掌の中に戻ってきた黄色い珠。
その光を見つめた。

ホワっと熱を帯びて。
躰が中から暖まってくるような感じがする。

躰に収めて。
どことなく不安定だった力とか、気持ちとかが・・・
なんとなく落ち着いた気がする。


自分が陰陽師として生きていくには、この珠は必要なもので。
この珠を持って生まれてきた以上。
陰陽師になることは決められていたこと。

きっと・・・あの日。
センセーと出会ったのも、決められたことだったに違いない。

「カズ・・す・ない・・」

センセーが呟いたことを聞き取れなくて。
聞き返したけれど・・・
なんでもない、と、心なしか表情を引き攣らせた。





引っ越しの日。
センセーの式神たちが手伝いに来てくれた。
ダンボール数個に収まるような荷物しかなくて。
運ぶのも、何日かに分けて、事務所に来る時に持ち込んで。
手伝いなんて必要なかったんだけど・・・


ジュンさんが・・
「和也!それ、そのまま置くな!
ちゃんと整理してからじゃないと、後で分かんなくなるから!」


事務所が常にキレイに整えられているのは、ジュンさんがいるからだ。
って・・・よく分かった。




ジュンさんも事務所に戻って。
細々したものの片付けをしていたら・・



センセーが姿を現した。