タオルに体が包まれたショウはタオルの柔らかさにホッとした。

どことなく感じていた緊張が解けていく。

それと同時に直にサトシに触れなくなったことに寂しさも感じる。

頭がぼーっとして霧がかかっていくように感じる。

霧を晴らそうと頭を軽く振った。

 

 

「気分悪い?ベッドまでもうちょっとだから。

頑張って」

 

腰に回ったままのサトシの腕が強くショウを押し出す。

ショウの足の運びがその動きに着いて行けず。

足がもつれてあっ、と思うまもなく、ショウの体は倒れていく。

ふんわりしたものにショウの体は受け止められた。

そこがベッドだった。

ショウは目の前のものすら見えてなかった。

ショウの意識の全てはサトシに向けられていた。

 

うつ伏せでベッドに倒れこんだショウはそのまま這い上がった。

枕を見つけて顔を埋めた。

ふかふかな枕はショウの好みとは違っていた。

 

 

「メディカル呼ぶよ?」

 

「大丈夫・・・です。

ちょっとのぼせただけだと思います。

少し休めば・・・・」

 

「そう?じゃあ飲み物取ってくるから」

 

「すぐ・・・戻ってきてくれますか?」

 

ショウの側から離れようとしたサトシへ思わず言ってしまった。

 

 

「具合悪くて、ちょっと心細くなっちゃった?

すぐ戻るから」

 

サトシはショウの頭を撫でて、スッと離れた。

ただ頭を手で撫でられただけなのに。

ショウが感じていた心細さが消えていく。

サトシの手には不思議な能力が隠されているのかもしれない。

それを検証するためにはどんな実験が必要だろう?

と、とりとめなく考えて。

そんな検証はいらない、とすぐに思い直した。

その効果を実感できるのは自分だけでいい。

 

 

「はい、水持ってきたよ。

起きられる?」

 

「起きられます。

ありがとうございます」

 

熱く火照った体に冷えた水は心地よく感じた。

体の中から冷えると、頭までスッキリする。

頭の中の霧は少しずつ晴れていった。

ショウは頭を振った。

 

いつもの自分と違う自分が見えてくるような気がした。