今日でダサイン祭9日目。最初の数日こそ殆ど変化の見られなかったダサインだけど、7日目のフルパティ以降はいよいよ儀式色も濃くなり、通りでも確実にシャッターを下ろす店舗が増えてきた。昨日は開いていたお店も今日行くと閉まっている、という具合に、日を追う毎に市内が休息に入っていくのが分かる。
ダルバール広場のシヴァ・パールヴァティー寺院前では、神に捧げる生贄の儀式が執り行われていた。戦いの女神ドゥルガーに生贄の血を捧げ、残った肉は人々が食べる。生贄は主にヤギや水牛、ニワトリなどで、首を切り落として神に捧げるのだ。各家庭でそうして動物の血を神に捧げたあとは、肉をたっぷり使ったご馳走を作って、家族みんなで味わうのである。
広場の中央は、シヴァ神の化身であるカーラ・バイラヴ像に祈りを捧げる人々でごった返していた。軍隊が周囲をかなり警戒しているところを見ると、どうやら国のお偉いさんもお祈りに来ているようである。
この寺院は、1549年にマッラ王朝のマヘンドラ王によって建立された。そしてマッラ王族の守護神である女神タレジュが祀られており、普段はその門はかたく閉ざされているのだ。クマリの儀式が執り行われるのも、このタレジュ寺院である。
そんな重要な寺院だけに、ここぞとばかりに参拝しようとする人々で、周囲は数百人は超える長蛇の列ができている。これだけの行列であれば、列の後半は果たして何時間待たされるのかと思うのだが、そこは信仰心の厚いネパール人。神様に祈りを捧げるためならば、何時間待たされようとも構わない。
果たして、日本人でそこまで神仏を想える人などいるのだろうか? 自分も含めて即物、成金、物質主義的な宗教心ゼロの日本人。恐らく、そんな人など殆どいないだろう。本来ならばホトケに仕える身の住職ですら、108の煩悩の忠実な僕として派手に着飾ってはサングラスをかけ、高級車を乗り回しているのだから。
是非とも、そんな生臭坊主たちに見習ってもらいたい光景である。
通り道の上には、凧が飾られている。ダサインが始まって以来、空には無数の凧があちこちで舞うようになった。ふと空を見上げると、十数枚もの凧が揚がっていたこともある。どうやら凧揚げはダサインでの習慣として、しっかりと根付いているようである。
そして、車やバイクにもこうして飾り付けして祈りを捧げる。この日は商売道具、機械類などを清めるための儀式をして、それらを一日休める習慣があるようだ。今日は市内のあちこちで車やバイクを洗車する光景が見られ、この日ばかりは普段は砂埃塗れのクルマたちも、きれいに清められて艶やかな光沢を放っていた。
子供があちこちで走り回っては、凧揚げを楽しんでいる。川沿いの土手では、竹を組み上げて作った巨大なブランコがあり、大人と子供がブランコに乗ってはしゃぐ賑やかな声が響いている。路地裏をあちこち歩いてみると、そこには玄関先で家族揃って腰を掛けては、のんびりと談笑している光景が見られる。どこも実にゆったりとした、心地のいい時間が流れているように感じた。
ネパールで最大の祭であるダサイン。どことなく古き良き日本の正月を思わせる、なんとも心穏やかなお祭りである。














