まだ、興奮が続いてて、眠気がやってこない.
年末恒例の歌番組から、事務所の年越しライブ。
その後には、事務所のタレント揃っての初詣。
年末の雰囲気って、独特だから。
やけに高いテンションが続く。
仕事が終わってもなかなかそのテンションが落ちない。
温かい車内で、少し眠気がやってくるかな?
ってなっても。
温かい車内から長時間空けて、冷えた家に入ったところで目が覚める。
次の日はさすがにオフだから。
何時に起きなきゃいけない、って制約がないから。
お風呂にお湯を張って、ゆっくり浸かることにした。
はぁ〜ってため息が出る。
体があったまってくると、疲れがじわじわと滲み出てきて。
急に体が重くなってくる。
浴槽の淵に頭を載せて、体を伸ばすと、そのまま眠ってしまいそうになる。
目を閉じて、このまま、ちょっとだけ・・・・
「智くん?入るよ?」
翔くんの声が聞こえて、目を開けた。
体を洗っていた翔くんが浴槽に入ろうとしてた。
ちょっと体を起こすと、僕の後ろに入ってくる。
「眠くなった?」
「うん・・・急に疲れが出てちゃった。
翔くんはもっと疲れてるよね?
朝からずっと緊張してたでしょ?」
「んーまあ、緊張はしてたかな。
大舞台の司会はね・・・独特な雰囲気だし。」
司会が慣れた翔くんだけど。
きっと慣れた番組の司会でも、いつも緊張感持ってやってると思う。
慣れても慣れちゃいけない、って翔くんは思ってる。
翔くんだけじゃない。
口に出してはあんまり確認したことはないけど。
僕たちみんな、そう思ってると思う。
僕たちの仕事は一期一会。
毎回が初めて、の気持ちでやってる。
ライブやってると、思う。
今回会えたお客さんが、次回も来てくれるか分からない。
番組だってそう。
今期続いた番組が、来期に続くかは分からない。
「お疲れ様。今日は思いっきり、寝坊しようね?」
「そうだね。でも、智くんさぁ・・・
時間が来ると、目が覚めちゃう、って。
言ってなかった?」
「んー普段はそうだけどさ。
こんな時間から寝始めたら、さすがに目は覚めないんじゃないかな」