三連休の中日。
1日仕事してきたサトシが疲れているだろう、と。
早めにベッドに入ろうとしていた時だった。
サトシがパチパチと何回か瞬きをした後。
ちょっと天を仰いだかと思うと。。
目を瞠り、目がキラキラと光を湛え、ポロポロと涙を零し始めた。
何があったのか?
涙が石に変わっていくのを見て。
きっと悪いことじゃないんだろう、とは思いながら。
サトシの体を抱き寄せた。
「翔くん・・・・大好き。
翔くんのとこに落ちてこられて、翔くんに大好きになってもらえて。
僕ね・・・ホントによかった。
すっごい・・・しあわせ」
ポロポロと零れ落ちる涙を拭うことなくサトシは微笑んだ。
「あのね、今年いっぱいたまごを孵せたからね。
ご褒美だって。
翔くんと僕にご褒美くれるって。
ね・・・もっと大好き・・・しよ?」
ベッドに入って、いつものようにもっと大好きを確かめあった。
サトシがいつも以上に可愛くて綺麗で艶めいていて。
激しく確かめ合って。
穏やかに緩やかな時間を過ごしている時だった。
まだ目覚めているのか?眠りの中にいるのか?
ハッキリ分からない意識になってた。
ふわふわと体が浮いて、サトシにしがみついた。
大丈夫だよ、ってサトシが笑うと俺の手を取った。
これからご褒美の時間なの、って。
サトシが嬉しそうに笑うから。
足元が心許ない怖さは薄れた。
サトシに手を引かれるようにして、上へ上へと昇っていく。
ぐんぐんと昇っていくのに、重力がないように体は軽い。
ふわん、すとん。
広い広い空間だった。
何もないそこには、ただたくさんの子どもたちが遊んでいる。
赤ちゃんのような大きさの子から、もう小学生くらいの大きさの子。
みんな可愛らしく、綺麗な子どもたちばかりだった。
地上でたまごから孵って、天に昇った子たちだよ。
サトシが言う。
僕たちの子はね、あの子とあっちの子と、と。
何人もいる俺たちの子を教えてくれる。
髪の色も眼の色も肌の色も様々。
その子たちが俺たちに気付いて、次々に寄ってくる。
自分で歩けない子は大きめの子が抱っこして。
周りをたくさんの子どもたちに取り囲まれて。
俺はしあわせだった。
隣にサトシがいて。
サトシとの愛の証の子どもたちが笑ってる。
その子たちを順番に抱きしめながら。
サトシへの気持ちを抱きしめた。
ふと気付くと腕の中にはサトシしかいなかった。
いつもの俺の部屋のベッドの上。
腕で抱きしめているのはサトシだけだけど。
心はサトシとサトシへの愛と子どもたちを抱きしめて。
体も心も温かい。
サトシと目が合った。
「翔くん・・・僕たち・・・すごいしあわせだね。
子どもたち、みんな元気でしあわせそうに笑ってたね」
「しあわせだね。
サトシ・・・・大好きだよ」
それ以上は何も言えなくなって。
それ以外は言わなくていいと思った。
言葉なんて気持ちのほんの一部しか伝えられないものなんだ。
翌朝、虹色のたまごが産まれてた。
たまごを胸に抱えたサトシは慈愛に満ちた表情をしていた。
☆★
いい夫婦の日なのでね。
また今年もこの二人にお願いしました。