二人で初詣なんて・・・・デートっぽくていいじゃん?
って、大晦日から都内の大きい神社への夜中の初詣に誘ったのに。

「人混みは嫌いだ」

なんて、どうしても行こうとしなかった。
その分、さくらいの家の近くの小さな神社に二人でお参りして。
その後にさくらいの家に寄る約束を取り付けた。



吐く息が白く見える中、待ち合わせはうちの近くのコンビニ。
中で買ったコーヒーで手が冷えないようにしながら、待ってたら・・
さくらいの緑の車がやってきた。
車から降りたさくらいは、オイラの手の中のコーヒーをちらっと見ると。


「あったかそうだな」

と、ぶっきらぼうに呟いた。
車の中でちょっと待ってろ、と言い残したさくらいはコンビニに入った。
オイラが持ってるのと同じ紙コップを手にして出てきた。

いつも寝癖で落ち着いてない髪がうっとうしそうに降りてる。
学校でのさくらいと一番印象が違うところは髪。

今夜、さくらいの家に行ったら、顔をスケッチさせてもらおう。
そのためにスケッチブックを荷物に入れてきた。
さくらいばかりをスケッチしてるスケブはこれで何冊目なのか?
自分でもわからないけど・・・
数えたら、自分でも気持ち悪いくらいにはなってるはず。

よく嫌だ、って言い出さないな、と思ってる。
言われても、スケッチは続けるだろうけど。
目の前でじっくり見て描けなくなるのは・・・イヤだな。
これはオイラだけの特権だし。


一晩だけなのに、あれもこれも、と欲張って荷物を詰め込んだバッグ。
助手席の足元に置いた。


さくらいのアパートに一旦戻り、部屋にはまだ入らず。
駐車場に車だけ駐めた。

車から降りると、そのまま初詣。
確かにいい時間にはなってるけど。

少しは・・・



「部屋に入ったら、大野は出なくなるだろう?」

その可能性も・・・あるな。
しょうがない。
さくらいの言うとおり。
初詣に行くことにする。