ある日。
仕事から帰ると、智くんが家にいて。

リビングに入っていった俺のこと見て、ビミョーな顔をした。


怒ってる・・のでも、なくて。
喜んでる・・のでも、なくて。


???


ソファーに座った智くんに、手招きされる。

「ここ。ここ座って」

智くんのすぐ隣の座面をポンポンと、手で示す。



???


バッグを置いて、ジャケット脱いで。
ソファーの肘掛けに放り投げて。

智くんの隣に腰を下ろす。



ふわり。
自分の周りに風が起こったような感じがして。


気がついたら、智くんの胸の中にいた。






「寂しいんでしょ?
これで・・・寂しいのなくならない?」

「これだけじゃ・・まだ・・・」

「じゃあ、もっと?」


自分の周りの腕が、ちょっと、締まって。
額と頭の境界あたりに、音を立てて、口吻が落とされて。


「まだ?・・・まだ・・寂しい?」




もう・・寂しくない。
でも・・・もっと、寂しいフリ・・しようかな。