「入所26年おめでとう」

 

いつもの晩酌のビールのグラスを掲げながら、声をかけた。

智くんは目を見張って、次の瞬間には照れくさそうに微笑んだ。

風呂あがりの喉の渇きを冷えたビールで癒やす。

ぷはぁ〜と声が出てしまう。

智くんも同じように声を出して、んふふ、と笑った。

 

 

「翔くん、そんなことまで覚えてるんだね」

 

「そりゃ・・・智くんのことは忘れませんよ。

それに、ネットでファンがお祝いを言ってくれてるから。

ハッシュタグまでできてたよ、ほら」

 

智くんへのお祝いで埋まったスマホの画面を見せた。

 

 

「ほんとだ・・・・こんなに・・・お祝いしてくれてるんだね。

なんか・・・ありがたいよね」

 

前回の個展を開いてから数年。

この日におめでとう、と声をかけると、表情を硬くしていた智くん。

去年は表情が柔らかくなって。

ようやく今年。

笑顔になってくれた。

だから、言葉を重ねる。

何度言っても足りない。

 

 

「俺は・・・智くんが入所してくれたこと。

声を大にして、お祝いと感謝を伝えたい」

 

「僕もね・・・感謝は言いたいかな。

僕を4人と嵐にしてくれたジャニーさんに。

もう・・・・直接は言えないけど・・・ね」

 

智くんの視線が上に向く。

俺も同じように上を向く。

ジャニーさんがそこにいるのかは分からない。

でも、きっと、俺たちが ”いる” と思うところにいてくれると思う。

いつだって、神出鬼没のフットワークが軽かったジャニーさんだし。

ジャニーさんを想う子どもがいたら、その子のところに飛んでいくに決まってる。

 

 

「もしかして、今は智くんの個展会場にいるかもね。

あのジャニーさんの絵に取り憑いて、絵を見に来る智くんのファンの子たちを眺めてるかもよ」

 

「いてくれるといいなぁ」

 

智くんがしあわせな顔をして、くふくふ笑う。

ビールをぐびっと飲み干して。

 

 

「次、何飲む?

ハイボールでいい?」

 

智くんが自分の分のついでに俺のも入れてきてくれる。

ちびちびと飲んでいくと、くにゃくにゃになっていく。

自然と俺にもたれかかる。

 

 

「僕も〜翔くんの入所記念日にお祝いしなきゃ。

でも・・忘れちゃいそうかな。

 

僕が・・・大事に思ってる、入所記念日。

覚えてくれてて。

お祝いしてくれて。

ありがとう。

入ってよかった、って。

今は思ってるよ。

だって・・・ね。

翔くんに出会えたんだもん。

僕も〜翔くんの入所記念日には感謝を言いたい」

 

 

 

☆★

 

大野さん、入所26年、おめでとうございます!

 

 

今まで入所記念日になんか記事にしたことあったっけか?(笑)

たまにはブログ書きたいなぁ〜と、思ってるところに記念日だったので。

急遽、書いてみました。