この休み。
翔くんはどう過ごすかな?何をするかな?
庭のひまわりが陽に向かって咲いているのを眺めた。
翔くんが僕の隣にやってきた。
並んでひまわりを眺める。
「そうだ・・・ノートそろそろ完成させときたいね」
「そうだね、つい、億劫で。
今日、頑張って書いちゃう?」
「そうしようか」
僕たちが数ヶ月前から取り組んでいるノート作り。
これが、細かい項目が多くて。
決めるのが大変。
自分一人だけの希望なら簡単に書けるけど。
翔くんと話して、お互いに納得いくようにしなきゃいけない。
ノートもお揃い。
でも、どちらのノートかすぐに分かるように、天地と小口に色を塗った。
翔くんのは赤。僕のは青。
マジックで塗ったんだけど。
こういうところを塗るのも翔くんはなんか不器用で。
どういう訳だか、中のページまで塗られちゃってるところがある。
見るに見かねて、僕が途中から手伝った。
「こういうこと考えてるとさ。
自分の人生がもうそろそろ終わりに近付いてるんだなって思うよね」
「実際そうでしょ?もういい歳なんだから」
僕たちが書いてるのはエンディングノート。
どういう死に方をしたいか?
本来は自分の希望を記録しておくノート。
でも、僕たちは二人の希望を書くことにした。
どうやって最期を迎えたいか?
相手はそれで納得して送れるのか?
考えながら涙してしまうこともある。
翔くんに先立たれたら・・・って。
だからノートは2冊ずつ。
先立つ時用と残された時用。
僕たちは今まで自分の納得できる生き方を選んできた。
僕が早めに仕事をリタイアしたのもそう。
翔くんは仕事を続けたけど。
歳をとってからは1年のうち、半年働いて半年休むことにした。
ものすごい忙しかった10代から30代。
僕たちは自分たちの生き方をあんまり考えたことがなかった。
全部グループのために時間を捧げてきた。
それには悔いはない。
悔いを残すような仕事はしてきてない、って。
胸を張って言える。
40代になってからは自分の生き方を考えた。
それなりに望んだ生き方をしてきたと思う。
時には人からそしられることもあったけど。
僕たちが選んだ生き方だって、やっぱり胸を張れる。
そして、今。
僕たちは死に方を考えている。
胸を張って自分の選んだ道を最期まで歩けるように。
僕らの日々に後悔がないように。
END