きっかけは学校の宿題だった。
家にある何か古いものを持ってきなさい、という宿題。
歴史の授業だったのか、家庭科だったのか?
もう、記憶はない。

とにかく、私は普段の負けず嫌いが顔を出し・・・
誰よりも古いものを持って行きたい、と思った。

そして、家の物置になっている部屋の奥の奥。
何かを発掘するような気分で荷物をどかしては中を確かめ・・
を、繰り返していた。


それは宝箱のようだった。
しっかりとした造りの箱を開けたら入っていたのは・・・

同じ大きさのプラスティックのパッケージに入った銀色に光るものだった。
パッケージは何十個もあった。
見たこともない「それ」を私は学校に持っていった。

私にも正体が分からなかった「それ」は先生にも分からなかった。
私が先生に感謝していることは、「それ」が何なのか?
を、ちゃんと調べてくれたこと。

銀色の「それ」はDVDと呼ばれていたものだった。
Digital Versatile Disc という古いデジタルの記憶媒体。

何かしらのデータが入っているらしい、ということまでは分かった。
それでもデータを読み取るための再生装置は家にもなく。
中を覗き見ることは出来なかった。



それから何年も経って。
私は大学生になった。

専攻は心理学。


研究対象として、過去の人間のパーソナリティを調べることになった。
その過程で、DVDを読み取ることの出来る機器が大学にあることを知った。


私は子供時代の想い出の品としてずっと保管してあったDVDを持ち込んだ。
改めて調べると、DVDだけではなく、BDと呼ばれたものも含まれていた。