「智くーん!これ、どうすればいいの?」

 

竿を持った腕を目一杯海の方に伸ばしてる。

そんな持ち方してたら、すぐに疲れちゃうよ。

 

 

「翔くん、もうちょっと肘曲げて大丈夫。

それじゃ疲れちゃうでしょ?」

 

うんうん、と翔くんが頷く。

眉が八の字になって、困り顔してる。

一回、一緒にやってみた方がいいかな?

 

 

「1回、巻き上げてみてくれる?」

 

覚束ない手つきでリールの取っ手をぐるぐる回す。

時々つっかかったようになるのが翔くんっぽい。

すっかり巻き上げたところから、再スタート。

 

 

「ちょっとごめん」

 

翔くんの後ろに立って、肩から前を覗きこむ。

翔くんの脇から手を伸ばして、翔くんの竿を一緒に持つ。

ちょっと爪先立ちになって、翔くんを支えにするのは許してもらおう。

 

 

「一回、一緒にやってみようね?」

 

「智く〜ん、ありがとう〜」

 

情けない声出してるけど。

きっとホントはできるんだよ。

全然やったことない、なんてことはないはずだから。

ロケでやったことだってあるし!

デートを演出してるんだろうから、僕もそれに乗っかる。

だって、翔くんの誕生日のプレゼントだから。

翔くんがやりたいことを今日はやりたい。

 

 

「せーの、で竿を振るよ。

僕が動かすから、翔くんは楽に持っててね。

いい?

せーのっ!」

 

シュルルルと糸が出ていく。

程よいところで、ポチャンと海に入る。

 

 

「うわっ!すげっ!

あんなとこまで飛んだ!」

 

「んふふ、翔くんだって、すぐにできるようになるよ。

あ、糸が出るのが止まったでしょ?そしたらね。

こう、竿をクイクイッ、ってしながら、糸を巻いてく。

リールのここをこっちにすると巻き上げられるから」

 

たどたどしい手付きなのが、なんか慣れない感じで可愛い。

 

 

「もうちょっと早く巻いても大丈夫。

うん、そうそう」

 

 

☆★

 

ひたすらバカップルの釣りデートになってますねぇ・・・

スマートな感じのおはなしにはなってないんだけど。

ひたすら癒やしを求めてるせいだと思われます。

飽きた!という方は〜

あと5日くらいしたら、展開があるかも?(笑)

まだ書いてないから未定だけども。