「だいぶ、足のむくみが強いね。痛みはない?」
「痛みは・・・そんなでもない。
だるかったり、重苦しい感じは強いけど。
なんか・・・象の脚・・みたい」
智くんの全身状態は少しずつ悪化してきている。
腎機能の低下に伴い、全身に浮腫が出ている。
顕著なのが、脚。
キュっと閉まって綺麗な造形だった足首から下腿にかけてが・・・
今は浮腫で全く見た目が変わってしまっていた。
低たんぱく減塩の食事。
厳しい水分制限。
好きなものも好きに食べられなくなり、食がますます細くなった。
まだ、透析が必要なほどではないけれど、いつ、そうなってしまうか。
微妙なラインで経過している。
毎日、下半身のマッサージをしている。
脚の怠さが強くなると、痛みが出て、歩くのも難しくなってしまうから。
浮腫が強い箇所は皮膚も薄くなってしまっている。
強く擦ってしまい、皮膚がベロンと剥けてしまったことがあった。
治療のためのテープを貼っても、それを剥がすときに、また剥けて。
完治するまで、かなりの日数かかった。
できれば、尿量の測定もさせてもらいたいが・・・
智くんが嫌がって、させてもらえない。
どうしたものか・・・・
考えこんでいたら、智くんがクイっと俺の服を引っ張った。
指先で頬を撫でられた。
腰をかがめて、キスをした。
「今日、熱ないから、少し楽。
翔ちゃんと二人で・・・お出かけしたい。
海・・・連れて行って?」
もう、前と同じ靴は履けない。
サンダルでも、サイズが大きいものしか履けなくなってしまっている。
歩くのも、ツライだろうに。
「車の準備してくるから。
ちょっと待ってて」
「うん、僕も出かける準備してるね」