『智くんっ!

もしかして・・・俺、他の人の中でもイケるようになったかも!

松本が・・・中でイカセてくれた!』

 

部屋に入ってくるなり、そう言って。

松本さんとのあれこれを興奮気味に話しだした。

嬉しかったのかな?

すごい早口で、記憶を浚うように。

松本さんがどうしてくれたとか、櫻井さんがどうしたとか。

二人の・・・を事細かに話してくれて。

それによると松本さんはかなり積極的というか。

サービス精神旺盛な感じ?

 

 

櫻井さんが同じベッドの中にいるのに。

なんか・・・すごい遠くにいるように感じる。

今朝はあんなに近くにいた・・って思ったのに。

 

まだちょっとだけ痛みの残る脚をかばうようにそろそろと。

櫻井さんの方に向きなおる。

 

朝ごはんの後のがキャンセルになっちゃったから。

夜に・・ってなるかと思ってたのに。

 

櫻井さん、そんな気にはなれなかったのか?

何もしてくれなかった。

 

ひとしきり松本さんとのことを話終わると、シャワーに行って。

戻ってきても、思い返すように、何回もそのことを呟いて。

 

櫻井さんの頭の中は松本さんとのことでいっぱいなんだな。

って、鈍い僕でも分かるくらい。

 

やっぱり・・・松本さんが櫻井さんの運命の人なのかも。

こんなに・・嬉しそうなんだもん。

 

寝てるのに、嬉しそうの時々微笑むのは・・・

きっと松本さんの夢見てるんだろうな。

 

櫻井さんの話したこととか。

その時の櫻井さんの表情とか。

そんなことで頭がいっぱいで。

僕は寝付けなかった。

 

 

眠れないまま、ここにいるのはしんどい。

ベッドからそっと出た。

ギシっとベッドが鳴ったけど・・・櫻井さんはぐっすり。

 

僕は病室を出た。

ナースステーションに寄って、散歩に行ってくる、って言ったら。

理由を聞かれた。

眠れないから、って答えたら・・・・

 

 

「また、外来まで行っちゃうつもり?

探すのが大変だから、ここにいなさい」

 

かなりベテランっぽい看護師さん?が休憩室に入れてくれた。

ちょっと白髪交じりの髪を後ろで一つに縛ってて。

ぽっちゃりとまではいかないかな。ふっくら?くらい?

休憩時間だから、お茶でも飲まない?って。