<セレンディップの3人の王子さま> | かわむらともこの「しなやか」な生き方ブログ

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<セレンディップの3人の王子さま>

昔、セレンディップの国に3人の王子さまがおりました。

父上である王さまはジアファといいました。

ある日、ジアファは大きくなった息子たちを更に鍛えてやろうと、
旅に出すことにしました。

セレンディップを出発した3人の王子は、
やがてペルシャの国にやってきました。

そして都の近くでひとりの男に出会いました。

その男はひどく落ち込んでいて、
王子たちは一体どうしたのかと彼に訊きました。

「ラクダがいなくなっちまったんでさぁ。
旦那方、知りませんかねぇ? 困っちまいまして・・・」

すると王子たちは、そのラクダを知ってるかのように話しだしました。

「お前のラクダは片目が見えないだろ?」
「それに歯が一本抜けてるね?」
「それから足が一本悪くて、引きずって歩くだろう?」

それがみんな当たっていたので、
ラクダの持ち主の男は3人が自分のラクダを本当に見たのだろうと思って、
王子たちが来た方を探したのですが見つかりません。

男は道を引き返し、また王子たちに会いました。

「旦那方、ラクダはあっちにはいなかっただよ・・・
本当に見たのかね?どうして知ってたのかね?」

するとまた王子たちはペラペラと喋りました。

「お前のラクダが背負ってる荷物は、片側がバターで、もう片側は蜂蜜だろう?」
「それから女を乗せてるね」
「その女は身ごもってるのだろう?」

またまた王子たちの言うことが当たっているので、ラクダの持ち主の男は思いました。

(こいつらはきっと、おらのラクダを盗んだんだべ! 
でなけりゃ、こんなにいろいろ知ってるわけがないべぇ・・・)

そこで男は王子たちを訴えてしまいました。

「あいつらはラクダ泥棒ですだよ! 
大事なラクダを盗まれましただ! どうか引っ捕らえてくださいまし!」

王子たちは皇帝の兵士たちに捕らえられました。

皇帝は、なんと王子たちに死刑を宣告します。 

そんなムチャな・・・

王子たちの命は風前の灯火・・・!!! 

さぁ、どうする? スパイ大作戦のようにカッコよく逃げ出すか? 

いえいえ、それからまもなくラクダは見つかって、
王子たちの容疑は晴れました。よかった、よかった・・・

皇帝のベラモは不思議に思い、王子たちに尋ねました。
「どうして見たこともないラクダのことがわかったのじゃ?」

王子たちはスラスラと答えました。

「道ばたの草が、左側だけ食べられてましてね。
だから、右目は見えないのだなぁ、と推理したわけですよ、ふふふ」

「草を噛んだ跡を見て、歯が一本ないのだな、とわかりましたよ」

「片足を引きずった跡が道についてましたからね、カンタンですよ」

「道の片側にはアリがぞろぞろいましてね、
もう片側はハエがぶんぶんしてました。

だから、アリんこがいた側はバターで、
ハエがいた反対側は蜂蜜だって思いましてね」

「ラクダが座った跡のそばに、
トイレタイムの跡がありましてね。
いや、ラクダじゃなくて人のです。

これは女だなとわかりましたよ。

いや、別に私は変な趣味があるわけじゃないんですけど」

「女が座ったところに手の跡があって、
おなかの大きい女性がよっこらしょ、と手をついたのが見えるようでしたよ」

ベラモは王子たちの機知に驚き、
自分のそばに置いていろいろな問題を解決させました。

やがて、王子たちは惜しまれながらペルシャを後にし、
セレンディップへ帰って行きました。

そして、それぞれ別の王国の王となり、幸せに暮らしたということです。