笑っちゃう。
なんか言おうとしても、翔くんとぶつかる。
ただ僕は月を見たかっただけ。
満月よりもちょっと欠けた月の方が僕は好き。
なんていうか、完璧じゃないのがなんか好きだから。
まんまるなお月様は、完璧すぎて気後れすることがある。
満月過ぎたあたりの月は夜更けてからも見えて。
夜中まで起きてて、完璧じゃない自分にぴったりだな、って思う。
翔くんは満月の方がぴったりなのかな、って思うけど。
僕の隣で一緒に月を見てくれている。
月を見ようって誘うのに、何度もぶつかって。
結局、最後まで言えなかったけど。
翔くんが言いたいことも同じことだったみたい。
翔くんの腕が僕の腰を抱く。
僕も翔くんの腰に腕を回す。
CM撮影のためのトレーニングのせいか?
腰回りが少し引き締まった感じがする。
さっきまでただ眠る気だったのに。
突然、その気になった。
キスしたいな。
翔くんに視線を送ると、翔くんの視線とぶつかった。
柔らかな月の光をまとって、僕らはベッドに。
月の光はうっすらと届くけれど。
月からは僕らの姿は見えないかもね。
角度が悪くてベッドまでは覗き込めないだろうから。
二人だけの時間は邪魔させない。
翔くんとの時間。
僕にはもう一つの宝物だから。
来月もそのまた次も来年も。
満月過ぎの月を翔くんの隣で見れますように。