃるんですけど、浴衣なんてどうせお稽古するには必要な物ですしね〜

お稽古では汗もかくので、洗い替えに何枚かは欲しいですしね〜

どうせなら社中の浴衣を着てお稽古出来ればなんか嬉しいですよね〜


年にいっぺんお祭りの時にしか着ない浴衣ならお金かけても勿体ない気もしますが、お稽古をするならしょっちゅう着るものですから




他にもお手軽に参加出来る発表会っていうと

例えば地元の市民会館のホールとかでやってる多流派合同の発表会みたいなのがあります。


こういうのは、地元のお師匠さん連中が集まってホールを借りて、お弟子さん達に気軽に楽しんでもらえる発表の場を与えてあげようというような趣旨でやってる所が多いです。

地方の町おこしにもなりますし、日本舞踊の普及という事を考えてやってたりします。


こういうのは、大抵御自分の手持ちの衣裳とかで出演出来たりして(社中によっては衣裳屋さんで借りたり化粧も白塗りしたりする所もありますけど)、ようはお家にある着物で出れる発表会です。


参加費はまちまちですけど、だいたい


5分以内の演目で3万円〜5万円前後


くらいが基本料金になってる所が多いんじゃないかと思います。

演目の時間が長くなるとちょっとづつお値段が上がって行く感じだったりします。


こういう会は、お師匠さん連中が集まって何度か会議して


会場費とか色々がこれくらいかかるから、だいたい番数が何番集まったらこれくらいみんなから集めたら赤字が出なくて開催出来るねぇ〜


みたいな感じでお一人の参加費を決めて行くので、その時によって値段が変わったりすることもあります。




あと、僕は近鉄文化サロンさんに講座を持たせてもらってますので、毎年1月の終わりか2月の初めくらいに開催される


「近鉄文化サロン会員さま発表会 邦楽・舞踊まつり」


というのにずっと参加させてもらってます。


これも確か参加費が基本お一人3万円前後(一舞台お二人とか複数人で出られるならちょっとお値段が安くなるとか色々あります)です。


まぁ例えばバレエとかダンスの発表会に出演してもだいたい衣装とかで10万円前後の出費の腹積りの方って結構いらっしゃると思うんですけど、こう考えるとそんなに変わらないというかめったにないハレの日ですからね。



問題なのが「舞踊会」レベルの舞台ですよね。

こちらはお金かかります。本当に

最初に言ってしまうと、100万円から200万年前後はかかると覚悟しておいた方が良いです。


でもこれも内訳を言うと舞台会場の借り賃、ホールスタッフの人件費、出演者の衣裳、カツラ、お化粧をしてくださる顔師さんのギャラ、照明や音響の専門家の方をお呼びした場合はそのギャラ、それと日本舞踊とかに独特なのが狂言さんという舞台監督さんや後見さんという舞台上の様々な事をしてくれる方それに演奏を生演奏でするならば地方(じかた)さんといわれる演奏家の先生方これも長唄、清元、常磐津、地唄、大和楽、義太夫、鳴り物お囃子など様々な種類があって、東京の方からお呼びすることもありますし、そうなるとその交通費、ホテル代それからスタッフ全員のお弁当代とか目に見えないお金が山ほどかかりますので、主催者の側から言っても


いくら集めても残らない〜!!!


みたいな所があって、実は大変なんです


ですけど、ここに関わってくださるスタッフの方々って、伝統的な技術を継承してる素晴らしい方ばかりですからね〜

その方々にリスペクトの気持ちがあれば大切にしないといけませんよね。

そうなると値段が上がって行くわけです。


そしてそのリスペクトの気持ちが


「御祝儀」


という独特の風習となって現れて来ます。

だいたい一万円とか五千円とかなんですけど、舞踊会の楽屋ではこの「御祝儀」が演奏家の先生やスタッフに飛びまくります。


ギャラも支払ってるのになんでまたお金がいるの?


と思われる方も多いかもしれませんが伝統的な風習として残ってるんですよね〜

最近は廃止の方向に向かってたりはしますけど僕らはこの御祝儀をお渡ししないと逆に気持ちが落ち着かなかったりします笑


お渡しする相手としては、まず演奏家の先生方、自分の演目が長唄だったら長唄様、それと鳴り物様、そして化粧をプロの先生にしてもらう場合は顔師様、衣裳を着付けてもらった時には衣裳様、カツラを被せてもらったら床山様、その他狂言様音響様照明様舞台大道具様小道具様等そしてよく誤解されるのが後見様への御祝儀ですが、こちらは用事があっても無くても御祝儀はお渡しします。何故なら舞台上で予期せぬハプニングが起こった時に対応してくれるのが後見さんなので、そのために後見さんは用事が無くても基本舞台袖でずっと控えていてくれます。用事がある場合それも引き抜き(舞台上で一瞬で衣裳が変わるやつ)とか特殊な事をしてもらう場合は御祝儀の額が変わったりします。後見さんも1人では無理な場合は2人とか3人とかに増えますから、御祝儀もその人数分になります。

これが本番とリハーサルでそれぞれお渡ししますので2回づつになります。


これらを御祝儀袋に新券で入れて行く時にはさすがにやっぱり


あぁ〜お金が飛んで行く〜


とか思ってしまいます。わずか10分か20分程度の踊りにこれだけお金をかけるんだから日本舞踊って贅沢だなぁと正直思ってしまいますね。



そしてもう一つ、日本舞踊の発表会につきものなのが


「御礼」


というやつです

これは、先程も申しましたように発表会をしても手許にお金が残らない場合が多いのでこの「御礼」というのがお師匠さんのほとんど唯一の収入源になってるというかまぁ社中によって事情は様々でしょうが僕の場合はそうでした汗


この御礼の額についてはお師匠さんの格によって様々なので、なんとも言えません。

1万円程度のお師匠さんもいれば、10万円以上のお師匠さんもいます。

発表会の規模によっても変わって来たりもしますので、これはそれぞれの社中の先輩に聞いてみるのが一番良いと思います。


ざっと発表会でのお金の事について思い付く事を書いて来ましたが、他にも例えば楽屋にお祝いを持って来てくれたお客様へのお土産を用意したりとか、名取になった初めての舞台(名披露目と言います)の時には社中スタッフ全員に自分の名前入りの手拭いを名刺代わりに配ったりとかこういうのを加えると、やはり本格的な日舞の舞台はお金はかかるものだと思ってもらって間違いないとは思います。



う〜ん相当詳しく突っ込んで書いたつもりではいるんですが訂正とかあったらまた機会を見つけてしますね。


最終的に記事をまとめる文章力がないので今日はここまで!

有り難うございました!