家に帰ると智くんがTシャツに埋もれていた。
正確に言うと、たくさんの床に広げられたシャツの間に座っていた。
「ただいま・・・」
状況が分からず、二の句が継げない。
「あ、翔くん、おかえりなさい。
ごめん、すぐ片付けるから・・・・
あ、んー
片付けはやっぱり後でいい?」
「ん、どうしたの?これ?」
「個展のグッズの試作品。
T シャツを作りたいと思って。
翔くん、後で一緒に見てくれる?」
立ち上がった智くんは広げたシャツをうまく避けつつキッチンに向かった。
「今日は簡単なものですませちゃった」
そうは言うものの。
料理が全くできない俺には簡単なものなんてない。
美味しくいただいた。
ある程度、腹が膨れたところで、ゆっくりと晩酌の時間。
ちょっとしたツマミと酒と智くんとの会話。
・・・・がいつもの晩酌の時間。
今日は、Tシャツが晩酌のお供になった。
白、黒、グレー、青。
鬼のパグ、ジャニーさん、細密画、抽象画、ガマドン。
地の色が何色かとプリントが何種類かの組み合わせ。
「どれがいいかなぁ?
地はどれでもいいと思うんだけど。
ブルーだとパグの赤のとことぶつかるか・・・」
智くんは時々グラスを傾けながら。
一枚一枚、大事そうに。
ソファーの背もたれにかけては遠目で眺める。
ソファーに座ってその様子を眺める。
Tシャツの生地をいじると、しっかりしてて手触りもいい。
「いいTシャツだね」
「うん、ファンの子にちゃんと着てもらいたいから。
着心地よくないと着てもらえないでしょ?
どれがいいかなぁ・・・
青だと、ちょっと顔色悪く見えちゃうよね?
女の子が多いだろうから、白がいいかな?
黒も暗く見えそう?
グレーなら大丈夫かな?」
ソファーで飽きたらなくなったのか?
俺にあてて見てみる。
「翔くんはどの柄がいいと思う?」
ふと、一枚のTシャツをあてて、手を止めた。
「これ・・・・いいよねぇ。
これは・・・ファンの子のためのデザインじゃないなぁ」
あてられたTシャツを見ると、ジャニーさんの顔。
「これ・・は、僕たちのものにしたい・・かな」
急にしんみりとした口調になる。
そうだね。
この作品は智くんのジャニーさんへの愛が詰まってる。
ファンもそれは分かってるだろうけど。
その想いの本当のところまではなかなか掴めないだろう。
俺は・・・きっとジャニーズの仲間たちは近い感覚は持ってると思う。
でも、ジャニーさんと智くんとの関係は唯一無二。
それは智くんだけじゃない。
それぞれがジャニーさんと唯一無二の関係だった。
ジャニーさんはそういうことをしてくれる人で。
だからこそ、みんなジャニーさんのことが大好きだった。
「うん・・・これはグッズにするのはやめとこ。
このジャニーさんは製作途中のジャニーさんで。
今はもう、もっと元気なジャニーさんになっちゃったから。
派手すぎるかも」
そうして、試作品のいくつかは俺のものになった。
メンバーにも見せびらかそう。
試作品は一点もの。
智くんから、翔くんにはこれ、って直々に選んでもらったんだぞ。
これを着て、踊っていると、ジャニーさんの声が聴こえる気がする。
「Show must go on.
ショーの灯は消しちゃいけないんだよ。
Youたちの使命だからね」
☆★
ってことでいいですか?
あのインスタのストーリーの翔くんのTシャツ(笑)
大阪のさらに追加グッズかもしれないけども〜