「翔くん?」
「翔く~ん?」
「しょおくん?」
「翔くんてば!?」


何回、呼んでも、こっち見ない。
ソファーで、膝抱えて、ちっちゃくなってる。



隣に座って、翔くんに寄っかかった。


「どうしたの?なんか・・翔くんが落ち込むようなこと、あったっけ?」


顔をのぞき込んだら。
大きい目に涙浮かべてて・・
今にも零れ落ちそう。



「智くん・・・・俺になんか不満があるんでしょ?」

「え?不満・・・・?」


なんで、そんなこと考えるようになったの?
そのきっかけを僕は、あれかな?こっちかな?って、思い出しながら探した。




「智く・・ん・・・」
あ。涙、とうとう、零れた。
勢いよく、抱きついてきて。

・・痛いってば!


「俺のこと・・捨てないで~~~」

え?なんで、そうなるの??
翔くんの考えてることが、全然わからない!




「俺だって、キスシーンの経験くらいあるのに・・・」

分かってるけど・・・知ってるけど・・・
どう考えたって、潤くんの方が、ドラマでのキスシーンの経験豊かだし。


「俺のキスが下手だと思ってるんでしょう~~~」

え?なんで、そうなるの??
そんなこと、分かるわけないじゃん。
されたのは・・・・翔くんだけ・・なんだから。



「翔くん、大丈夫。落ち着いて・・・」

「俺のこと・・キライにならないで~~~」

全然、話、聞いてくれないから・・
軽く、頭をぽかっと叩いた。



「智くん・・やっぱり、俺のこと、キライになったんでしょう~」
鼻水まで垂らして・・・
だから・・抱きつきすぎ!
痛いってば!



「翔くん。離して」

「さとしくん・・・やっぱり~」

「翔くん!大好きだから!落ち着いて!」



翔くんとのキスなんて・・・見せられるわけないでしょ?
僕だって、本気のキス待ち顔・・見せたいわけじゃないんだから。







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Illustration by  ☆magic★hour☆ の ヒコさん